Predictive Genes for the Prognosis of Central Serous Chorioretinopathy
Yoshikatsu Hosoda, Kenji Yamashiro, et al.(京都大)
Ophthalmol Retina. 2019;3(11)985-992
・CSC患者のSRD自然吸収やCNV発生を予測しうる遺伝子を検索
・CSC患者カルテを後ろ向きに調査、SRD消失をOCTで確認
・SRD消失までの期間をKaplan-Meyer法で解析
・CFH I62V、ARMS2 A69S、VIPR2 rs3793217の遺伝子多型とSRD消失期間・CNV発生との関連を評価
・196眼中105眼でフォローアップ期間中にSRD消失
・68眼が治療受け、23眼がSRD消失のため受診中断
・3種の遺伝子多型のうち、CFH I62VのみがSRD自然吸収と関連(P=0.017);genotypeごとにAA(126.6±115.5日)、AG(157.7±243.1日)、GG(242.7±198.0日)→GアレルがSRD遷延と有意に関連(P=0.035)
・14眼でCNV発生、CFH I62VのGアレルとARMS2 A69SのTアレルが有意に関連(P=0.0023、P=0.019)
・・CFH I62VとARMS2 A69Sの遺伝子多型はCSCの進行を予測しうる。CSC患者の遺伝学的状態をしることで早期治療の必要性やCNVの発生を判断する助けになる。(MK)
A Simple 60-Second Swelling Technique for More Consistent Ultrathin DSAEK Graft Preparation
Farbman, Neil H. et al. (CA,USA)
Cornea 2019(10);38:1209-1214
目的:極薄DSAEK(UT-DSAEK)は文献で定義されていないが、最も一般的には約100μm以下の移植片を指す。今までの手法では均一の極薄組織を作れるわけではなく、組織の損失や準備時間を増やし、組織処理にかなりの経済的コストがかかる可能性がある。
今回、単純だが新しい60秒間の膨張技術を使用することにより、移植片の品質を損なうことなく、安定してより薄い移植片を作れる事を実証する。
対象と方法:ML7 Microkeratome Donor Cornea System(Med-Logics Inc、Athens、TX)を使用した標準DSAEK移植片30眼と、角膜上皮の除去後の緩衝塩類溶液(BSS: Balanced Salt Solution)に角膜実質を60秒間浸した後ML7 Microkeratome Donor Cornea Systemでカットした移植片30眼。
結果: 膨張させた組織の平均移植片厚さは83.3μmで、標準移植片96.4μmよりも13.1μm薄かった。 100μm未満の移植片の割合は、標準移植片では63.3%、膨張移植片 では93.3%だった。角膜内皮細胞数は2つのグループ間に有意差はなかった。合併症は認められなかった。
結論:単純な60秒間の膨張技術により、内皮細胞数に大きな影響を与えることなく、安定した薄いDSAEK組織が得られる。(CH)
Interferon Alpha-2b Eye Drops Prevent Recurrence of Pterygium After the Bare Sclera Technique
Mingyang Yin, et al. (China)
Cornea 2019(10);38: 1239–1244
目的:翼状片再発防止のためのIFNα-2b点眼薬の有効性と安全性を調査すること。
対象と方法: 43人51の眼、平均年齢は56±9歳
対照群ではグレード1: 3眼、グレード2: 11眼、およびグレード3: 10眼
治療群ではグレード1: 3眼、グレード2: 13眼、およびグレード3: 11眼
術後、レボフロキサシン点眼と0.1%フルオロメトロン点眼液は両群3か月間、1日4回使用した。さらに治療群ではIFNα-2b点眼薬(100万IU / 5 mL)を3か月間、1日4回使用した。
結果:手術後、どちらの群も1ヶ月以内に再発は認められなかった。
術後3か月、対照群でグレード3の再発3眼、治療群ではグレード3の再発1眼を認めたが、統計的に有意差はなかった(P> 0.05)。
術後6ヵ月、対照群で7眼(グレード3:6眼、1眼グレード2:1眼)の再発、治療群では1症例のままだった。対照群と治療群の再発率はそれぞれ29.2%と3.7%だった(P = 0.019)。
