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その他のジャーナル

2019
61巻

ブリモニジン点眼液使用経過中に発症した角膜実質炎の3例

その他のジャーナル 61巻(13号)2019

依藤 彰記、岡本 真奈、 粕本 愉美、五味 文(兵庫医大) 
眼科 2019: 61 (13) 1527-1533
・ブリモニジン酒石酸塩点眼液(アイファガンⓇ,以下BT)の主な副作用として結膜充血,アレルギー性結膜炎などがあるが,角膜炎の報告は少ない
・BT使用の経過中に発症した角膜実質炎3例の報告
【症例1】62歳女性。4年前から両眼にBTならびに緑内障治療薬2剤を使用。右眼鼻下側角膜周辺部に実質深層の密な新生血管を伴う濃厚な半円状角膜混濁と結膜充血を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼と抗ヘルペス薬を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存し,矯正視力0.8と低下した。抗ヘルペス薬は中止したが再燃はない。
【症例2】79歳女性。6年前から両眼にBTほか2剤を使用。左眼鼻下側角膜周辺部に実質深層の新生血管を伴う濃厚な弧状角膜混濁を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼と抗ヘルペス薬を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存した。視力低下は認めなかった。
【症例3】76歳男性。3年前から両眼にBTとヒアルロン酸点眼液を使用。左眼耳下側角膜周辺部に実質深層の密な新生血管を伴う濃厚な半円状角膜混濁と結膜充血,濾胞を認めた。副腎皮質ステロイド薬点眼を使用し,BTを中止した。混濁は軽減したが残存した。
【結論】
・全例BT使用中に出現した角膜炎であること、角膜ヘルペスの既往はないこと、実質深層の新生血管を伴う角膜周辺部病変で,既報の所見*に類似していることから、BTが発症に関与した可能性のある角膜実質炎と診断した
・緑内障治療中の患者に周辺部角膜実質炎をみたら,BT使用歴の確認も必要である
【ポイント】
・本報・既報ともBT使用開始後数年経過してからの発症
・片眼発症、濾胞性結膜炎との関連みられず
・発症機序不明
・ステロイド点眼にて新生血管は消退するも角膜混濁は残存
*Manabe Y, et.al. Eur J Ophthalmol 2019 May 17: doi: 10.1177/1120672119850080(MK)

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