Intravitreal injection of ranibizumab during cataract surgery in patients with diabetic macular edema
Paulo I. Rauen et al (University of Sao Paulo, Brazil)
Retina 32: 1799-1803, 2012
・レーザー治療では効果の無い糖尿病性黄斑浮腫を有する11名11眼に白内障手術終了時に0.5mg/0.05ccのラニビズマブ硝子体注射を一回施行し(術前検査より1週以内)、術後1,4,8,12週で黄斑厚と視力の変化を調べた。
・患者の条件は、①DME(少なくとも3ヶ月以内に黄斑部にLKを行ない、FAで中心窩を含むほぼ黄斑全体にびまん性の漏出) ②最良矯正視力がlogMAR0.3(20/40)から1.6(20/800) ③OCT上中心網膜内厚が300㎛以上 ④Grade2(Lens Opacity Classification SystemⅢ)以上の白内障で、そのため格子状LKを十分追加できない。
・中心網膜内厚(CSFT)は術前、術後の検査で明瞭な変化は無かった。(P>0.05) 最良矯正視力(BCVA)は、術後明らかに改善した。(P<0.05) ゆえに術後視力の改善は白内障の除去によるものと考えられた。
・これまでのいくつかの報告では、ベバシズマブを用いて黄斑厚が減少しているが、今回はラニビズマブを用いたため、半減期が2倍長いベバシズマブが長く効果を有し、有効であったと思われる。(YM)
Macular sensitivity and morphology after intravitreal injection of triamcinolone acetonide for macular edema with branch retinal vein occlusion
Hidetaka Noma et al (Tokyo Women’s Medical University, Japan)
RETINA 32: 1844-1852, 2012
・BRVOによる黄斑浮腫の治療のためトリアムシノロン・アセトニドの硝子体注射後黄斑部の感度、厚さ、黄斑全体の体積の変化を評価する。
・黄斑浮腫のあるBRVO患者17名17眼に4.0㎎/0.1mlのトリアムシノロン・アセトニドの硝子体注射(IVTA)を施行。FA上の毛細血管灌流域により、患者を虚血型と非虚血型に区別した。マイクロぺリメトリーを用いて黄斑の感度を中心4°,10°,20°で測定。黄斑の厚さと体積はOCTで測定した。
・平均黄斑厚は中心4°,10°,20°で硝子体注射後明らかに減少した(すべてP<0.001)。また全黄斑の体積も減少した(すべてP<0.001)。視力は術後3か月と6か月で明らかに改善した(P=0.002)。3つの範囲での黄斑の感度も改善した(すべてP<0.05)。これらの検査結果に虚血型と非虚血型で明瞭な差は認めなかった。(虚血10名、非虚血7名。年齢、性別、高血圧と高脂血症の有無、BRVOの罹患期間すべて差なし)。
黄斑部の区域
・IVTAは白内障の悪化、眼内圧の上昇の合併症のため使用頻度が減少し、抗VEGFが多くなっているが、TAにて黄斑浮腫が改善し厚みが減少することが視細胞の機能回復となり、虚血型でも視力改善し有効と思われる。(YM)
Intravitreal bevacizumab treatment for exudative age-related macular degeneration with good visual acuity
Ruth Axer-siegel et al (Tel Aviv, Israel)
RETINA 32: 1811-1820, 2012
・視力良好な滲出性ARMD患者の視力と解剖学的結果におけるIVBの効果を検討する。
・6か月以上経過観察した視力0.5以上の新しく診断された滲出性ARMD患者130名150眼に6週毎にIVBを3回施行し、液体又は出血が残れば追加した。
・平均IVB回数11.3±6.2回。最終的に視力が不変又は改善は106眼(70.7%)。術前と最終の平均視力変化は、0.22±0.1から0.22±0.2、CMT(中心黄斑厚)は267±75㎛から226±75㎛(P=0.14)。最も高頻度の合併症(18眼、12%)は角膜上皮欠損であった。