術後12ヵ月、対照群で8眼(グレード3:6眼、グレード2:2眼)、治療群では2眼(グレード3:1眼、グレード2:1眼)で再発が認められた。再発率はそれぞれ33.3%と7.4%だった(P = 0.048)。
結膜の発赤と厚さは3ヶ月以内は両軍間で有意差はなかった。重篤な視力や全身性への副作用はなかった。
結論:IFN alpha-2bの点眼薬は、翼状片術後の再発率を大幅に低下させ、安全であると実証した。(CH)
Longitudinal Analysis of Bruch Membrane Opening Morphometry in Myopic Glaucoma
Mahadev Bhalla et al (Canada)
J Glaucoma 28(10):889-895, 2019
正常近視眼(9名17眼)、緑内障疑い(5名6眼)、安定した緑内障(14名20眼)、進行している緑内障(8名10眼)でBMOの形態変化をベースライン、1.5年以内、6.5年以内の3回で調査
BMOの面積、楕円性は変化ないが、非平面性は緑内障眼で増加、BM基準面からのBMO depthは疑い群以外で増加した
BMO-MRWは視神経乳頭評価として注目され、これまでBMOは変化しないと考えられていたが、正常群でもわずかながら変化している
年齢による眼圧、脳脊髄圧の変化、あるいは脈絡膜が薄くなることでBM基準面が変動した可能性が考えられた(MM)
星状神経節光線療法による視神経乳頭・篩状板領域の血流改善効果
森茂(長崎)
眼臨紀 12(8): 604-608, 2019
・東京医研製スーパーライザー1800mW(波長600-1600nm)を用いて星状神経節光線療法SGLを行った。
・OCTAで篩状板部を検査すると、15分後には篩状板部、殊に下側と耳側の血流量が増加しており、SGLが正常眼圧緑内障などでは有効な治療法になりうることを示している。(TY)
高分子量のヒアルロン酸からなる眼科用手術補助剤の物性評価―2019
渡邊一平他(生化学工業)
YAKUGAKU ZASSHI 139(8): 1121-1128, 2019
・OVDは凝集型製剤と分散型製剤の2つに大別されている。
・天秤に乗せた0.5mgの粘弾性物質を直径0.5mmのピペットチップを装着させたアスピレーターによって吸引除去する際、100mmHg当たりの除去率が30%以上であれば凝集型OVD、30%未満であれば分散型OVDとされている。
・各製品の規格が同一であっても製品間で異なる物性を示している。
・プレート上に約 300μLの試料を滴状に排出し、0.5mm間隙のパラレルプレートにより、ずり速度を変速させ、見かけ粘度を測定した。
・ずり速度が0.1~1/secの場合、各製品の見かけ粘度は顕著に異なったが、高ずり速度10/secでは見かけ粘度はほぼ一定値となった。
・製品間の見掛け粘度の差異はヒアルロン酸の分子量の違いに起因していた。(TY)
Difference in Topographic Pattern of Prelaminar and Neuroretinal Rim Thinning Between Nonarteritic Anterior Ischemic Optic Neuropathy and Glaucoma
Eun Jung Lee, et al (Korea)
Invest Ophthalmol Vis Sci 60(7):2461-67, 2019
NAION(A群)、NTG(B群)、Control(C群)各12眼で視神経乳頭断面24枚のEDIOCTから最も乳頭リムが薄い断面を選び各パラメータを計測
NFLの障害側はA群が上方11眼、B群が下方11眼であったが、他の背景因子に有意差なし
BMO-MRW,BMO-HRW、屈曲点での水平厚、中心部の前篩状板組織はA群で有意に厚かった
乳頭リム厚は屈曲点で最大の差を認めた
HVratio(BMO-HRW/BMO-VRWで定義)はA群1.63、B群0.83、C群1.06であった
前篩状板組織の菲薄化はNAIONとNTGで異なり診断に有用となる可能性(MM)
Nicotinamide Deficiency in Primary Open-Angle Glaucoma
Judith Kouassi Nzoughet, et al(Frace)
Invest Ophthalmol Vis Sci 60(7), 2509-2514:2019
視神経は眼内では無髄のためたくさんのエネルギーを要するが、緑内障でミトコンドリアの機能不全が生じているのかという疑問がある。
マウスの高眼圧緑内障モデルでミトコンドリアの機能不全が示され、網膜での酸化還元反応の補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドレベルの低下と、その前駆体であるニコチンアミドを高容量経口摂取することで、構造的機能的にRGCの減少を防止したとの報告あり。
