Intrapapillary hemorrhage with adjacent periparillary subretinal hemorrhageの2例
高橋宏典ら 眼科臨床紀要 15(12), 822-825: 2022 (自治医大)
・1981年 渡辺ら:若年者で中等度あるいは軽度の近視眼で、乳頭から花冠状に広がる網膜前出血、乳頭に接した網膜化出血、硝子体出血を伴う症例を報告
・1989年 廣辻ら:近視性乳頭出血という呼称
・2004年 Kokameら:傾斜乳頭、近視眼、急性の乳頭浮腫などに起因して、乳頭部の出血に加え、乳頭周囲に網膜化出血が見られるIHAPSHという疾患概念を提唱
・2021年 長岡ら:本邦におけるIHAPSHのまとめを報告
・症例1 23歳男性 主訴:右飛蚊症
・s-5.25D:c-1.25DAx180、両眼とも傾斜乳頭、小乳頭(DM/DD=3.4)
・無治療で経過観察して10週後に消退
・症例2 13歳女児 主訴:左飛蚊症
・s-7.5D、傾斜乳頭、小乳頭(DM/DD=3.8)
・無治療で経過観察して、6週後に消退
・傾斜乳頭、小乳頭を呈する症例や、近視の進行過程の小児に見られる乳頭出血の原因としてIHAPSHを認識しておく
・乳頭出血の機序
・近視性乳頭出血の報告では、牽引コーヌス、被服コーヌスを基盤とした脈絡膜由来血管系からの出血、近視性乳頭浮腫に伴う出血、乳頭篩板前部から脈絡膜へ還流する細静脈のうっ滞による出血、近視性乳頭ですでに水平方向に牽引されている表在性網目状毛細血管、放射状乳頭前毛細血管が後部硝子体剥離による硝子体側への牽引で破綻性出血をきたしやすいことなどが推測。
・傾斜乳頭では、乳頭が斜め上方より眼球に入るため、血管が屈曲し循環障害をきたしやすいことが考えられている。
・その他後部硝子体剥離に伴う機序や硝子体乳頭間の牽引、視神経乳頭浮腫が出血の原因となると推測されている
・長岡らのまとめ:2004年以降 9例11眼
・年齢10-78歳、9例中8例が女性
・片眼性が7例、両眼性に2か月、2年の期間をおいて発症した報告あり
・傾斜乳頭や小乳頭といった乳頭形態変化が4例、高齢者を除き近視眼に多く見られている。
・出血消退までの期間は2週から6か月 視力予後はおおむね良好だが、高齢者ではIONやRAOを随伴した報告あり(MM)