Incidence of Graft Rejection in Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty After COVID-19 mRNA Vaccination
Ami Igarashi, et al. (日本大学)
Cornea 2023(10) ; 42:1286–1292
・目的:mRNA ワクチンであるCOVID-19 ワクチン接種後のデスメ膜角膜内皮移植術 (DMEK) の拒絶率を調査する。
・DMEKは低侵襲手術であり、拒絶反応率も低い。しかし、COVID-19の世界的流行後に拒絶反応の症例が報告されている。
・このワクチンには予防効果があるにもかかわらず、心筋炎、ギラン・バレー症候群、自己免疫性筋炎などの全身性の副作用の報告がある。
・このような炎症の影響がCOVID-19ワクチン接種と角膜移植後の拒絶反応に関する免疫耐性に関与している可能性があるという仮説を立てた。
・対象と方法:2006年1月から2020年12月までにDMEKを受けたアジア人患者210例のうち基準を満たした198例(非接種124例、接種74例)を対象とした。
・ワクチン接種群は、2021年にCOVID-19ワクチンを1回以上接種した患者とした。
・角膜移植片拒絶反応は、角膜浮腫、前房炎症、拒絶線、角膜血管新生、周辺虹彩前癒着、角膜浮腫の有無に関わらず新たな内皮沈殿物が生じたものと定義した。
・結果:拒絶反応は198例中6例(非接種群1例、接種群5例)認められ、移植片不全に至った症例は5例(接種群5例6.7%)で、全例再移植を要した。
・パンデミック期以前の過去の報告によると、DMEK後の移植片拒絶反応のリスクは1%と低く、拒絶反応後の再移植の必要性はさらに低かった。
・結論:これまでの報告では、mRNA ベースのワクチンが体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を活性化することが示されている 。
・mRNA ベースのワクチンは角膜内皮細胞とウイルス抗原の間の交差反応を誘発する。
・その結果、インターフェロン ガンマなどのサイトカインのレベルが上昇し、免疫抑制性の眼内微小環境に影響を与える可能性がある。
・COVID-19 mRNAワクチン接種がDMEKにおける角膜移植片拒絶反応率を上昇させる可能性を示唆している。
・ワクチン接種を受ける前に、患者にこのような影響の可能性について説明し、典型的な症状について警告しておく必要がある。(CH)