水溶性のニコチンアミド(ビタミンB3)は欠乏すると下痢、皮膚炎、認知症を来たし死に至るペラグラをきたす。
まず34例のPOAGと30例のコントロールでnontargeted metabolomics studyを実施、その中でニコチンアミドの欠乏を見つけた。
その後second cohortとして20例のPOAGと15例のコントロールでニコチンアミドをターゲットとして調査した。
二つの集団の背景、採血時間帯には有意差無し
ビタミンB3は高脂血症の治療に使われるが、調査集団で該当するものはいなかった
結果
中央値
initial cohort:POAG : control= 0.12(0.06-0.28)μM : 0.18(0.08-0.47)μM (30%, P=0.022)
second cohort:POAG : control= 0.14(0.09-0.25)μM : 0.21(0.09-0.26)μM (33%, P=0.011)
平均値
initial cohort:POAG : control= 0.14μM : 0.19μM
second cohort:POAG : control= 0.14μM : 0.19μM
より大規模なスタディが必要であるが、ニコチンアミドの補充療法は将来の治療方法になる可能性がある(MM)
Risk Factors for Cystoid Macular Edema After Descemet Membrane Endothelial Keratoplasty
Inoda Satoru, et al. (自治医科大学)
Cornea 2019(7);38:820-824
目的:アジア人でのDMEK後のCMEの発症の危険因子と発症率を調査した。
対象と方法:DMEKを受けた65人77眼、平均年齢72.4歳(範囲、48〜85歳)、53眼はDMEK + 6ヶ月前に白内障手術、24眼はDMEKのみを受けた。すべての患者はアジア人(日本人)。
中心網膜厚、CMEの発生率、術後の最高矯正視力、中心角膜厚、および角膜内皮細胞密度を、手術後1、3、および6ヶ月で評価した。
術後治療は1.5%レボフロキサシン点眼、ベタメタゾン点眼1日4回3か月間投与し、その後漸減した。
結果:77眼中12眼(15.6%)でCMEが発生した。すべてのCMEは1か月以内に発症した。単独DMEKグループのCME発生率は25%(24眼中6眼)、段階DMEKグループの発生率は11.3%(53眼中6眼)だった(P = 0.13)。病因とCMEの発生との間に関連はなかった(P = 0.72)。多変量解析により、DMEK前後の虹彩損傷スコアの差(P <0.001、オッズ比(OR)= 16)、前房内の空気量(P = 0.012、OR = 2.3×10-4)、単独DMEK (P = 0.020、OR = 14、CME (+)6眼(25%)、CME(-) 18眼(75%))、および空気再注入(P = 0.036、OR = 18、CME (+)4眼(31%)、CME(-)9眼(69%))はCMEの発生と有意に関連していた。今回の調査でのCMEの発生率は、以前に白人で報告された発生率よりも高かった(7%〜13.8%)。
BCVAは術前0.81±0.53 logMARから術後6か月で0.080±0.15 logMARに有意に改善した(P <0.001)。術後ECDは6ヵ月で1493±492cells/ mm2だった(6ヵ月でのECD損失率:44.6±17.1%)。
前房内空気再注入を必要とするグラフトの部分的な剥離は、手術後7日以内に13眼で認められたが、すべての眼で再注入した直後に完全に接着した。
結論:DMEK後CME発生率は15.6%で、虹彩損傷はCMEの発生の主要な危険因子だった。手術時は虹彩にできるだけ損傷を与えないようにする必要がある。診断として、DMEK後の6か月間はOCTを頻繁に使用することを勧める。(CH)
杉浦弘幸ほか(国府台病院)
眼臨紀 12(7)532-535, 2019
・15歳女性
【初回受傷】
・友人のジャージにて左眼打撲、頭痛・嘔気・視力低下・眼痛・複視
・視力 右0.6(0.9×-1.75D) 左0.02(0.15×-0.5D)*他覚屈折値 右-11.0D、左-9.0D
対光反射は正常、内斜視、左眼の外転下転障害、左眼に求心性の視野狭窄
CFFは右↓49/↑49、左↓46/↑23
(外傷性視神経症を疑いステロイド内服)
・1w後 右0.6(0.8×-2.5D) 左0.03(0.4p×-11.0D)*他覚屈折値 右-3.0D、左-12.0D
