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その他のジャーナル

2023
13巻

健常人におけるハードコンタクトレンズ使用の角膜内皮細胞密度および形態に対する長期的影響

その他のジャーナル 13巻(5号)2023

Long-term effect of using hard contact lenses on corneal endothelial cell density and morphology in ophthalmologically healthy individuals in Japan
Takeshi Ono, et al. (宮田眼科病院)
Scientific Reports  2023(5); 13: 7649.
・目的:健康な日本人を対象に、HCLの長期使用が角膜内皮細胞密度(ECD)と形態に及ぼす影響を解析した。
・対象と方法:4302例8604眼(男性:女性=837:3465)を対象とした。平均年齢35.6±10.0歳、HCLの平均使用期間は14.7±9.1年(1~50年)であった。
・使用したHCLの種類については、ポリメチルメタクリレート(PMMA)レンズ使用は18人中36眼、低Dk(酸素透過性)レンズ(Dk<60)357人中714眼、高Dkレンズ(Dk≧60)410人中820眼。その他の患者(7034眼)は複数の種類のHCLを使用していた。
・結果:ECDの加齢変化の影響を検討するために多変量解析を行ったところ、ECDは年齢と有意に相関したが(P<0.001)、使用期間とは相関しなかった。
・しかし、変動係数(CV)と六角形細胞出現率(6A)は年齢と使用期間の両方に有意に関連していた(P<0.001)。
・男性と高年齢がECD(ともにP<0.001)とCV(それぞれP=0.04と<0.001)に有意に関連していた。
・また、高年齢は6A(P<0.001)にも有意に関連していた。
・単変量解析の結果、CVと6Aは使用期間と相関していた(すべて、P<0.001)。
・HCL使用1年あたりのECDの変化は、低Dk群で-5.42(95%信頼区間、-6.88から-3.96)cells/mm2、高Dk群で-5.05(95%信頼区間、-6.64から-3.45)cells/mm2であった。
・結論:HCLの使用は角膜低酸素症を引き起こし、乳酸の蓄積、CO2濃度の上昇、細胞のpHの変化をもたらす。
・細胞でのこれらの持続的な変化は、形態学的変化、多形性(6Aの減少、CVの増加)をもたらす。
・年齢の影響を考慮した多変量解析では、HCLの使用年数がECDに直接影響しないことが示された。
・角膜内皮細胞の形態も加齢とともに変化するが、これらの変化を考慮した後でも、HCLの長期使用は角膜内皮の6AとCVに関連していた。
・したがって、HCL長期装用者の角膜内皮形態をモニターすることは重要である。(CH)

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