INCIDENCE AND RISK FACTORS OF INTRAOCULAR INFLAMMATION AFTER BROLUCIZUMAB TREATMENT IN JAPAN
SATORU INODA, et al. (自治医大)
RETINA 44:714–722, 2024(4)
目的:本邦における滲出型加齢黄斑変性に対するブロルシズマブ(ベオビュ)硝子体内注射(IVBr)後の眼内炎(IOI)発生率とその危険因子を検討する。
対象と方法: 14施設で2020年5月から2022年5月までにブロルシズマブによる治療を受けた滲出型加齢黄斑変性患者(日本国籍、年齢50歳以上、nAMDと確定診断、少なくとも1回のIVBrを受けた症例)1,351例を対象とした。男性76%、平均年齢は75.3歳。
結果:IOIは152眼(11.3%)、網膜血管炎(RV)および/または網膜血管閉塞(RO)は53眼(3.9%)に起こった。94例が両眼の治療を受け、両側性IOIは5例(5.3%)だった。
16眼(1.2%)にIOIによる不可逆的な視力低下が、9眼(0.67%)にRVおよび/またはROによる3 line以上の視力低下がみられた。
IOI発症までの期間の中央値は、最初のIVBr注射から49日(範囲:2~324日)、最後のIVBr注射から28日(1~138日)であった。2例を除くすべてのIOI症例は、最後のIVBr注射から4か月以内に発症した。RVおよび/またはRO発症までの期間は、初回注射後が57(7-289)日、最終注射後が26(1-138)日であった。
累積IOI発生率は、30日、180日、365日でそれぞれ4.5%、10.3%、12.2%であった。
IOIは、初回注射後91眼(初回注射を受けた患者の6.7%)、2回目33眼(3.1%)、3回目17眼(1.9%)、4回目以降10眼(1.2%)だった。IOIの発生率は、1回目、2回目、3回目の注射から4ヵ月後で、それぞれ11.8%、3.8%、2.3%であり(P<0.001)、IOIは1回目のIVBr注射後に最も多く発症した。
IOI(RVを含む)および/またはROの既往(オッズ比[OR]、5.41;P = 0.0075)および女性(OR、1.99;P = 0.0004)は、IOIと有意に関連していた。
高血圧、糖尿病、他の抗VEGF薬の使用歴(スイッチング)、両眼注射などの他の因子についても検討したが、これらは有意な危険因子ではなかった。
結論:ブロルシズマブ治療におけるIOIの1年累積発生率は12.2%であった。IOI(RVを含む)および/またはROの既往と女性が有意な危険因子であった。IOIは初回IVBr注射後に最も多くみられ、最終注射後4ヵ月間に集中し、徐々に減少する。そのため注射後4ヵ月までは患者を注意深く観察することを推奨する。
米国ではIOI(RVを含む)および/またはROの発生率は2.4%、韓国では13.9%との報告がある。IOIの発生率は東アジア人集団の方が高いようである。(CH)