眼球運動正常になるも正面視での内斜視と複視のこる
(輻輳痙攣を疑いステロイド中止、ミドリンP点眼開始)
・1M後 内斜位に改善、複視消失、他覚屈折値は不変
・4M後 右0.8(1.0×-0.5D) 左0.5(1.0p×-1.0D)*他覚屈折値 右-2.25D、左-5.0D
内斜視は完全に消失、正常視野
【二回目の受傷】
・初回受傷から半年後、サッカーボールが右眼に直撃、直後から頭痛・嘔気・右視力低下・眼痛・複視
・視力 右HM(n.c.) 左0.1(0.6×-2.0D)*他覚屈折値 右-5.0D、左-12.0D
対光反射は正常、内斜視、右眼の外転下転障害、眼振
CFFは右↓22/↑15、左↓自覚不能/↑23
(輻輳痙攣を疑いミドリンP点眼開始)
・3w後 右0.6(0.9p×-0.5D) 左0.5(0.4p×-0.75D)*他覚屈折値 右-0.75D、左-1.25D(MK)
Transient Intraocular Pressure Fluctuations: Source Magnitude, Frequency, and Associated Mechanical Energy
Daniel CT, et al(USA)
Invest Ophthalmol Vis Sci 60(7):2572-2582, 2019
4-6歳のアカゲザル6頭(雄4,雌2)にIOPセンサーを埋め込み、4週間後からバッテリーが切れる、もしくはセンサーに不具合が生じるまで、24時間意識下、制限無しの状態でIOP測定
同時にビデオカメラでモニター
IOPセンサー:
第一世代 2頭;unilateral IOP (500 Hz), blood pressure (250 Hz), electrocardiogram (500 Hz), and body temperature (50 Hz)
第二世代 4頭;bilateral IOP (500 Hz), bilateral electrooculogram (500 Hz), temperature (50 Hz), and blood pressure (250 Hz), via a transducer implanted directly in the aorta
2週毎にキャリブレーションを実施
結果
眼圧変動要因
ミリ秒~秒:瞬目、サッケード、脈波
数秒:呼吸や眼球の筋緊張などその他の要因
分~時間:防水の流入/流出量の変動、体位、血圧変動、睡眠などのリズム
変動幅
平均して1時間あたり1万回ほどの0.6mmHg以上のIOP変動
そのうち2000-5000回は5mmHg以上の変動
瞬目とサッケードでは最大14mmHgの眼圧上昇を認めた。固体によって異なるが、同一固体では同程度であった。
固体によって変動が大きく回数が多いもの、変動が少ないものなど様々であった:眼球の柔らかさに起因するのでは?
睡眠時は脈波に関連する2mmHg以下の変動が大部分を占め、覚醒時は瞬目やサッケードなどの変動が増える。全体として覚醒時の方が時間あたり5000回ほど0.6mmHg以上の変動が大きい
一過性眼圧上昇は全体の5-17%で生じている
平均して覚醒時の全IOPエネルギーの12%は一過性眼圧上昇に起因している。
眼圧はこれまで考えられていた以上にダイナミックに変動している(MM)
岩瀬愛子
眼科61(7):685-696, 2019
ハンフリー800シリーズからSITA Fasterと24-2Cプログラムが追加された
・測定方法の違い
<Double Bracketing法>
Full Threshold → SITA Standard(SS)(最尤法を用いて感度推定)(50%短縮)
<Single Staircase法>
Fastpack → SITA Fast(SF)(最尤法)(50%短縮) → さらに短縮したプログラムSITA Faster(SFR)(SSの50%、SFの30%の検査時間)
・繰り返し検査をすることが重要
SSで患者負担が大きく検査に抵抗があり、測定頻度が落ちるのであれば、SF/SFRで頻回の測定を行う方が良い
SSがうまくできないからと言って、SF/SFRに変更しただけで、測定回数を増やさないのであれば診療の質の低下?
・24-2C
24-2の配置点に10-2の検査点の中で早期異常の好発部位10点を追加したプログラム
SITA FasterとSITA Standardで使用可能
トレンド解析では従来の24-2の検査点を使用した数値表示になる
10-2の異常を追っていきたい場合はやはり10-2を測定すべきか(MM)
Do we need day-q postoperative follow-up after cataract surgery?
