Evaluation of prone versus supine positioning in fresh rhegmatonenous retinal detachment treated with pars plana vitrectomy and gas.
Agarwalla A et al(India)
Retina 44(7): 1150-1156, 2024
・新鮮な網膜剥離に対して25G硝子体手術(ガス注入)を行った72症例で、術後の仰向き姿勢37眼とうつ伏せ姿勢35眼を、術後3か月経過をみた。
・両群間に、網膜剥離の進展状況、部位、裂孔数などに有意差はなかった。
・術後復位例は仰向き群で97.3%、うつ伏せ群で94.3%で、有意差はなかった(p=0.61)。
・3か月後の視力は仰向き群で0.44±0.27(小数点0.36)、うつ伏せ群で0.35±0.27(0.45)で有意差はなく(p=0.119)、いずれも術前より有意に視力は上昇した(p<0.001)。
・術後の眼圧も同等で、白内障増加も同等(60%:53.8%)であった(P=1.00)。
・眼圧上昇スパイク、黄斑前膜形成、CME発生状況も同等であった(TY)
Comparison of the effects of eight different topical nonsteroidal anti-inflammatory drugs on reducing intravitreal injection-induced pain.
Sakallioglu A et al(Turkey)
Retina 44(7): 1196-1202, 2024
・非ステロイド点眼(NSAID)の硝子体注射による痛み緩和効果について662例662眼について、7種(8種:濃度違い)のNSAIDとCtrl(生食水)について検討した。
・痛みはvisual analog scale(VAS)で、注射直後と注射6時間後に0から10で評価した。
・0:痛みなし、10:激痛。
・最初に麻酔のproparacaine点眼を1滴点眼し、10%ヨードで眼瞼眼窩領域を消毒後、開瞼器をかけ、再度proparacaine点眼、5%ヨード点眼し、1分間待ち、生食で眼表面の残存ヨードを洗い流し、再度、proparacaine点眼後に30G針で、抗VEGF薬を注入した。
・8種のNSAIDsは、処置の30-40分前に1滴点入した。
・NASID点眼は、Nepafenacネバナック0.3%、Nepafenacネバナック0.1%、Ketorolac0.5%、Diclofenacジクロード0.1%、flurbiprofen(フロベン)0.03%、Indomethacin(インフリー)0.1%、Bromfenacブロナック0.09%、Pranoprofenニフラン0.1%である。
・ネバナック0.3%、ネバナック0.1%、ブロムフェナクの3種が注射直後と6時間後のVASが最小であり、ジクロードとKetrolacがVASが大きかったが、Ctrlよりは小さかった。
・フルベン、ニフラン、インフリーは注射直後の痛み緩和には影響がなかったが、6時間後のVASは有意に小さくなっていた。(TY)
Bilateral eye patching may improve clinical outcomes for acute primary rhegmatogenous retinal detachment.
Tang PH et al(MN USA)
Retina 44(4): 591-600, 2024
・裂孔原性網膜剥離RRDに対する術前の両眼帯BEPが網膜剥離と視力に与える影響を、retro-spectiveに335例について検討した。
・手術までのfull-time両眼帯を遵守した割合で、高遵守(≧90%)、中度遵守(>90%,≧50%)、低遵守(<50%)、Ctrl群に分けた。
・遵守群の240例を、95例のCtrl群と比較した。
・網膜剥離の状態を手術直前に評価した所、高遵守で64%、中遵守で35%と、低順守の4%、Ctrlの3%に比して、有意に下液減少がみられた(p<0.01)。
・黄斑剥離の症例での黄斑再接着の比率は、高遵守29%、中遵守8%で、低遵守の2%,Ctrlの1%よりも有意であった(p<0.01)。
・術後最終視力については、黄斑ON症例では遵守の影響はなかったが、黄斑OFF症例では高遵守はlogMAR=0.30(小数点0.5)であり、低遵守のlogMAR=0.40(0.4 p=0.04)、CtrlのlogMAR=0.60(0.25 p=0.02)より有意に良かった。
・術前の両眼帯を50%以上の時間、遵守することは術後視力に有意義であることがわかった。
・RDの診断から手術までのどの程度の遵守時間が最大の効果があるかについては検討していないが、3日を過ぎると遵守度が悪くなっていた。(TY)
Full-thickness macular hole closure with topical medical therapy.
