Optical coherence tomography analysis of outer retinal tubulations. Sequential evolution and pathophysiological insights.
Preti RC et al(Brazil)
Retina 38(8): 1518-1525, 2018
・片眼あるいは両眼の脈絡膜新生血管CNVがあり、最低1年以上経過をみた連続119例238眼を対象にして、outer retinal tubulation(ORT) を継時的に評価した。網膜剥離既往眼や光凝固眼など、評価に影響しそうな眼は除外した。
・119例のうち片眼例は103例103眼、両眼例が16例32眼で、合計135眼である。
・135眼の内107眼(79.2%)は新生血管AMD、9眼(6.6%)は高度近視眼、8眼(5.9%)は網膜色素線条、7眼(5.3%)は原田病、4眼(3%)はCSC眼である。
・年齢は76.2±14.2(57-90)才であり、3.0±1.6(1-7)年、経過観察した。
・ORTは52眼であったが、最終時には67眼(28.1%)となり、そのうち9眼については発生過程を観察できたが、全例で低反射の管腔をもった開放ORTであった。
・9例全例で、経過中に、大きな開放ORTは小さな開放ORTに分割され、閉鎖ORTに移行していった。この平均形成期間は12.7±9(6-36)ヶ月であった。
・ORTの発生には地図状萎縮と網膜下の過反射物質の存在が危険因子であった(いずれもp<0.001)。
・ORTは1996年にCurcioらがAMDのある検体眼でみつけ、網膜外傷に反応した視細胞の再構築であろうと推定していた。
・その後、ORTは進行したAMD、脈絡膜新生血管眼、地図状萎縮眼、網膜色素線条眼、近視性新生血管眼などで見つかっている。
・Huaら(2015)は破断された視細胞の陥入がINL、OPL、ONLの下方移動を起こしているとし、この現象を ‘cynapsis’ と名付けている。
・Dolz-Marcoら(2017)はORTの形成過程をELMの形で説明している。
・視力はORTをもったAMDでlogMARで0.94±0.52(小数点0.12)、ORTのないAMDはlogMAR 0.9±0.49(小数点0.13)で有意差はなかった。
・中心窩厚はORT眼では492±184(203-1,144)μと厚く、ORTのない眼では410±209 (211-1330)で有意差があった(p=0.001)。
・ORT形成は視細胞がCNVから生き残る保護反応と考えられる。
・視細胞への障害がMüller細胞を活性化させ、glial fibrillary acidic proteinを発生し、ORTの形成とその分割を促進すると考えられる。
・ORT形成時、OPLとINLの下方移動(OPL沈下サイン)がORTに近接する部位で発生し、Müller細胞が網膜外層に引張られ、Müller細胞が編成することによってINLにmicrocystic macular lesionが発生すると考えた。(TY)