・視力良好な新しく診断された滲出性ARMDのIVB治療は、視力は不変又は改善し、安全に施行できた。最初の視力は気にせずに早めに治療を行なうべきと思われる。結果的に視力低下した症例は治療が3年以上の長期にわたるもので、継続するCNVの活動性によるダメージが大きいことと、色素上皮・網膜の損傷が進行したことによると思われた。(YM)
Subretinal drusenoid deposits associated with pigment epithelium detachment in age-related macular degeneration
Florian Alten et al (Bonn, Germany)
RETINA 32: 1727-1732, 2012
・ARMDに二次的に生じた色素上皮剥離(PED)を有する患者の網膜下ドルーゼン性沈着物(SDD)の特徴を述べる。
・少なくとも片眼にARMDが原因で漿液性、ドルーゼン性、血管性PEDを有する104名208眼に共焦点SLO近赤外線リフレクタンスイメージ(820nm)を記録した。
・SDDは102名中55名(53.9%)に認めた。この55名中46名には両側にSDDがあった(83.6%)。SDDは右眼に51(50%)、左眼に50(49.0%)認められた(右のみ5,左のみ4,両46)。204眼中146眼ではARMDによるPEDがみられ、そのうちの111(76%)は血管性、35(24%)はドルーゼノイド。SDDの存在と関連していたのは年齢(P<0.0001)、女性(P=0.014)であったが、PEDのタイプとは関連なかった(P=0.174)。
・SDDはARMD由来のPEDを伴う眼には普通にみられ、共焦点SLOで容易に認められる。最も高頻度にみられたのは、中心窩の上方と上耳側アーケードであった。SDDの大きさは様々であり、25㎛から1,000㎛まで。検眼鏡的検査では軟性ドルーゼンと比較して少し白く見えた。
・血管性PED――FA上CNVが見られ、OCT上RPE隆起の下に網膜内・下液を伴う場合と無い場合がある。
漿液性PED――FA上、初期は背景螢光の影として見られ、後期で漏出も無く、色素上皮下空間に均一に染まる。OCT上RPE隆起の下に高反射は認めず、網膜内・下液に囲まれない。
ドルーゼノイドPED――FA上漏出は無い。RPE隆起の下に均一な高反射物質を伴い、網膜内・下液に囲まれない。
・SDDはARMDに特徴的だが、血管新生又は萎縮性ARMDに特徴的ではない。なぜならSDDはARMDの初期にも認められるからである。今回の調査でドルーゼン性と血管性PEDの間でSDDの広がりに明らかな差は無かった。しかし、GA(地図状萎縮)、CNV、PEDのある後期ARMD眼には多く見られると言われている。SDDはリポフスチン様物質と言われているが、原因はいまだに不明である。(YM)
Swelling of the arcuate nerve fiber layer after internal limiting membrane peeling
Augustino clark et al (Bologna, Italy)
Retina 32: 1608-1613, 2012
・特発性黄斑円孔とERM手術でILM剥離術後早期の網膜神経線維層の変化を調べる
・ERM55人56眼、MH31人33眼に対し、pars plana vitrectomyとILM peelingを施行。赤外線写真(IR)、自発蛍光写真(AF)、SD-OCTを、術前、術後1週、1ヶ月、3ヶ月で検査した。89眼のうち28眼(31.46%)で術後1週から1ヶ月で弓状網膜神経線維層の腫脹(SARNFL)を示したが、平均2ヶ月後には消退した。この特徴はAFで最も良く描写され、3~5本の視神経乳頭から延びる線で黄斑に向かって弓状に延びている。視力の回復には影響しない。
・SANFLの病因として考えられること
ILM剥離の時につかむ鑷子による網膜内層の直接的な外傷。これが神経に沿った軸索原形質の流れを破壊して視神経から放射状に延びる弓状の線を作る。
ILMにくっついているミューラー細胞の終末端へのダメージで、SANFLは外傷の早期の反応である可能性。
この他の原因として、光、色素、術中使用する液体、ガスの網膜への毒性も考えられるが、これらであれば影響は限局性ではなく、網膜全体に及ぶはずである。(YM)