Wang J et al(IL USA)
Retina 44(3): 392-399, 2024
・点眼治療で黄斑円孔が閉鎖した症例について検討した。
・2017-2022に治療した168例の黄斑円孔のうち、71例はステロイド(プレドニゾロン点4×1など)、炭酸脱水素酵素阻害剤(ブリンゾラミド点3×1など)、NSAID点眼薬(ブロムフェナク点4×1など)で治療を開始した。
・22例は脱落したが、49例(平均年齢67歳 59%が女性)について解析した。
・7/49例は硝子体手術PPV後の2次的なMHで、42/49例は特発性MHである。
・結果、18/49例(36.7%)は点眼治療で閉鎖し、このうち13例は特発性MHであった。
・円孔径が密接に閉鎖に関与しており、円孔径が10μm小さくなるにつれ、閉鎖確率は1.2倍(CI=1.1-1.4 p=0.001)になった。
・面白いことに黄斑前膜の存在は、点眼薬治療での円孔閉鎖とは相関がみられなかった。
・閉鎖にかかった時間は107.2日(20~512日)であり、円孔径とは関連がなかった(CI=-0.478~+1.938 p=0.217)。
・硝子体黄斑牽引VMTの存在は閉鎖に対して逆相関があった(OR=6.1 CI=1.2-31.3 p=0.029)。
・最初から硝子体手術PPVを選択した人と、PPVを選択する前に点眼治療を行った人との間には最終の最高視力には関連がなかった(p=0.318)(TY)
Prevalence and risk fators of age-related macular degeneration features among pilots.
Park JY et al(Korea)
Retina 44(3): 475-486, 2024
・韓国空軍のパイロット2,781名について加齢黄斑変性症のリスクファクターを調査した。
・黄斑変性症は、韓国空軍のパイロットの12.9%にあたる2,781名で、50歳以上が35.2%である。
・黄斑変性症のあるパイロットは年齢と相関(OR=1.082 CI=1.067-1.096 p<0.001)、女性で少なく(OR=0.229 CI=0.056-0.939 p=0.041)、喫煙(OR=1.027 CI=1.008-1.047 p=0.006)、飛行時間(OR=1.004 CI=1.003-1.005 p<0.001)、総コレステロール値(OR=1.004 CI=1.000-1.007 p=0033)、LDLコレステロール値(OR=1.005 CI=1.001-1.008 p=0.011)に相関していた。
・勤務状況にも関連し、戦闘機パイロットと比較して、地上勤務(OR=0.617 CI=0.460-0.827)、ヘリコプター(OR=0.572 CI=0.348-0.940)で有意差があった(p=0.002)。
・空軍のパイロットは一般の人よりもAMDの比率が高く、パイロットの職業リスクと考えられる。
・黄斑変性症の比率は一般:空軍では、40代が1.62%:18.4%、50代が5.16%:34.5%、60歳以上が11.68%:62.5%であった
・空軍の50歳以上では35.2%(112/318)であり、初期AMDが23.3%、中期AMDが11.6%、後期AMDが0.3%であった。
・飛行時間でみると、2000時間以内では9.34%、2000-4000時間では23.33%、4000-6000時間では50.94%、6000時間以上では100%であり、飛行時間とともに増えていた(p<0.001)。(TY)
Retina 44(1):28-36, 2024
Amari B et al(France)
Lifetime ambient ultraviolet radiation exposure and incidence of age-related macular degeneration.
