Iatrogenic retinal breaks in 25-gauge vitrectomy under air compared with the standard 25-gauge system for macular diseases
Michele Reibaldi et al (Italy)
Retina 34(8): 1617-1622, 2014
・MHとERMに対して、2008.11~2010.9:25Gの通常の3-port Vit、2010.9~2012.7:2-port Vit後、ERM or ILM off後Air置換したのちに周辺部硝子体切除
・Air群の方が周辺部処理の際に硝子体が良く見えた
・全体として Air: 4/197 vs Standard 16/238 (P=0.035) で有意差あり
・術中の裂孔については有意差がなかったがAir群の方が少ない
・ほとんどがポートから離れた部位での裂孔であった
・Air群で少ない原因として、術中の視認性が高いことで安全に切除ができたことが考えられる
・表面張力のためにはっきりと視認できることと、gasにより網膜が押し付けられて、硝子体切除に対抗する力となる?
・MHとERMでの比較ではMH群で有意に高く、PVDを起こした症例が多かったこととの相関があった。PVDを起こした割合は差がないにもかかわらず、Air群での裂孔が少なかったのは、周辺部の硝子体切除の違いによると考えられる(MM)
Retinal toxicities of cancer therapy drugs. Biologics, small molecule inhibitors, and chemotherapies.
Liu CY et al(CA USA)
Retina 34(7): 1261-1280, 2014
・癌治療に使用される薬剤で網膜毒性を示したものを文献的に検索した。(TY)
Multilayered pigment epithelial detachment in neovascular age-related macular degeneration.
Rahimy E et al(NY USA)
Retina 34(7): 1289-1295, 2014
・硝子体内抗VEGF薬治療を数回にわたって受けた34例38眼の慢性線維血管性網膜色素上皮剥離PED所見についてOCTで経過を追った。
・PED内の独特の構造を解析し、視力との関係をみた。
・38眼の視力は20/50(20/20-20/400)で、平均28.2回(中間値23回、3-70回)の抗VEGF注射を受けており、平均36.9か月(中間値37.5、6-84か月)経過を追った。
・紡錘状、あるいは糸巻き状で、系統的になった層状の高屈折帯がPED内に見られた。
・19例では不均一で拡張した新生血管組織がRPEの下表面に見られたし、25眼では脈絡膜新生血管を分離するような低反射空間が見られた。
・多数回の抗VEGF注射を受けた眼では特徴的な紡錘形の組織化され”多層PED”と名付けられるような層状の高屈折帯が網膜色素上皮下に見られる。
・これらの帯は収縮した線維組織複合体と考えられる。
・その脈絡膜側に接触して低屈折空間”前脈絡膜裂隙”が、多分、収縮や液成分の浸出によって発生する。
・これらの多くは視力が良好で、その理由は新生血管や瘢痕性過程が網膜色素上皮下腔内で抗VEGF薬によって抑制されるからであろう(図)。(TY)
Decreased macular thickness in nonproliferative macular telangiectasia type 2 with oral carbonic anhydrase inhibitors.
Chen JJ et al(IA USA)
Retina 34(7): 1400-1406, 2014
・黄斑部網膜血管拡張症2型(MacTel type2)で炭酸脱水酵素阻害剤が黄斑部厚や嚢胞を減らす効果があるかどうかを調べた。
・2009年から2012年のIowa大のMacTelを調べたところ、MacTel2の13例中8症例に炭酸脱水酵素阻害剤が投与されており、5症例は経過が追えた。
・5症例では嚢胞も黄斑部厚も経過観察群より減少していた(-12.2μm p=0.02)。
・網膜厚はmethazolamideネプタザン群(-6.25μm p=0.177)よりも、acetazolamide群(-20.13μm p=0.007)で顕著であったが、視力には効果がなかった。(図)(TY)
Morphologic features of focal choroidal excavation on spectral domain optical coherence tomography with simultaneous angiography.
