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その他のジャーナル

2024
43巻

デスメ膜剥離角膜内皮移植術後(DSEK)の酢酸プレドニゾロン1%点眼液によるステロイド誘発性の眼圧上昇/緑内障の長期リスク

その他のジャーナル 43巻(3号)2024

Long-Term Risk of Steroid-Induced Ocular Hypertension/ Glaucoma With Topical Prednisolone Acetate 1% After Descemet Stripping Endothelial Keratoplasty
Marianne O. Price, et al. (IN USA)
Cornea 2024(3);43:323–326
目的:緑内障の既往のない患者において、酢酸プレドニゾロン1%点眼液の長期使用によるステロイド誘発性の眼圧上昇の長期リスクと緑内障治療の必要性を評価する。
対象と方法: DSEKを受け、移植片の拒絶反応を防ぐために酢酸プレドニゾロン1%点眼液を長期使用した緑内障の既往がない患者211人。
術後、酢酸プレドニゾロン1%点眼液を1日4回4ヵ月間点眼するよう指示し、その後1ヵ月ごとに1回ずつ漸減して1日1回点眼とし、眼圧が上昇しない限り無期限に継続した。主な転帰は眼圧上昇(眼圧24mmHg以上またはベースラインより10mmHg上昇と定義)と緑内障治療の開始であった。
眼圧をコントロールするために必要に応じて行われた方法は、緑内障点眼薬の投与開始、酢酸プレドニゾロン1%点眼液の中止、緑内障濾過手術(トラベクレクトミーまたはチューブシャント手術)。
結果:患者の平均年齢70歳(範囲:34~94歳)、平均経過観察期間7年(範囲、1~17年)。
術後1年、5年、10年の時点でのステロイド誘発眼圧上昇の累積リスクはそれぞれ29%、41%、49%だった。リスクは1日2~4回点眼していた最初の6ヵ月間で最も高く、その後は1日1回点眼が継続されるにつれて低下した。ステロイド誘発性の眼圧上昇は、拒絶反応エピソードを経験した眼でやや早く現れる傾向があった。緑内障治療を必要とするリスクは術後1年、5年、10年の時点でそれぞれ11%、17%、25%。緑内障の治療を受けた35眼のうち、28眼(80%)が点眼加療、7眼(20%)が濾過手術だった。
結論:酢酸プレドニゾロン1%点眼液を長期間使用した、緑内障の既往のないDSEKレシピエントの半数がステロイド誘発性の眼圧上昇を発症し、25%が緑内障治療を必要とした。1日1回点眼になっても、眼圧のモニタリングが必要である。角膜移植が必要な患者に対しては、長期的なステロイドの副作用を軽減するために、可能な限り拒絶反応のリスクの少ない移植方法を用いることが望ましい。(CH)

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