・フランスのボルドー地区の73歳以上の963名の住民について、生涯にわたる紫外線(UVR)暴露とAMD発症との関連を調査した。
・614名の進行AMD小集団と、422名の初期AMD小集団が含まれている。
・EuroSun衛星を利用して住民の環境のUVR暴露歴(UV-A、UV-B、全UV)を見積もった。
・2006-2017にわたって2-3年に1回は眼底写真とOCT検査を行った。
・全UV、UV-A、UV-B暴露の中間4分位は、下4分位の者に比較して、初期AMDの発症が有意に高かった(HR=2.01 95%CI=1.27-3.13、HR=2.20 95%CI=1.38-3.50、HR=1.79 95%CI=1.13-2.80)。
・しかし、このリスクはUV暴露の高4分位でも更に上昇はしていなかった。
・進行AMDでは、どのUVでもとは有意な関連はみられなかった。(TY)
EFFECT OF ANESTHESIA DURATION ON INTRAVITREAL INJECTION PAIN: A double-blinded, randomized, comparative study.
Ma, Xiubin, Liang, Qianqian, Xue, Shuyue, Ren, Qi, Du, Qing, Zhang, Zhichun, Li, Xinying, Liu, Xin, Gao, Yan , Li, Jun (China)
Retina 2023; 43(8):1386-1392. | DOI: 10.1097/IAE.0000000000003824
【目的】
局所麻酔の持続時間の違いが硝子体内注射(IVI)の疼痛に及ぼす影響を検討
【対象と方法】
二重盲検無作為化比較試験
IVIを受ける連続した312眼を、局所麻酔(0.5%塩酸プロパラカイン点眼)の持続時間に応じて6群に無作為に割り付け
Group1:点眼麻酔1-5分後にIVI、Group2:6-10分、Group3:11-15分、
Group4:16-20分、Group5:21-25分、Group6:26-30分
患者は注射15分後にvisual analog scaleとWong-Baker FACES scaleを用いて痛みを評価
【結果】
6群間の疼痛スコアは、visual analog scale(P = 0.013)とWong-Baker FACES scale(P = 0.024)で有意差があった。
Group4の平均疼痛スコアは1.97±1.04(visual analog scale)、2.02±1.08(Wong-Baker FACES scale)でありGroup1・2・5・6に比べ有意に低かった
【結論】
局所麻酔の持続時間はIVIの疼痛と有意な関連があった
IVI前の0.5%塩酸プロパラカイン滴下は、投与後11~20分でIVIの疼痛緩和に最も効果的であった(MK)
Anterior segment optical coherence tomography in determination of entry site for vitrectomy in highly myopic eyes.
Hirono K et al(横浜市大)
Retina 43(5): 733-738, 2023
・前眼部OCTで毛様体扁平部の長さを推測し、高度近視眼で、強膜刺入創の位置を決める補助になるかを検討した。
・23眼の眼軸長29.2±2.3mmの近視性牽引性黄斑症患者を対象とし、術前に前眼部OCT(CASIA)で測定し、術中にも測定しているが、輪部からの距離を比較検討した。
・AS-OCTと術中測定での輪部から毛様体扁平部の長さは耳上側では6710±459μと6671±202μ(p>0.05)、鼻上側では6340±321と6204±402(p>0.05)であり、刺入部の平均位置は輪部から6.2mmであり、硝子体攝子は17/23眼(77%)で28mmのものを使用するのが良さそう。(TY)
Inverted internal limiting membrane flap for small-sized (<250μm) full-thickness macular hole. Anatomical and functional outcome.