Intravitreal ranibizumab versus bevacizumab for treatment of myopic choroidal neovascularization
Pierluigi iacono et al (Conegliano, Italy)
Retina 32: 1539-1546, 2012
・48名の患者のうち無作為に23名はIVR、25名はIVBで治療。全員①-6D以上の近視又は眼軸26.5㎜以上 ②FA上中心窩下にCNV。 再治療の必要は①OCT上、網膜内又は網膜下に液体が貯留 ②FA上の漏出 ③新しい出血の存在
・IVB、IVR共に有効であるが、注射回数ではIVRの方が少ない回数で有効だった。(YM)
Diplopia was not predictable and not associated with buckle position after scleral buckling surgery for retinal detachment
Fleur Goezinne et al (Utrecht, The Netherlands)
Retina 32: 1514-1524, 2012
・裂孔原性網膜剥離で強膜バックリング手術で初回治療を受けた1030名。二次的に斜視が発生した患者は39名(3.8%)。28名(2.7%)では、筋の機械的な制限のために斜視が進行した。
・複視28名のうち6名(21%)では、どの直筋の下にも全くバックルは無かった。7名(25%)は1つの筋の下、13名(47%)は2つ、2名(7%)は3つの筋の下にあった。この28名のうち17名はプリズム治療で改善(16名は垂直方向、1名は水平方向)、2名はfusionの訓練で改善。1名は斜視手術を行なったが治らず片眼遮閉となった。他の2名は視力矯正で治癒。4名は6ヶ月後に自然治癒。2名はプリズム治療が奏功せず、片眼遮閉を勧めた。最終的に39人中28名(72%)で治癒した。
・バックルの位置や型と、斜視の発生率やタイプに関連は無かった。
・この他に原因として考えられること
①筋へのクライオの影響(今回は4名に関連があったが6ヶ月で消退した)
②輪部付近の結膜の瘢痕(翼状片と同様の原因)
③局麻の筋への毒性による一過性の麻痺
④バックルによる筋の虚血(一報告では血流は43%まで減少しうる)
⑤あまり強くバックルで筋をしめつけると筋の出血、浮腫につながる
・治療法の順序
①プリズム ②バックル除去 ③斜視手術(できれば他眼の手術を勧める。なぜならばバックル治療した眼は筋が癒着、線維化し、手術が困難である上成功率が低い) ④この他に結膜と筋の瘢痕を取り除く、ボツリヌス注射も可能である(YM)
Causes of unsuccessful ranibizumab treatment in exudative age-related macular degeneration in clinical settings
Salomon Y. Cohen et al (Rouen, France)
Retina 32: 1480-1485, 2012
・滲出性ARMDで初回片眼又は両眼にIVR治療される患者を3施設にわけて検討した。
・パリ群‐6名の医師(4名は1回のIVR、2名は3ヶ月毎月のIVRを施行)
オルレアン群‐1名の医師が1回IVRを施行
ルーアン群‐1名の医師が3ヶ月毎月のIVRを施行
・上記3群で15文字以上の視力悪化の患者を選別し、OCT、眼底写真、FAを2名の医師が読影し、視力低下の原因を判定した。
・結果 パリ群 122名(124眼)中、悪化は12眼(9.6%)
中心窩の萎縮(6)、網膜下線維化(3)、網膜下出血(2)、RPE裂孔(1)
オルレアン群 66名(66眼) 悪化は5眼(7.6%)
中心窩の萎縮、網膜下線維化、網膜下出血、線維化と萎縮の合併が各1 眼
ルーアン群 100名(100眼) 悪化は4眼(4%)
網膜下線維化(1)、網膜下出血(1)、線維化と萎縮の合併(2)
・1年で15文字以上悪化の割合は3群で変わらず。これらの眼で、年令、性別、左右、CNVの型、IVRの回数、視力に差は無かった。
・線維化は中心窩下CNVの最も普通の経過である。重篤な網膜下出血は未治療のCNV又はレーザーかPDT治療後のCNVでみられる。RPE裂孔はCNVの経過で発生しうるが、硝子体注射の手技でもおこりうる(0.1~2.9%)
