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その他のジャーナル

2024
43巻

角膜内皮移植再手術後の移植不全に対する人工角膜内皮移植術の初期成績

その他のジャーナル 43巻(9号)2024

Early Outcomes of an Artificial Endothelial Replacement Membrane Implantation After Failed Repeat Endothelial Keratoplasty
Luigi Fontana, et al. (Italy)
Cornea 2024(9);43:1088–1094
目的:繰り返す角膜内皮移植術(EK)の移植片不全に対する人工角膜内皮(EndoArt、EyeYon Medical社、イスラエル)移植術の成績を報告する。
EndoArtは、厚さ50μm、直径6.5mmのヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレートの柔軟な材料で構成され、角膜後面の曲率に合わせて成形され、人工的な流体バリアとして機能し、病的な角膜内皮の機能を代替する。デバイスが角膜内皮面に接着すると、角膜実質への水分の浸透が妨げられ、その結果、実質の浮腫が減少し角膜の透明度が改善する。
対象と方法:過去に2回以上EK後に移植片不全となった患者5例。逆シンスキーフック(Moria SA, Nanterre, France)を用いてEKグラフトを角膜後面から剥離し、2.0mmの角膜トンネルから取り出した。その後、EndoArtを角膜表面に置き、端に見える「F」マークに従って、正しい方向を確認した。先端が鈍いスパチュラ(Janach Srl, Como, Italy)を使用し、角膜トンネルを通して前房内にEndoArtを押し込んだ。前房内に挿入されると自然に展開し、角膜中央に配置された。10%C3F8を前房内に注入し、角膜後面に密着させた。10-0のナイロンで角膜に1針縫合、3ヵ月に抜糸した。
結果:4例はEndoArt移植前に2回、1例は3回のEKを受けていた。最後のEKからEndoArt移植までの平均期間は3±1年であった。手術の6ヵ月後、角膜後面に完全に接着し、すべての患者で角膜中心部は透明であった。術前の平均CDVAは1.26 ± 0.25 logMAR、術後最終平均CDVAは0.74 ± 0.44 logMARであった(P = 0.062)。術後、視力は2例で11 line改善、2例で2~5 line改善、1例で3 line低下した。平均CCTは、術前805 ± 135 mmから術後6ヵ月で588 ± 60 mm、全例で顕著なCCT低下がみられた(P = 0.015)。重大な合併症は認められなかったが、5人中4人は、術後2~8週間でEndoArtの解離が生じたため、1回以上の10%C3F8再注入を必要とした。
緑内障点眼剤を使用している患者3例と緑内障手術歴のある患者1例での眼圧上昇は認められなかった。全例でNRS(Numerical Rating Scale)が1.5〜5ポイント減少し、自覚的な痛みが軽減した。
結論:この研究期間中にEndoArtの抜去を必要とした患者は一人もいなかったことから、短期的な安全性は良好であることが示唆された。また、患者の視機能を改善する能力を実証した。(CH)

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