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Retina

2021
41巻

網膜静脈分枝閉塞症に関連する黄斑部浮腫再発リスクとなる血管形状

Retina 41巻(6号)2021

ANGIOGRAPHIC RISK FACTORS FOR RECURRENCE OF MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
TAKAHIRO KOGO, et al. (京都大学)
RETINA 41:1219–1226, 2021(6)
・目的:網膜静脈分枝閉塞(BRVO)に伴う黄斑部浮腫(ME)の再発リスクとなる血管形状を検討する。
・対象と方法:黄斑部を含む未治療のBRVOで、発症から初診までの期間が 2 ヶ月未満の患者の51人51眼。平均ベースライン時BCVA 0.25 ± 0.26 logMAR (20/200–20/13)、平均網膜中心窩厚は 532.9 ± 154.7 µm。
・初診時、全例黄斑部に嚢胞様黄斑部浮腫および/または漿液性網膜剥離を認めた。全例毎月3回ラニビズマブ硝子体内注射+PRN法で治療した。毎月検査を受け、明らかな浮腫の再発、および中心窩厚が350μm以上になった場合は追加の硝子体内注射を受けた。他の治療はしていない。
・治療開始3か月目(注射によりMEが収まっている状態)の傍中心窩VDI(血管密度と血管径拡張度)を患側・健側・耳側・鼻側の領域別にOCTAで測定し、3か月目から5か月目の傍中心窩および中心窩の縦方向の網膜厚の変化との関連を調べた。
・結果:3回注射後5か月目に、15眼 (29.4%) にME の再発を認めた。
・患側、鼻側、および耳側の傍中心窩 VDI は、同領域の傍中心窩厚と有意に関連していた (それぞれ P = 0.020、0.010、<0.001)。特に、耳側の傍中心窩 VDI は、中心窩厚とも有意に関連していた (それぞれ P = 0.037 と 0.026)。
・治療1年間のラニビズマブ注射回数は、4.4 ± 1.2 (3 ~ 8) 回だった。注射回数は、3 ヶ月目の耳側の傍中心窩VDI と有意に関連していた (P = 0.040)。
・結論: 耳側の傍中心窩 VDI は、耳側縫線の側副血管の状態を適切に反映している可能性がある。側副血管は、耳側 BRVO のある眼で優先的に形成され、血管外漏出液を血液循環または健側に排出する。
・より高い VDI は、健側への排出が不十分であることを表しているかもしれない。
・傍中心窩 VDI 、特に、耳側の VDIは BRVOに関連するMEの再発やラニビズマブ注射回数の予測因子になる可能性がある。(CH)

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