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Retina

2014
34巻

出血性の片眼網膜症

Retina 34巻(3号)2014

Hemorrhagic unilateral retinopathy
Veronica A. Kon Graversen et al.(NC USA)
RETINA 34(3):483-489, 2014
目的:健常者に出血性の片眼網膜症が発症した場合の考えられる病因を検討する。
結果:説明のつかない片眼網膜内出血を発症した10名11眼で全員女性。平均48.4才(25~83才)。主訴は突然の視力低下であるが視力は1.0から手動弁まであった。
平均17か月の経過観察で9眼は自然治癒し、視力も改善した。
網膜内出血は全身的に貧血、凝固系の亢進、白血病、血管閉塞性疾患、DM、高血圧、眼内新生血管などの結果として発症しやすいが、健常者でも鈍的外傷、極度な運動、高い標高にさらされた時、遺伝的体質、揺さぶられ症候群などで発症しうる。中には全く原因不明のものもある。今回、健常であまり高齢でない女性は突然の中心視力の低下を訴えた。11眼中5眼はわずかに静脈が拡張、FAを行った10眼中4眼は動静脈の血流がゆるやかであった。全員この出血を説明できる全身疾患も激しい運動、外傷も無かった。眼内炎症も無く、他眼は正常。女性だからという理由も無し。クモ膜下、硬膜下への注射後などに発症するならば両側性と考えられる。今回の全例の所見はCRVOとは異なり、黄斑浮腫は認めず、FA上乳頭出血、血管閉塞等の所見もなく、こういった症例を1つの出血性片眼網膜症と命名して良いかもしれない。(YM)

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