Andrzej Grzybowski, et al (Poland)Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 257(5): 855-861, 2019
AAOでは術翌日診察は片眼患者、術中合併症患者、IOP上昇など術後合併症に対するハイリスク患者は推奨し、それ以外の患者は48時間以内の術後診察を推奨している。UKでは翌日診察はあまり一般的でなく、合併症があった患者や緑内障・ぶどう膜炎などの併存する疾患のある患者に対して推奨されている。現在の小切開白内障手術術翌日診察での異常を評価し、どのような患者に対して必要か検討する。
白内障術後に関する1994年から2017年の45文献を解析
術後合併症の頻度(参照:Table1)
IOP: 術後眼圧上昇の頻度は0.31-2.57%、ハイリスク群で28mmHg以上に上昇したのは最大46.4%でリスクファクターはOVDの残存、レジデントの手術、緑内障、PE、25mm以上の眼軸、タムスロシンの内服、ステロイドレスポンダーに対するステロイド投与、術後炎症であった。
眼圧上昇は3-7時間後に上昇し、24時間ほど上昇する。視神経障害の患者や網膜の動脈硬化に伴う虚血のある患者はリスクがある。一過性眼圧上昇を抑えるため様々な点眼が評価されているが、ドルゾラミド/チモロール合剤、ブリンゾラミド点眼がこれらのハイリスク患者には敵していると思われる。
切開創閉鎖不全:小切開になり発生頻度は0.02-1.1%。タムスロシン内服はコントロールと比べ3.81倍発生率が高かった。術後低眼圧はリークによるものではなく術直後の房水の酸性と流出の不均衡によるものと考えられる。
術後炎症反応:術前3ヶ月は炎症がない状態での白内障手術が望ましいが、慢性あるいは再発性の炎症の患者は術前術後のステロイド内服、ステロイド注射が推奨され、翌日診察が望ましい
IOL偏位:Complete CCCができていればほとんどが術後3ヶ月以上経過してからの偏位
術中合併症:頻度は少ないが、どのような合併症であっても24時間以内に診察すべき
結論:翌日に問題があることはほとんどない。しかし術中合併症・経験の少ない術者、慢性/再発性のぶどう膜炎や虹彩後癒着患者は翌日診察をすべき。視神経障害のある患者は手術時に点眼を使うと良い。ほとんどの場合は翌日診察がなくても大きな問題なし。(MM)
Comparison of different combinations of maximum medical therapy for lowering intraocular pressure in primary open angle glaucoma: 12-month retrospective consecutive case series
Hee JJ et al (Korea)
Jpn J Ophthalmol ;63(4):322-327, 2019
82名82眼のPOAGに対して
配合剤を含む3種類の点眼で実質4剤(TMT):45名
タフルプロスト、ブリモニジン、ブリンゾラミド/チモプトール合剤
異なる種類の2種類の配合剤で実質4剤(DMT):37名
タフルプロスト/チモプトール合剤、ブリンゾラミド/ブリモニジン合剤(Simbrinza)
患者背景に有意差なし
12ヶ月後の眼圧下降率はTMT群がDMT群よりやや大きいが有意差なし
(35.3±4.5→16.7±2.6:52.7% vs 33.7±5.8→16.7±3.1:50.4%)
ベースライン眼圧がDMTの方が若干低いためか。
追加レーザー、手術を行った割合(22.2% vs 37.8%):有意差なし P=0.122
行うまでの平均期間(10.7±1.3 vs 10.3±1.5):有意差なし P=0.06
副作用:DMT群の方が結膜充血とドライアイの頻度が少なかった P=0.031/0.049
DMTはTMTと比べて劣ってはいない(MM)
柴田真帆・豊川紀子・黒田真一郎(永田眼科)
眼科手術2019;32(4):587-592
・硝子体カッターによる周辺虹彩切除術(PI)の効果と安全性の検討
・2013-2017、永田眼科、原発閉塞隅角症における瞳孔ブロック解除目的、角膜サイドポートより25G硝子体カッターを挿入しPIを施行した42例42眼
・術前後の眼圧、前眼部OCT、内皮細胞密度について診療録から後ろ向きに検討
・平均年齢57.1±8.5歳、男性4例・女性20例、APAC 5眼・PAC 9眼・PACS 18眼
・APACは術後2年まで全ての期間で有意な眼圧下降
・PACの術後点眼数はすべての期間で有意な減少
・APACの術後点眼数は0
・前眼部OCT:隅角底の角度が術後有意に増加、前房深度・隅角底距離・両隅角底を結ぶ直線と水晶体前面との距離は術前後で有意差なし
・1年後の内皮減少率:1.5%
・硝子体カッターによるPIはレーザー虹彩切開術と同様の眼圧下降効果・前眼部形状変化・内皮減少率を認めた。本法は、将来の緑内障手術の障害となる結膜瘢痕を残さず、瞳孔ブロック解除に有効な術式と考えられた。(MK)
水素による超音波乳化吸引術と内皮保護
五十嵐 務(日本医大)
眼科手術 32(3): 351-356, 2019
・超音波乳化吸引術ではフリーラジカルが発生し、角膜を障害している。
・ヒアルロン酸ナトリウム製剤はヒドロキシルラジカルを防ぐ点から有効であるが、水素もヒドロキシルラジカルの抑制ができるため、水素含有眼内潅流液を使用すると角膜内皮細胞の酸化ストレスを軽減させることができた。(TY)
Effect of topical steroid instillation on central corneal thickness in eyes with bullous keratopathy
Takashi Ono, et al. (宮田眼科病院)
Japanese Journal of Ophthalmology (2019)(3)63:229-233.