・治療方針、手技、適応に一定の規則が無くても、3群で視力悪化が同じ割合でみられたことより、IVR後視力低下をきたすことがありうるが、AMDの自然の経過と考えられた。(YM)
Long-term results of photodynamic therapy for subfoveal choroidal neovascularization with pathologic myopia
Fabrizio Giansanti et al (Florence, Italy)
RETINA 32: 1547-1552, 2012
・無血管中心窩の中央を含む脈絡膜血管新生に対してPDTを受け、少なくとも5年以上観察できた病的近視(-6.0D以上か、眼軸が26.5㎜以上)の患者43名43眼。抗VEGFやステロイドで加療された者は除外。
・初年度平均視力は不変。2年で悪化し始め、3年以上で明らかに悪化した。PDTの回数が増えることや初回PDTのスポットサイズは共に視力に影響していないと思われた。
・CNV付近の網脈絡膜萎縮は5年で83%にみられた。長期観察すると、網脈絡膜萎縮の進行により視力は低下する。レーザーは長い眼軸では網脈絡膜が薄いので、脈絡膜萎縮を拡大すると思われる。
・PDTのみで加療した近視性CNVは、長期経過では脈絡膜血管新生のために明らかに視力低下する。ゆえに、色素を減量したPDTや、抗VEGF硝子体注射も考えるべきである。(YM)
SWELLING OF THE ARCUATE NERVE FIBER LAYER AITER INTERNAL LIMITING MEMBRANE PEELING
CLARK A et al. (Italy)
RETINA 32:1608-1613, 2012
・研究の目的は特発性黄斑円孔と網膜前膜手術のための内境界膜(ILM)剝離後早期の網膜神経線維層の変化の発生率を報告する。
・2008年2月〜2010年12月の間に手術を受けた89眼:黄斑上膜55人56眼、黄斑円孔31人33眼(stage2:1眼、stage3:4眼、stage4:19眼、層状:9眼)を対象とした。
男性50人、女性49人、平均年齢70.2±9.8歳。術前の検査で弓状網膜神経線維層(SANFL)の浮腫は認められなかった。また、その他の眼疾患もなかった。
・術後1ヶ月までに28眼(31%)にSANFLを認めた。SANFLは術後平均2.15±0.7ヶ月で消失した。
SANFLの有無に関わらず、術前視力、術後視力、年齢、性別で相違はなかった。
・黄斑手術後の自発蛍光、赤外線、OCTが臨床検査で明白でないはかない網膜の内面の変化を発見することができる。
さらなる調査が内境界膜剝離のダメージを最小限に抑える手技の発達を助けるかもしれない。(CH)
Choroidal thickness in inferior staphyloma associated with posterior serous retinal detachment.
Yamagishi T et al(京大)
Retina-32(7): 1237-42, 2012
・黄斑部下方にぶどう腫があり、後極部の漿液性網膜剥離を伴った5例5眼についてEDI-OCT、蛍光眼底検査などで検討した。
・全例でぶどう腫の上縁は黄斑部を横切っており、その部分はRPEの脱色素があり、脈絡膜厚は最も薄く(37.4±13.5μm, 23-53μm)、FAではwindow defects像を示し、ICGでは全経過で低蛍光であった。
・ちなみに、中心窩の脈絡膜厚は172.1±44.7μm(110-219μm)であった。
・このようなぶどう腫上縁の脈絡膜の異常が漿液性網膜剥離を発症する大きな要因となっていると考えた。
・傾斜乳頭症候群では、ぶどう腫の進行が、RPE、ブルッフ膜や脈絡膜毛細血管層のぶどう腫の上縁から上方への牽引を引き起こすと考えられており、今回の症例でも、ぶどう腫上縁への上方への牽引が解剖学的な変化をもたらす可能性もある。
・漿液性網膜剥離の原因としては、RPEの機能不全、脈絡膜血行の障害が関与しているのであろう。
Choroidal thickness and visual acuity in highly myopic eyes.
