東花枝, 眼内レンズセミナー あたらしい眼科 40(1), 65-66: 2023
・緑内障の治療や内眼手術前後の眼圧下降目的などで用いられるアセタゾラミドは、毛様体脈絡膜剥離による急性閉塞隅角緑内障を引き起こすことがある。
・海外からの報告
・毛様体脈絡膜剥離は低眼圧を伴うこともあるが、毛様体の前方回旋により虹彩根部と水晶体嚢が前方に偏位し、続発性の隅角閉塞を引き起こすこともある。内眼手術や原田病、後部強膜炎などが主な要因となるが、アセタゾラミド、ヒドロクロロチアジド、ST合剤などスルホンアミド構造を持つ薬剤もその原因となる。治療は散瞳・調節麻痺点眼、副腎皮質ステロイド投与や硝子体切除術。
・Mancinoら:76歳男性 左眼白内障手術直後にアセタゾラミド投与。翌日に両眼の浅前房、眼圧上昇および広範囲な脈絡膜剥離を伴う閉塞隅角緑内障を発症
・右眼は7年前に白内障手術済のIOL眼 内服中止し副腎皮質ステロイドの大量静注で速やかに改善
・Parthasarathiら:CACG既往がある66歳男性 左眼の白内障手術直後にアセタゾラミド内副投与 左眼及び有水晶体眼である右眼も眼圧上昇 浅前房となり毛様体浮腫を認めた
・著者:57歳男性 右白内障手術直前アセタゾラミド内服投与し、通常の白内障手術を問題なく終了
・術後3時間で頭痛と霧視を自覚 術後9時間で受診時 眼圧 右 70mmHg、左 62mmHg
・瞳孔径 右 6mm,左 3mm 対光反射 両眼でやや減弱 両眼 毛様充血、角膜浮腫と浅前房
・瞳孔ブロックを考え、マンニトール点滴、アセタゾラミド内服、両眼にピロカルピン、眼圧下降薬、ベタメタゾン点眼するも下降せず。
・UBMで前房深度は1.34mm、毛様体上腔の液体貯留及び交際、水晶体嚢の前方移動
・毛様体脈絡膜剥離による急性閉塞隅角緑内障と判断し、アトロピン点眼開始したところ眼圧下降し始め、プレドニゾロン内服を2週間継続し正常眼圧となった。
*点眼でも脈絡膜剥離を生じることがある
– Chaves-Smaniego MJ et at. Case Rep Ophthalmol 2022
・手術歴のない緑内障患者でドルゾラミドとチモロール点眼をしている患者で脈絡膜剥離が生じた
– Donmez O et al. Med Hypothesis Discov Innov Ophthalmol 2016
・白内障手術後片眼にドルゾラミド・チモロール配合剤使用していたら、両眼に脈絡膜剥離が生じた(MM)