RELATIONSHIP BETWEEN METAMORPHOPSIA AND INTRARETINAL CYSTS WITHIN THE FLUID CUFF AFTER SURGERY FOR IDIOPATHIC MACULAR HOLE
YOSHIMI SUGIURA, et al.(筑波大学)
RETINA 37(1):70-75,2017
目的:特発性黄斑円孔(MH)のために硝子体切除術を経験している患者に変視症を数量化して、そして変視症と中心窩微細構造の関係を調査する。
対象と方法:51眼(男性25眼、女性26眼、平均年齢65.1 ± 6.6歳)
変視症をM-CHARTSを使用して定量化した。術前SD-OCTにて最小円孔径、円孔低径、黄斑部厚、外境界膜、ellipsoid zone、interdigitation zone(いわゆる錐体外節先端ライン;COST ライン)の欠損長、fluid cuff内のcystsの範囲を測定した。
術後3、6ヶ月に、黄斑部厚、外境界膜の欠損長、ellipsoid zone、interdigitation zoneの欠損長を測定した。
結果:術前に比べ、術後3ヶ月、6ヶ月で平均変視スコアがそれぞれ有意に改善した。術前0.82 ± 0.53、術後0.44 ± 0.36( P < 0.0005)、術後3ヶ月と6ヶ月の間には有意差はなかった。
視力も有意に改善した。
術前、術後3ヶ月では縦方向の変視スコアが横方向より高かったが、術後6ヶ月では相違はなかった。
術後の縦方向の変視スコアがfluid cuff内のcystsの範囲と関連した。術後の横方向の変視スコアは、円孔低径、外境界膜の欠損長、fluid cuffの中のcystsの範囲と関連した。
重回帰分析で、手術後横方向の変視症スコアがfluid cuffの中のcystsの範囲と有意に関連した(P <0.05)。
術後視力は術前の最小円孔径、円孔低径、黄斑部厚、外境界膜、ellipsoid zone、interdigitation zoneの欠損長、術後の外境界膜の欠損長、ellipsoid zone、interdigitation zoneと重要な関連を示した。重回帰分析では視力はellipsoid zone の欠損長と関連していた(P < 005)。
結論:MHに対する硝子体切除術で変視が改善したが、ゼロにならない事が判明した。
術前も術後も縦方向のほうが横方向の変視スコアがより高かった。それは、以前の研究で黄斑円孔が起こるとき鼻側方向への牽引力が強い事が判明している。それで水平方向の網膜の偏位が縦方向の変視がより大きかったと推測した。
また、fluid cuffの中のcystsの範囲は術後の変視の前兆となる要因の1つである。(CH)