目的:水疱性角膜症(BK)の眼の中心角膜厚(CCT)に対するステロイド点眼の効果を調べた。
対象と方法:2011年6月から2014年1月までの間に1日4回0.1%ベタメタゾン点眼薬で治療を受けたBKの角膜移植を希望しない患者(ベタメタゾン群)18人18眼、同期間に5%塩化ナトリウム(高張食塩水群)点眼剤で治療した年齢および性別が一致した患者18人18眼を対照群とした。
治療前にCCT、IOP、および角膜内皮細胞密度に有意な差はなかった。しかし、視力は高張食塩水群よりもベタメタゾン群の方が有意に優れていた(p = 0.02)。
ベタメタゾン群の7人7眼の患者は、副作用を訴えていなかったが、点眼剤の使用が彼らの要求により中止されたため除外された。対象群では18眼を調べた。ベタメタゾン群では、治療前、治療後2週間、1ヶ月、3ヶ月目の症例数はそれぞれ18眼、17眼、16眼、9眼であった。
結果:ベタメタゾン群でのCCTの変化は2週間後-28.8±29.3μm、1ヶ月後-39.5±40.4μm、 3ヶ月後-61.7±54.1 μm。高張食塩水群では2週間後+7.8±30.1μm、1ヶ月後+3.1±44.5μm、3ヶ月後で+8.6±67.1μm。
治療後2週間(p = 0.002)、1ヶ月(p = 0.02)、および3ヶ月(p = 0.001)において有意差を認めた。(図1)
視力は、ベタメタゾン群で2週間後0.74±0.68 logMAR、1ヶ月後0.67±0.68 logMAR、3ヶ月後0.61±0.70 logMAR、高張食塩水群で2週間後1.40±0.95 logMAR、1ヶ月後1.40±0.93 logMAR、3ヶ月後1.36±0.99 logMARであった。治療後2週間と1ヶ月で両群間に有意差を認めたが、治療後3ヶ月では有意差はなかった(それぞれp = 0.03、0.01、および0.06)。(図2)
眼圧は、ベタメタゾン群で2週間後14.2±5.7 mmHg、1ヶ月後15.3±6.0 mmHg、3ヶ月後15.0±2.6 mmHg、高張食塩水群で2週間後12.7±4.8 mmHg、1ヶ月後12.1±4.0 mmHg、3ヶ月後13.6±6.0mmHgであった。両群間に有意差はなかった。(それぞれp=0.12、およびp=0.07)。(図3)
感染性角膜炎および25 mmHgを超えるIOP上昇は観察されなかった。どの時点でも痛みを訴える症例はなかった。
結論:ステロイド点眼投与がBKを有する眼のCCTを減少させることができる可能性のあるメカニズムとして、第一に角膜内皮細胞のNa-K-ATPase活性およびポンプ機能を増加させる事が知られている。Na-K-ATPaseは、1つのATP分子を使って2 K +を取り込み、3 Na +を放出する溶質ポンプとして角膜内皮細胞の膜に存在する。この作用を通じて、角膜内皮細胞は細胞外にNa +を放出すると考えられている。 Na-K-ATPaseは角膜内皮機能の指標として利用されている。
第二のメカニズムはステロイドの抗炎症作用に関係している。IL-6、TNF-γ、およびTNF-αを抑制することができるステロイドは、前眼房内の炎症を軽減し、角膜内皮細胞の損傷から保護することができる。
BKを有する眼のCCTは、高張食塩水よりもベタメタゾンにより大幅に減少した。感染性角膜炎および10P上昇などの合併症は観察されなかった。これらの結果は、ステロイド点眼は、患者が角膜移植を受けるまで期間を延ばすことができることを示唆している。(CH)
Efficacy and safety of intravitreal drug injections using a short 34-gauge needle
Hirofumi Sasajima, et al. (愛知医科大学)
Japanese Journal of Ophthalmology (2019)(3) 63:269-275
目的:以前に硝子体内注射のために使用する34ゲージ短針は30ゲージ針と比較して、患者の疼痛を有意に減少させ、注射後の逆流の発生率は同等であることを報告した。