Nishida Y et al(岩手医大)
Retina 32(7): 1229-36, 2012
・6D以上の高度近視で、Lacquer crack、新生血管や網膜分離などの病態のない人について、視力との関連を検討した。
・米国ニューヨークでの25例35眼(57±18.1歳、屈折度-10.9±3.6D)と、日本での61例110眼(46.8±14.7歳、屈折度-9.2±3.1D)について、EDI-OCTを行い、中心網膜厚、中心脈絡膜厚、外網膜低反射層(ヘンレ層+外顆粒層)、内層からRPE外、の4つの厚みと、視力との関連を調べた。
・中心窩脈絡膜厚は113.2±53.9μm(米国)、172.9±72.8μm(日本)であったが、この中心窩脈絡膜厚は年齢、近視屈折度と逆比例しており、また、logMARと逆比例していた(米国p=0.041 日本p<0.001)。
・中心窩脈絡膜厚は視力を予測する有用な因子であった
Snoring is Associated with Unexpected Patient Head Movement During Monitored Anesthesia Care Vitreoretinal Surgery
Mccannel CA, et al.(USA-MN)
RETINA 32(7):1324–1327, 2012
・鎮静剤の静脈注入を併用した局所麻酔下に網膜硝子体手術を施行した230症例;いびきの有無、患者の体動の有無、および体動による合併症の有無を前向きに調査
・37症例でいびき発生、これらのうち18例(43%)で患者が突然頭を動かした
・その一方でいびきの記録なく体動が見られたのは193例中わずか2例(P<0.001)
・Propofolの持続注入が予期せぬ突然の頭部の動きと関連していた(P=0.0028)【Tab.1】
・体動による合併症はみられず
【結論】鎮静剤の静脈注入を併用した局所麻酔下でいびきをかく事は、患者の突然の体動を高い確率で予測しうる。Propofolの持続注入による麻酔は患者の頭が動く機会を増やすかもしれない。眼科手術医は患者の体動による合併症リスクを最小化させるためにこれらの関連を知っているべきである。(MK)
Intravitreal Saline Injection Ameliorates LASER-Induced Retinal Damage in Rats
Belokopytov M, et al.(Israel)
RETINA 32:1165–1170, 2012
・ラット36眼に生理食塩水を硝子体注入(5μL)または静脈内注射(0.5mL)し、その直後に標準的なアルゴンレーザー(514および544nm、200μm、0.1W、0.05秒)を照射、3・20・60日後に病理組織学的検索
・3地点すべてにおいて、硝子体注入群のラットの眼では静脈内注射群のそれと比べて網膜細胞の喪失が有意に少なく病変の最小半径が有意に小さかった(ともにp<0.05)
【結論】硝子体腔への生理食塩水の注入は、ラット網膜において明らかな神経保護効果を示す。この効果のメカニズムはさらに調査されるべきであり、臨床に応用されるか試されるべきである(MK)
Effect of intravitreal triamcinolone injection during vitrectomy for idiopathic epiretinal membrane.
Ahn JH et al(Korea)
Retina 32(5): 892-6, 2012
・58名58眼の特発性黄斑前膜に対し、硝子体手術時に硝子体内へトリアムシノロンを注入した27眼と、コントロールの31眼を比較し、その効果を検討した。
・注入群:Ctrl群で、視力logMARは術前 0.70±0.23:0.63±0.21、術後1ヶ月 0.59:0.48、3ヶ月 0.55:0.43、中心窩厚は術前 456.9±101.4:467.1±80.3μm、1ヶ月 387.9:376.1、3ヶ月 336.4:375.1であり、視力、中心窩厚、あるいは合併症についても、両群間に有意差は見られなかった。
Optic disk analysis with Heidelberg Retina Tomography in patients with branch retinal vein occlusion.
Citirik M et al(Turkey)
Retina 32(5): 985-9, 2012
・HRTを用いて、30例35眼の網膜静脈分枝閉塞症BRVOの視神経乳頭形状を解析し、30名60眼の正常者と比較した。
・患眼と正常眼を比較すると、乳頭面積 1.80±0.28:2.59±0.42(p=0.01)、陥凹面積 0.30±0.24:0.89±0.36mm2(p=0.03)、リム面積 1.51±0.26:1.70±0.41mm2(p=0.004)、陥凹容積 0.06±0.07:0.24±0.16mm3(p=0.001)、リム容積 0.41±0.14:0.45±0.21mm3(p=0.03)、陥凹深さ 0.16±0.28:0.28mm(p=0.03)であった。
・BRVOの視神経乳頭の形状は、解剖学的に小さく視神経が混雑しており、これが、BRVOになるリスクファクターの可能性がある
Preliminary efficacy and safety of a silocone oil-filled foldable capsular vitreous body in the treatment of severe retinal detachment.
