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Retina

2012
32巻

網膜剥離に対する強膜バックリング手術後に複視は予測できず、バックルの位置とは関連が無かった

Retina 32巻(8号)2012

Diplopia was not predictable and not associated with buckle position after scleral buckling surgery for retinal detachment
Fleur Goezinne et al (Utrecht, The Netherlands)
Retina 32: 1514-1524, 2012
・裂孔原性網膜剥離で強膜バックリング手術で初回治療を受けた1030名。二次的に斜視が発生した患者は39名(3.8%)。28名(2.7%)では、筋の機械的な制限のために斜視が進行した。
・複視28名のうち6名(21%)では、どの直筋の下にも全くバックルは無かった。7名(25%)は1つの筋の下、13名(47%)は2つ、2名(7%)は3つの筋の下にあった。この28名のうち17名はプリズム治療で改善(16名は垂直方向、1名は水平方向)、2名はfusionの訓練で改善。1名は斜視手術を行なったが治らず片眼遮閉となった。他の2名は視力矯正で治癒。4名は6ヶ月後に自然治癒。2名はプリズム治療が奏功せず、片眼遮閉を勧めた。最終的に39人中28名(72%)で治癒した。
・バックルの位置や型と、斜視の発生率やタイプに関連は無かった。
・この他に原因として考えられること
              ①筋へのクライオの影響(今回は4名に関連があったが6ヶ月で消退した)
              ②輪部付近の結膜の瘢痕(翼状片と同様の原因)
              ③局麻の筋への毒性による一過性の麻痺
              ④バックルによる筋の虚血(一報告では血流は43%まで減少しうる)
              ⑤あまり強くバックルで筋をしめつけると筋の出血、浮腫につながる
・治療法の順序
              ①プリズム ②バックル除去 ③斜視手術(できれば他眼の手術を勧める。なぜならばバックル治療した眼は筋が癒着、線維化し、手術が困難である上成功率が低い) ④この他に結膜と筋の瘢痕を取り除く、ボツリヌス注射も可能である(YM)

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