Graft rejection episodes after keratoplasty in Japanese eyes
Sci Rep. 2023 Feb 14;13(1):2635.
Haguku Wajima, et al. (金沢大学)
・目的:日本人患者における角膜移植術後の移植片拒絶反応の臨床的特徴と危険因子を調査すること。
・対象と方法:全層角膜移植術(PK) 198例、角膜内皮移植術(DSAEK 277例、nDSAEK 138例、DMEK 117例)、全730例の移植片拒絶の発生率、臨床的特徴、および考えられる危険因子を分析した。
・結果:移植片拒絶反応は 65 例 (8.9%) で発生した。発生率は、PK (33/198、16.7%)、DSAEK (20/277、7.2%)、nDSAEK (11/138、8.0%)、DMEK (1/117、0.9%) で、PKが他より有意に高かった (P = 0.018、DSAEK; P = 0.022、nDSAEK; およびDMEK; P < 0.001)。
・角膜内皮形成術後の拒絶率が低い理由は、(a) 移植組織は前房に挿入され、抗原提示細胞と抗体が存在する表面に露出しない。そのため前房関連免疫偏位の効果があった可能性。
・(b) 宿主組織とドナー組織をつなぐ縫合糸の数が大幅に減少すると、縫合糸に関連した拒絶反応のエピソードが少なくなる。
・ (c) 宿主間質血管と移植組織との間の直接接触がない。
・ (d) ドナー上皮および実質の大部分が存在しないことによる、移植片の免疫原性の低下、と考えられる。
・PK、DSAEK、nDSAEK、および DMEK における拒絶反応診断時の細隙灯顕微鏡検査による徴候は、結膜充血 (それぞれ 27.3%、30.0%、18.2%、0%)、びまん性角膜浮腫 (それぞれ45.5%、45.0%、45.5%、100%)、角質沈着物 (それぞれ、84.8%、95.0%、90.9%、100%)だった。
・PK の 4 例でrejection lineが観察された。
・PK、DSAEK、nDSAEK、DMEK の自覚症状を伴わない拒絶反応は、それぞれ 51.5%、40.0%、63.6%、100% だった。
・結論:PK が最も高い拒絶率を示し、次に nDSAEK と DSAEK が続いた。
・さらに、DMEK は移植片拒絶の発生率が比較的低いことを示し、他のタイプの角膜形成術よりも優位性が確認された。
・レシピエントのデスメ膜の存在は、拒絶エピソードに関しては差はなかった。
・拒絶反応の約半数に無症状の患者が存在することを考慮すると、眼科医は定期的な術後診察やパキメトリーおよび前眼部OCTを使用した角膜厚の変化に注意する必要がある。(CH)