Shinojima A et al(日大)
Retina 34(7): 1407-1414, 2014
・Enhanced depth OCT、FAG、ICGで26例29眼(男21例、女5例)の31か所の局所脈絡膜陥凹FCEを調べた。
・21眼の病態は典型AMD、CSC、PCV、特発性脈絡膜新生血管であったが、8眼では特発性FCEと考えられた。
・FCEのタイプを3つに分けた:錐体型17部位、どんぶり型8部位、混合型6部位である。
・どんぶり型、混合型では全例、FCE部のRPEの不整がみられた。錐体型は典型的なAMD症例には見られなかった。(図)(TY)
Individualized, spectral domein-opthical coherence tomography-guided facedown posturing after macular hole surgery
Minimizing treatment burden and maximizing outcome
Toshifumi Yamashita et al (鹿児島大学)
Retina 34(7): 1367-1375, 2014
・2008.7月-2012.12月までの104例107眼:
GroupA1 72眼 術直後からうつ伏せ(FD) PRN 平均57時間
GroupA2 35眼 術後2日目の夕方のOCTで閉じていない場合FD 平均10時間
その後OCTで閉鎖が確認でき次第FD中止
・2004.1月-2007.6月までの42眼 GroupB:7日間(144時間)FD
・両群間で患者背景に有意差なし
・術後2日目:A1 51/58(87.9%) , A2 29/35(82.9%)が閉鎖
FDを全くしていなくても29眼は二日目の時点で閉鎖している
・10%程度は長時間のFDが必要であった
・300μm以下のMHでは全例閉鎖したが、それ以上のものはFDが必要なものがあり、MHサイズと相関(MM)
Characteristics of cystoid spaces in type 2 idiopathic macular telangiectasia on spectral domain optical coherence tomography images.
Oh JH et al(Korea)
Retina 34(6): 1123-1131, 2014
・2型黄斑部毛細血管拡張症(MacTel-2)の網膜内嚢胞について、血管からの漏出が主体となっているMacTel-1、網膜静脈閉塞あるいはDM黄斑症と比較検討した。
・嚢胞の形状をソフトウエアで解析し、円形性を算出した。
・完全な円形を1、多型性を0としてランキングした所、16眼のMacTel-2では円形性が低く、MacTel-1とはp=0.04、網膜血管閉塞とはp<0.001、DMEとはp<0.001で有意差があった。
・これらのことから、MacTel-2の病態は変性によるものであると考えた(TY)
Characteristics of central serous chorioretinopahty complicated by focal choroidal excavation.
Suzuki M et al(阪大)
Retina 34(6): 1216-1222, 2014
・中心窩脈絡膜脈絡膜窩FCEのある中心性網脈絡膜症CSCの7例7眼(56.9±9.8歳)について検討した。
・7例中6例では漏出点はFCE縁にあった。
・また、ICG検査ではすべてのFCE領域は低蛍光であったが、後期にはFCE領域周囲の脈絡膜血管からの過浸出により過蛍光となっていた。
・CSCにFCEが合併していると脈絡膜過蛍光やRPE萎縮があり、判定が難しくなる。(TY)
Choroidal thickness changes after a single administration of coffee in healthy subjects.
Vural AD et al(Turkey)
Retina 34(6): 1223-1228, 2014
・健康成人がコーヒーを飲んだ時の脈絡膜厚について検討した。
・コーヒーは100mlで57mgカフェイン含有のTurkish Coffeeである。
・62人のコーヒー群と、54名の飲水群で検討。年齢はいずれも32±7歳であり、体重は63~67±15Kg、身長は165±8cmである。
・飲前の脈絡膜厚は、コーヒー群328±79μm、水群311±79で有意差なし(p=0.381)。
・コーヒー群の脈絡膜厚は5m(297μm),30m(288),1h(283),2h(277),3h(282),4h(293),6h(331),24h(330)であり、4hoursまではいずれもp<0.001で有意に薄くなっていたが、6h,24hでは有意差がなくなっていた。
・飲水群では全経過で有意差がなかった。
・このことからコーヒーを飲むと、4時間までは脈絡膜厚が薄くなることがわかった。(TY)
Safety, efficacy, and quality of life following sutureless vitrectomy for symptomatic vitreous floaters
John O. Mason Ⅲ et al (Alabama, Birmingham)
Retina 34(6): 1055-1061, 2014
・143名168眼の飛蚊症患者に対する無縫合25G硝子体手術をレトロスペクティブに評価
・平均観察期間18カ月(12-28M)
・手術終了時に周辺部に裂孔がないかを確認(7.1%で発生)
・PVDを起こしても大丈夫なのかは症例数が少なく不明(術中PVDを起こしたのは12眼のみ)
・術後RRDの発生や、大きな合併症は無
・有水晶体眼40例中17例で白内障進行(既報では50-60%)
・96%は満足(術後電話で確認)
参考:Pars plana vitrectomy for disturbing primary vitreous floaters: clinical outcome and patient satisfaction
K. F. de Nie et al. Graefes Arch Cli Exp Ophthalmol 251(5): 1373-1382, 2013
20G/23Gでの手術成績:満足度は同程度だが、術後合併症が多かった。(MM)
Postoperative macular hole formation after vitrectomy with internal limiting mambrane peeling for the treatment of preretinal membrane.