Iuliano L et al(Italy)
Retina 43(4): 547-554, 2023
・50例の小円孔(<250μm)と50例の中円孔(250-400μm)の黄斑円孔について、25例ずつILM翻転法(ILM-IF)と通常のILM剥離で手術を行ない、解剖学的ならびに機能的な術後結果を比較した。
・6か月後の視力BCVA、micro-perimetric感度、外境界膜ELMとellipsoid zone(EZ)の回復を指標とした。
・BCVAは両群間で有意差はなかったが、6か月後の網膜感度では小円孔ではILM-IF法では20.79±0.48dBで、通常法の21.51±0.79dBよりも有意に悪かった(p=0.0035)。
・また、1か月後のELMとEZの回復度でも、ILM-IF法では24%と24%で、通常法の56%(p=0.0420)と64%(p=0.0095)よりも悪かったが、6か月後ではILM-IF法では40%と56%で、通常法の68%と80%との間には有意差はみられなかった。
・小円孔ではILM-IF法よりも通常法の方が解剖学的にも網膜感度の面からみても良いことがわかった。(TY)
Macular Hole Closure Without Endotamponade Application
Marcin Stopa et al. Retina 43(4): 688-691, 2023 (Poland)
・PFC使用下でILM剥離を行い、MHの上に被せたのちに凝集性粘弾性物質を乗せて空気置換せずに終了。術後は翌日まで運動を避け仰臥位でいるように指導。
・結果:12名(男性3名、女性9名)、平均年齢68±4.86歳
・大きさ: Large 8眼、Medium 3眼、Small 1眼
・平均最小MH径 441.25±160.02(140-715)μm
・12名中11名(91.7%)は円孔閉鎖が得られた。1名は翌日にILM-flapの接着が確認できずFluid-Air Exchangeを実施した。この患者は術後の行動抑制を守っていなかった。
・眼圧上昇や白内障の発症はなく、術翌日から視力やOCT評価が可能であった
・MHの閉鎖には硝子体腔と円孔内の液体の流れが阻害され、ILMを足場としてグリア細胞が遊走すれば良いと考えられる。
・ガスによる浮力は必要でないと考えられているが、表面張力も必要でないかもしれない。
・11眼中7眼がLarge MHであったので、この方法はさまざまなサイズのMHに対応できると思われる。
・PFCを使うことでILMの固定がより確実にコントロール可能であった。(MM)
Biomarkers of maternal smoking and the risk of retinoblastoma in offspring.
He Di et al(CA USA)
Retina 43(3): 481-489, 2023
・母親の喫煙と網膜芽細胞腫(RB)のリスクを検討した以前の研究では、喫煙が自己申告であったこともあり、結論が出ていなかった。
・今回の研究では喫煙の生物指標化合物biomarkerを用いて検討した。
・1983年から2011年に生れた498名のRBを選び、895名のコントロール群と比較した。
・母親の妊娠に関連した喫煙は3つの基準で求めた。
・喫煙の自己申告と新生児の血中のcotinineとhydroxycotinine量を測定した。
・これらの基準での母親の妊娠後期と分娩後早期の喫煙は、RBの発生と関連していた(OR=1.44 95%CI= 1.00-2.09)。
・喫煙を確定するcotinineあるいはhydroxycotinineだけでの母親の喫煙と単眼性のRBは関連していた(OR=1.66 95%CI= 1.08-2.57)。
・ニコチンの代謝産物は容易に胎盤を通過し、突然変異やDNA鎖を切断するし、母乳にも含まれている。
・喫煙はfree radical産物を増やし、RBの発症に関与する可能性がある。(TY)
Syringe design and filling technique affect accuracy of anti-vascular endothelial growth factor intravitreal injections.
Krauthammer M et al(Israel)
Retina 43(3): 514-519, 2023
・3種類の注射器で、注入量を調査した。
・1mLのslit-tipと、1mLのLuer-lockと、ラニビズマブ既充填のシリンジを用いて、意図した50μLの量との誤差を300回の施行で調査した。
・Slit-tipでは61.99±4.18、Luer-lockでは57.43±4.95、既充填では51.06±4.74であった。
・既充填が一番正確であったが、50μL以下のものが12.3%あり、既充填のシリンジで最も多かった。(TY)
Epiretinal membrane with foveal herniation. Visual and surgical outcomes.
Shah SM et al(MA USA)
Retina 43(2): 182-190, 2023
・神経網膜組織が網膜上膜から突き出た時に発生する中心窩突出(foveal herniation)の59症例の臨床像について検討する。
・59例中58例に硝子体手術を行ない、53.5%で形態が回復した。
・平均最高視力は20/80から20/40に改善した(p<0.0001)。
・術後3ヶ月で、平均中心網膜厚は632から432μmに減少(p<0.0001)し、平均黄斑容積は11.3から9.5mm3に減少した(p<0.0001)。
・術前では突出高が高いほどBCVAは悪く(p=0.008)、中心網膜厚が厚く(p=0.01)、網膜分離、CME、中心窩剥離、ellipsoid zone異常、外境界膜異常がみられ(p<0.05)、いずれも術後に軽快した(TY)
Conventional internal limiting membrane peeling versus inverted flap for small-to-medium idiopathic macular hole. A randomized trial.