今回はサンプルサイズを増やし、34ゲージ短針を使用した硝子体内投与の有効性と安全性を評価する。
対象と方法:AMD、DME、またはRVOを有する合計243人の連続した患者(平均年齢74.0±11.3歳;範囲、30〜98歳)、その内10人の患者が両眼治療を受けた。
ラニビズマブ0.05 mL(0.5 mg)またはアフリベルセプト0.05 mL(2 mg)のいずれかを投与した。
結果:243人に698回の注射を行った。平均経過観察期間は30.2 ± 15.9週。硝子体内注射の平均回数は2.7±1.8回(1〜9回)であった。平均視力は、ベースライン時0.43±0.4 logMARから最終受診時0.36±0.41 logMAR と有意に改善した(P<0.0001)。(図1) 平均網膜厚は、ベースライン時426.9±168.5μmから最終受診時297.6±121.1μmへと著しく減少した(P<0.0001)。平均眼圧はベースライン時での13.6±3.0mmHg、最終受診時12.9±3.1mmHgだった。
網膜裂傷は、0.14%(1/698眼)で発生した。持続的な眼圧上昇が1.29%(9/698眼)で起こった。平均持続期間は6.2±2.7週間(範囲、4.3〜12.9)。9眼のうち4眼が注射前に緑内障点眼剤で治療されていた。眼圧は比較的短期間(1.5〜3ヶ月)で目標範囲まで減少し、経過観察中に追加の緑内障点眼剤は必要なかった。(表3)
他の重篤な合併症は発生しなかった。
結論: 34ゲージ短針は市販されている道具で、従来の針と同じくらい効果的であり、硝子体内注射に関する合併症についての心配を減らすことができる。 (CH)
Effects of the Glaucoma Drugs Latanoprost and Brimonidine on Corneal Temperature
Katarzyna Konieczka, et al (Switzerland)
Transl Vis Sci Technol 21;8(3):47. 1-9, 2019
ブリモニジン:選択的α2受容体アゴニスト 房水産生抑制とぶどう膜流出路促進
1時間以内にIOP低下し、2-3時間でピークに達する
ラタノプロスト:プロスタグランディンF2α受容体アゴニスト ぶどう膜流出路促進
プロドラッグであり、角膜通過時に代謝されacid型になって作用するため、眼圧下降効果が最大になるのは8-12時間とされる
19-47歳の健常人40名(男女比1:1)に上記点眼後、サーモグラフィーを用いて中心角膜温度を測定した
NaCl点眼、ラタノプロストでは角膜温度に変化はなかったが、ブリモニジン点眼では0.5℃角膜温度が低下した。
点眼2時間での測定ではラタノプロストよりもブリモニジンでの眼圧下降効果が大きかった
ブリモニジン点眼で中心角膜温度が低下したのは毛様体や虹彩の血流低下と考えられる。(MM)
Investigation of Conjunctival Fibrosis Response Using a 3D Glaucoma Tenon’s Capsule + Conjunctival Model
Rachel Gater, et al (UK)
Invest Ophthalmol Vis Sci 60(2): 605-614, 2019
ブタの房水とテノン・球結膜組織から2Dと3Dのテノン・球結膜組織モデルを作成
コントロール、剪断応力、TGF-β、TGF-β+剪断応力の4つの媒質に、TGF-β、TNF-α、VEGFのGrowth factor房水を入れた 剪断応力はシーソー型の箱で5rpmで1日1時間揺らし、房水が流れている状態を作成
細胞の増殖と生存率を3,5,7日で調査 3Dモデルでは14日目も調査
コラーゲン合成は3,7,14日で調べた
TGF-β、TNF-α、VEGFすべて2D,3Dともに細胞増殖があったが、それよりも房水を入れたものが最も増殖が強く、剪断応力をかけたものはさらに反応が強かった。
レクトミー術後に房水の存在と剪断応力があると相乗効果で線維化反応が生じると考えられる(MM)