Lin X et al(China)
Retina 32(4): 729-41, 2012
・我々は、以前に重症網膜剥離に対して用いる折畳式の硝子体(foldable capsular vitreous body:FCVB)についての報告をしている。
・このFCVBの眼内での安定性や効果について検討した。
・このFCVBを3mm切開部から、3つに折り畳んで3眼に挿入し、その中にシリコンオイルを注入し、12ヶ月経過観察した。12ヶ月後、全例で復位は得られていた
FAMILIAL TRENDS IN A POPULATION WITH MACULAR HOLES
KAY CN et al. (USA)
RETINA 32:754-759, 2012
・黄斑円孔を持った患者群とコントロール患者群と比較して黄斑円孔の家族歴、片眼と両眼の黄斑円孔患者の家族歴と比較する。
・コントロール群136人(平均年齢は67.9歳±12.6、平均人数は4.9人±3.8)
黄斑円孔群を166人(平均年齢72.6歳±8.2、平均家族人数は5.8人±2.9)
片眼黄斑円孔142人(85.5%)(平均年齢72.0歳±8.2、平均家族人数5.0人±2.9)
両眼黄斑円孔24人(14.5%) (平均年齢75.5歳±8.0、平均家族人数4.5人±2.9)
・片眼黄斑円孔142人のうち2人(2.1%)、両眼黄斑円孔24人のうち4人(16.7%)に家族歴があった。ロジスティック回帰分析で可能性がある因子として年齢と家族人数が挙げられる。
・これらの調査結果は黄斑円孔に家族的な要素を示唆する。
両眼黄斑円孔を持った患者が将来遺伝子検査の対象としてふさわしい。(CH)
Prospective randomized controlled trial of combination ranibizumab (Lucentis) and bromfenac (Xibrom) for neovascular age-related macular degeneration. A pilot study.
Flaxel C et al(NY USA)
Retina 32(3): 417-23, 2012
・ranibizumab硝子体注射に bromfenac点眼治療の追加が有効かどうかを検討したPhaseⅡ介入試験である。
・30眼を20眼の点眼併用者群と10眼のranibizumab注射のみ群に分けた。
・全例、4ヶ月間は月1回のranibuzumab注射を受け、その後は必要な場合に追加した。
・点眼併用群は1日2回点眼を12ヶ月間使用し、12ヶ月後で検討した。
・ETDRS最高視力や注射回数には両群間に有意差はなかったが、中心黄斑厚の12ヶ月後の変化は、注射単独群では42.5μm(-18.9%)の減少であったのに対し、併用群では81.6μm(-28.3%)の減少があった(p=0.032)。
・4ヶ月後でも、単独群43.1μm(-19.2%)に対し、併用群は70.9μm(-24.6%)減少していた(p=0.013)。
・50μm以上減少した症例は併用群で有意に多かった(p=0.046)。
・併用療法については更なる検討が必要である。
Reducing oral flora contamination of intravitreal injections with face mask or silence.
Doshi RR et al(CA USA)
Retina 32(3): 473-6, 2012
・10名の術者が口の下30cmに血液寒天培地をもち、4つの状況下で30秒間朗読した。
・各条件毎に10枚の培地を使用した。G1:マスクせず、G2:通常の手術マスクを使用、G3:マスクしないが、培地を5%ポビドンヨードで前処置、G4:マスクなしで話もしない。
・各培地を24時間37℃で培養し、コロニー形成数(CFUs)を測定した。
・G1=8.6、G2=1.1、G3=0.1、G4=2.4CFUsであり、G2とG4間には有意差がなかったが、その他は全て有意差があった(p<0.05)。