Vetre L et al(Italy)
Retina 42(12): 2251-2257, 2022
・円孔径が400μm以内の小~中の大きさの特発性黄斑円孔に対して、通常のILM剥離を行った25例とILM反転を行った25例との比較を12か月後に行った。
・指標は、MP1 microperimetry での黄斑感度(MS)、最高視力、円孔閉鎖率、OCT上の中心窩形状や外境界膜、ellipsoid zoneの形状である。
・黄斑感度MSは旧来のILM剥離群が16.6±2.3dB、ILM反転群が14.9±2.9dBで、ILM剥離群が有意に良かった(p=0.026)。
・矯正最高視力は通常のILM剥離群がlogMARで0.19±0.14(Snellenで20/31)、ILM反転群で0.22±0.11(Snellenで20/33)で有意差なく、OCT上でも差はみられなかった。
・以上から、小~中の大きさの特発性黄斑円孔では、通常のILM剥離を行った方がILM反転を行うよりも良い結果が得られると考えられた(TY)
Treatment of persistent macular holes with heavy silicone oil.
Lohmann T et al(Germany)
Retina 42(12): 2258-2266, 2022
・初回のILM剥離手術で閉鎖が得られなかった黄斑円孔をheavy silicon oilで治療した63眼について報告する
・63眼中50眼(79.4%)で解剖学的な復位が得られた。
・初回の黄斑円孔手術前の視力はこれらの成功例では、logMARで0.77±0.24(Snellenで20/125)となり、円孔非閉鎖例の0.88±0.17(Snellenで20/160)より良好であった(p=0.044)。
・黄斑円孔の最小径は成功例で有意に小さかった。初回手術では403.4±128.7:568.1±209.1(p=0.009)、再手術では464.1±215.0:663.3±228.5(p=0.010)。
・黄斑円孔の初回手術例での成功率は85.0%~96.0%、2回目の手術では71.0%~81.0%との報告がある。
・Heavy SOの報告は2006年から報告されている。
・今回はDensiron 68(53眼)とOxan-HD(10眼)を使用した。
・Densironの濃度は 1.06g/cm3(25℃)で粘度は1,400mPas(ミリパスカル秒, 25℃)、Oxan-HDの濃度は 1.06g/cm3(25℃)で粘度は3,300mPas(25℃)
・SILIKON 1000(眼科用)ポリジメチルシロキサン:動粘度:980~1350 mm2/s、平均分子量:31,000~44,500。
・動粘度とは粘度をその液体の同一条件下(温度、圧力)における密度で除した値をいい、その単位 はセンチストークスをもちいる〔1cSt=1mm2/s〕。
・粘度とは液体内にずれ速度がある時、その速度の方向に単位面積において生ずるずり応力の大きさによって示される流体の内部抵抗(TY)
Internal limiting membrane peeling distorts the retinal layers and induces scotoma formatin in the perifoeal temporal macula.