Rush RB et al(Australia)
Retina 34(5): 890-896, 2014
・黄斑前膜に対してILM剥離を行った423例のうち、術後に黄斑円孔を発生した11例について検討した。
・発症率は2.6%(95%CI=1.5-4.6%)で、2例は中心部の黄斑円孔(0.5% 95%CI=0.1-1.7%)、9例は傍中心窩の円孔であった(2.1% 95%CI=1.1-4.0%)。
・黄斑円孔の直径は114.5μm(95%CI=85.4-203.6μm)、円孔検出までの期間は4.2週(95%CI=2.5-5.6W)。
・この9例の傍中心窩円孔のうち、円孔の直径は7例は115μm未満、ILM剥離縁に沿って発生したものが7例、黄斑部の上方か耳側に発生したものが8例であった。
・中心部に黄斑円孔のあった2例については、2度目の手術(硝子体手術+ガス注入)を行い、軽快したが、傍中心窩の黄斑円孔は再手術はしなかった。
・円孔の発生と年齢、性、術前視力、眼軸長、術前の中心黄斑厚などとは関係がなかった。(TY)
Antibacterial properties of 2% lidocaine and reduced rate of endophthalmitis after intravitreal injection.
Tustin A et al(GA USA)
Retina 34(5): 935-942, 2014
・結膜下への2%リドカイン/0.1%メチルパラベン(リドカイン)の注入が硝子体内注射後の眼内炎の頻度を減らすかどうかを検討するため、in-vitroの実験でリドカインが眼内炎を引き起こす菌に対して抗菌的な作用があるかどうかを検討した。
・リドカインはグラム陽性、陰性、抗酸菌、糸状菌の増殖を抑えることが知られている。
・眼内炎患者から取り出した黄色ブ菌、表皮ブ菌、緑色連鎖球菌をリドカインが入ったものと入らない培養液で10,30,120,240分培養し、コロニー数を24時間後に数えた。
・リドカインは3つの菌に対して抗菌的に働いており、10分間の暴露でコロニー数をそれぞれ、90%(p<0.01)、95%(p<0.001)、92%(p<0.001)減少させ、30分後にはそれぞれ、98%、100%、100%であった。
・臨床例では、15,042回の硝子体内注射で眼内炎は8例発症(0.05%)したが、結膜下へリドカイン0.5mlを注射後5分以上待ち、blebを通して硝子体内へ注射した群では眼内炎の発症頻度は0/6,853で、しなかった群では8/8,189(0.1%)であった。
・2%キシロカインE注射液(メチルパラベン0.1%)、2%リドカイン注射液(パラオキシ安息香酸メチル0.05%)、0.5%マーカイン注射液(メチルパラベン0.08%)。(TY)
Clinical course of vitreomacular adhesion managed by initial observation.
John VJ et al(FL USA)
Retina 34(4): 442-446, 2014
・臨床的に症状があり、OCTで特発性硝子体黄斑癒着VMAの81例106眼の経過を追った。
・VMAの程度はOCTで分類した。
・G1:中心窩癒着があり不完全な硝子体剥離(43眼41%)、G2:G1所見+網膜内チストか裂け目(56眼52%)、G3:G2+RPE上に腔発生(網膜下液)(7眼7%)。
・平均年齢72.7(41-92)歳で平均23か月(median=18,1-91か月)経過観察した。
・経過観察中に34眼32%が自然緩解、5眼4.7%に硝子体手術を行った。(TY)
Vitrectomy for myopic foveoschisis with internal limiting membrane peeling and no gas tanponade.
Uchida A et al(慶応大)
Retina 34(4): 455-460, 2014
・近視度-4から-34D、眼軸長28.38~35.90の黄斑円孔のない近視性黄斑分離症9名10眼について、ILM剥離だけ行い、ガス置換を行わずに硝子体手術を行った。
・術前視力logMAR=0.61±0.42(小数点0.24)。初回手術で8眼80%で治癒、2眼は黄斑円孔を発生し、再手術を行った。
・全例解剖学的に改善され、5眼ではlogMAR=0.47±0.48(小数点0.33)まで改善した。
・硝子体網膜境界面での牽引力が原因であり、近視性黄斑分離症にはガス置換は不要であろう(TY)
Hemorrhagic unilateral retinopathy.
Graversen VAK et al(NC USA)
Retina 34(4): 483-489, 2014
・健康な人に発生した片眼性網膜出血の10例11眼について報告。
・網膜深層の出血で、全例女性。
・年齢は48.4(25-83)才で視力は1.0~HM。17か月の経過観察で9眼は自然軽快した。(TY)
Retinal nerve fiber layer thickness modification after internal limiting membrane peeling.