Atao J et al(China)
Retina 42(12): 2276-2283, 2022
・黄斑円孔患者でのILM剥離が網膜機能に影響を及ぼすかどうかを検討した。
・45例55眼で全例、黄斑円孔は閉鎖しており、最低6カ月の経過を追えた患者で検討した。
・中心20度で、MP3でのmicroperimetryと中心6x6mmでのOCTAで検査した。
・網膜感度は傍中心窩耳側のETDRS領域では有意に低下していたが(24.97±2.67から19.98±5.68 p=0.001)、他の領域では低下していなかった。
・6例(13%)では24個の暗点が見つかり、そのうち62.6%では傍中心窩耳側であった。
・解剖学的には網膜外層の隆起がみつかり、同部位の網膜内層の窪みが傍中心窩の耳側部位に多く見つかった(76.8%)。
・この網膜外層の隆起の発生頻度は暗点のある群ではない群よりも有意に多かった(83%:18% p=0.014)。
・ILM剥離は網膜層の変形を来し、傍中心窩耳側の機能低下、暗点を来すことがわかった。
・Muller細胞はILMからOLMまで続いており、中心窩ではZ型をしているが、中心窩以外では直線的で器械的な力に対して弱くなっているため、ILM剥離が行われるとその足部分が障害され、gliosisが始まり、内境界膜の窪みに引っ張られた形でONLの凸が発生し、感度低下が起こるのであろう(TY)
Nasal crowding and nasal tilting of the macula after epiretinal membrane surgery.
Jin KW et al(Korea)
Retina 42(12): 2284-2293, 2022
・特発性網膜前膜に対する硝子体手術後の黄斑部の偏位について、102眼、平均経過観察21.14ヶ月で検討した。
・視神経乳頭縁から中心窩までの距離、中心窩の角度、網膜厚の非対称性や容積を調べた。
・乳頭縁から中心窩までの距離や中心窩の角度は時間とともに減少し、水平面での網膜厚や容積の非対称性は増加し、鼻側へ偏位して集中してきていた。
・これらの変化は最高視力と関連していたが、Mスコアとは関連がなかった(TY)
Effect of physician face mask use on postinjection endophthalmitis.
Fortes BH et al(FL USA)
Retina 42(11): 2120-2127, 2022
・抗VEGF薬の硝子体内注射後の眼内炎について、術者のマスク使用の効果について2か所のMayo Clinic(Mayo Clinic Rochester:MCRとMayo Clinic Health System:MCHS)での症例を基に検討した。
・マスク未使用での66,098注射例と、マスク使用での98,726注射例の合計165,824例をretrospectiveに調査した。
・全体で検討すると、全眼内炎については無マスクが20例(0.0303%)、有マスクが41例(0.0415%)で有意差はなく(p=0.24)、感染性眼内炎についても無マスクが12例(0.018%)、有マスクが13例(0.0132%)で有意差はなかった(p=0.42)。
・MCHSだけの症例をみると、眼内炎は有マスクでの症例で有意に多かったが、MCRだけの症例をみると感染性眼内炎は無マスクが9例0.0297%)、有マスクが2例(0.003%)で有意差がみられた(p<0.001)(TY)
Combination of vitrectomy and intentional macular detachment is associated with a faster edematous regression than vitrectomy alone in the treatment of refractory diabetic macular edema.
Yan Y et al(China)
Retina 42(10): 1859-1866, 2022
・糖尿病黄斑浮腫で、少なくとも5回の毎月の抗VEGF治療に反応が少なく、少なくとも2回は治療方法を変えた症例41眼を対象として硝子体手術でILM剥離を行った。
・この内、21眼は意図的な黄斑剥離IMDを行なったが(IMD群)、20眼ではIMDを行なわなわず(nMD群)、最低24週間(平均29.7:24-56週間)経過を追った。
・中心網膜厚の減少はIMD群で有意に大きく、1週目(p=0.001)、2週目(p=0.008)、4間目(p=0.004)であったが、12週目(p=0.051)、24週目(p=0.056)では有意差はなかった。
・また、最高視力の改善も両群間で有意差はなかった(p=0.83)。(TY)
Detection and characteristics of unruptured retinal arterial macroaneurysms.
Sakaguchi S et al(京大)
Retina 42(10): 1909-1914, 2022
・片眼性の網膜動脈瘤破裂を来した50例で(2014/4~2020/4)、未破裂網膜動脈瘤(RAMs)の僚眼をretrospectiveに調査した。
・調査期間は発症後、最低6カ月である。
・RAMsは50眼中6眼でみつかり、この6例中、8眼では合計12個(1眼に1個~4個)の未破裂RAMsが見つかった。
・このうち、8個では経過観察中に動脈瘤径が拡大し、6個は経過観察中に破裂した。(TY)