Balducci N et al(Italy)
Retina 34(4): 655-663, 2014
・30例30眼の特発性黄斑円孔あるいは黄斑前膜に対するILM剥離手術後の網膜神経線維層(RNFLT)の変化について、6か所に分けて、術後1,3,6か月後で検討した。
・上耳側、耳側、下耳側、下鼻側、鼻側、上鼻側である。視野は術前と術後6か月で測定。
・術後1か月では耳側を除いた全部位でRNFLTは有意に増大していたが、3か月目には術前値に戻っていた。
・術6か月目では上耳側(p<0.001)、下耳側(p<0.05)、耳側(p<0.001)で術前値より有意に薄くなっており、平均の減少幅は18.2±9.8μmであった。
・RNFLTと視野との間に相関はなかった。
・1か月後のRNFLTの増加は炎症によるものと思われる。
・また、6か月後の耳側3部位でのRNFLT減少はILM剥離による物理的な障害であろうと思われる。(TY)
Inverted internal limiting membrane flap technique for surgical repair of myopic macular holes.
Michalewska Z et al(Poland)
Retina 34(4): 664-669, 2014
・網膜剥離を伴わない近視性黄斑円孔に対するILM片反転法について報告する。
・-6D以上の19例の黄斑円孔を伴った近視眼で手術を行った。
・黄斑円孔の閉鎖は内網膜層から始まり、円孔は徐々に組織で埋められていった(図)(TY)
Intravitreal pharmacokinetics after posterior subtenon triamcinolone acetonide injection in vitrectomized rabbit eyes.
Park HU et al(Korea)
Retina 34(4): 801-806, 2014
・35頭のrabbit眼で、後部テノン下へ注入したtriamcinolone acetonide(TA)40mg/ml注入の効果を調査した。
・1眼は硝子体手術眼で、両眼に注入し、1,3,7,14,28,56,84日目に5頭ずつ眼球摘出を行い、硝子体内TA濃度を測定した。
・経硝子体術眼:コントロール眼での硝子体内濃度はそれぞれ、1763:3988(p=0.018)、823:360(p=0.02)、322:154(p=0.036)、113:49(p=0.042)、36:31(p>0.2)、14:15(p>0.8)、7:8(p>0.7)ng/mlであった。
・硝子体内TAの半減期は23.3日:28.9日であった。
・経硝子体術眼ではTAの半減期は短くなるが、初期の濃度は高く、同じ様な治療効果が期待できる(図)(TY)
Hemorrhagic unilateral retinopathy
Veronica A. Kon Graversen et al.(NC USA)
RETINA 34(3):483-489, 2014
目的:健常者に出血性の片眼網膜症が発症した場合の考えられる病因を検討する。
結果:説明のつかない片眼網膜内出血を発症した10名11眼で全員女性。平均48.4才(25~83才)。主訴は突然の視力低下であるが視力は1.0から手動弁まであった。
平均17か月の経過観察で9眼は自然治癒し、視力も改善した。
網膜内出血は全身的に貧血、凝固系の亢進、白血病、血管閉塞性疾患、DM、高血圧、眼内新生血管などの結果として発症しやすいが、健常者でも鈍的外傷、極度な運動、高い標高にさらされた時、遺伝的体質、揺さぶられ症候群などで発症しうる。中には全く原因不明のものもある。今回、健常であまり高齢でない女性は突然の中心視力の低下を訴えた。11眼中5眼はわずかに静脈が拡張、FAを行った10眼中4眼は動静脈の血流がゆるやかであった。全員この出血を説明できる全身疾患も激しい運動、外傷も無かった。眼内炎症も無く、他眼は正常。女性だからという理由も無し。クモ膜下、硬膜下への注射後などに発症するならば両側性と考えられる。今回の全例の所見はCRVOとは異なり、黄斑浮腫は認めず、FA上乳頭出血、血管閉塞等の所見もなく、こういった症例を1つの出血性片眼網膜症と命名して良いかもしれない。(YM)
TOPICAL NEPAFENAC AFTER INTRA VITREAL INJECTION
A Prospective Double-Masked Randomized Controlled Trial
J. NIKLAS ULRICH (North Carolina, U.S.)
RETINA 34(3): 509-511, 2014
・1滴のnepafenac(ネバナック点眼)とプラセボを比較し、硝子体注射後の眼球の不快感を和らげる事ができるかどうかを評価する。
・2011.10月〜12月の間、ノースカロライナ大学で治療を受けた120人。(AMD,RVO,DMEの為、bevacizumab又はranibizumab硝子体注射を受けた人)(表1)注射後nepafenac点眼またはSystanane Ultra点眼をした。
・痛みレベル 0〜3(0:痛み無し、1:軽い痛み、2:中等度の痛み、3:激しい痛み)を、注射後1、6、24時間後に評価した。
・nepafenac点眼群で6時間後に際立って痛みスコアが低くなった。(表2)
さらに、各グループから痛みスコアの高かった患者20人ずつ選び、比較検討したところ、nepafenac点眼群で6,24時間後に有意に低いスコアになった。(表3)
・たった1滴のnepafenac点眼が硝子体注射後の不快感を減らす効果があると思われた。(CH)