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Retina

2011
31巻

無縫合硝子体手術後の強膜創の閉鎖

Retina 31巻 (4号) 2011

Effect of intravitreal gas tamponade for sutureless vitrectomy wounds. Three-dimensional corneal and anterior segment optical coherence tomography study.
Yamane S et al(横浜)
Retina 31(4): 702-6, 2011
・24眼で25G無縫合硝子体を行い、この72個の強膜創を術後3時間、1,3,7,14日後にOCTで検索し、創口の閉鎖具合を空気置換したものとしなかったもので比較調査した。
・閉鎖とは強膜外側の離開がなくなったものと定義している。
・3時間後、1,3,7,14日後の、ガス置換しなかった群の閉鎖率は、26.2%, 28.6%, 35.7%, 52.4%, 85.7%であったが、ガス置換群では、53.5%, 73.3%, 76.7%, 83.3%, 93.3%と有意に高かった。

2011
31巻

糖尿病黄斑症のタイプ別のケナコルト硝子体内注入効果

Retina 31巻 (4号) 2011

Visual outcome after intravitreal triamcinolone acetonide depends on optical coherence tomographic patterns in patients with diffuse diabetic macular edema.
Shimura M et al(宮城)
Retina 31(4): 748-54, 2011
・過去に治療歴のない糖尿病黄斑浮腫の135眼につき、トリアムシノロン(4mg/0.1ml)を硝子体内注入IVTAし、その効果を検討した。
・処置前のOCTによる黄斑浮腫の形状を、スポンジ様瀰漫性網膜肥厚SDRT:49眼、CME:45眼、漿液性網膜剥離SRD:26眼、混合型FULL:15眼の4種に分けて検討した。
・注入後の中心黄斑厚の減少は、SDRT:31.0±15.9%、CME:40.7±14.2%、SRD:23.4±15.0%、FULL:25.8±14.8%であり(p<0.001)、視力はlogMARでの改善は、SDRT:-0.26±0.21%、CME:-0.32±0.20%、SRD:-0.17±0.20%、FULL:-0.14±0.22%であった(p=0.018)。
・以上から、ITVAの効果はCMEでより効果があり、SRDでは効果が薄いことが分かった。

2011
31巻

原田病の脈絡膜OCT

Retina 31巻 (3号) 2011

Subfoveal choroidal thickness after treatment of Vogt-Koyanagi-Harada disease.
Maruko I et al(福島医大)
Retina 31(3): 510-7, 2011
・Enhanced depth imaging OCTを用いて、8例16眼の原田病の中心窩下の脈絡膜厚を測定した。
・急性期には脈絡膜は805±173μmと肥厚しており、3日後には524±151(p<0.001)、2週間後には341±70(p<0.001)と減少した。
・ステロイド治療後、1ヶ月で漿液性網膜剥離も消褪した。
・VKHの急性期では脈絡膜は肥厚しており、これは炎症による浸潤の他に、浸出も増加しているからであろう。
・EDI-OCTはVKHの病状把握の為には有効である。

2011
31巻

急性黄斑部神経網膜症

Retina 31巻 (3号) 2011

Acute macular neuroretinopathy
Outer retinal abnormalities in acute macular neuroretinopathy.
Vance SK et al(NY USA)
Retina 31(3): 441-5, 2011
・OCTで検索されたAcute macular neuroretinopathyの4例を報告した。
・年齢は28~34歳で、2例は両眼発症であり、1~5ヶ月経過観察。
・検眼鏡的には暗い葉状の部位があり、視野欠損に一致し、視細胞外節の部分的欠損である。
・視力は20/20~20/25。
・この外節欠損は2例では治癒し、他の2例でも改善した。
・全例で該当部の外顆粒層が薄くなっていたが、経過観察中、改善もなかった。
・網膜外層の構造は回復するが、外顆粒層は薄いままである

2011
31巻

シリコンオイル眼における眼軸長測定の誤差

Retina 31巻 (2号) 2011

Immersion B-guided versus contact A-mode biometry for accurate measurement of axial length and intraocular lens power calculation in siliconized eyes.
Einen KGAE et al(Egypt)
Retina 31(2): 262-5, 2011
・シリコンオイル眼60眼をAモードで測定したA群30眼と、浸水性Bモードで測定したB群30眼に分けて、術後3ヶ月目の眼軸長と比較した。
・B群では25眼83.3%が予定屈折度の±1D以内に入っていたが、A群では14眼46.4%だけであった。
・平均屈折偏位はBモードでは0.15±0.94であり、Aモード群 -0.95±1.16よりも有意に小さかった(p=0.024)。
・これは、Bモードではシリコンオイルと網膜間の空間が区別できる事によると考えられる。
・シリコンの後面は強い反射像を示し、網膜前面のスパイクと間違えられるのであろう

2011
31巻

強膜内陥術後のステロイド内服の効果

Retina 31巻 (1号) 2011

Influence of systemic steroids on subretinal fluid after scleral buckle surgery for macula-off retinal detachment.
Wu JS et al(Taiwan)
Retina 31(1): 99-104, 2011
・60名(年齢13-73歳:平均41.5歳)の黄斑部が剥がれた網膜剥離に対する初回の強膜内陥手術後の網膜下液の消失や視機能に対するステロイド内服の効果について検討した。
・術後3日間ステロイド内服治療を行ったGroup1と、しなかったGroup2で検討。
・G1は、0.5mg/体重Kgのプレドニゾロンを内服したGroup1Aと、1mg/体重KgのGroup1Bに分けた。
・術後1W, 2W, その後1カ月間隔で1年間経過観察。
・SRFの持続期間は、G1は218.1±122.1日、G2は286.5±141.0日(p=0.039)で有意差あり。
・1年後のBCVA(logMAR)は、G1は0.27±0.28、G2は0.29±0.31(p=0.709)で有意差なし。
・BCVA(logMAR)の改善は、G1は1.38±1.05、G2は0.74±0.78(p=0.026)で有意差あり。
・G1AとG1Bとは有意差がなかった。
・術後のステロイド内服はSRFの吸収や、BCVAの改善にも有効であった。

2010
30巻

DM黄斑症にたいするアバスチン注入とグリッド光凝固の効果

Retina 30巻 (10号) 2010

Intravitreal bevacizumab and/or macular photocoagulation as a primary treatment for diffuse diabetic macular edema.
Solaiman KAM et al(Egypt)
Retina 30(10): 1638-45, 2010
・48例62眼の糖尿病黄斑浮腫を、21眼の硝子体内bevacuzynab 1.25mg注入群(IVB群)、19眼のグリッド凝固群(MGP群)、22眼のIVB後にグリッド凝固を行った群(併用群)に分け、治療の効果を検討した。
・1,3,6か月後の中心黄斑厚(CMT)、BCVA、FA漏出の変化、合併症の有無で検討した。
・1ヶ月後では、CMTの改善は、MGPでは10.45%(p>0.05)、IVBでは31.30%(p<0.05)、併用群では23.77%(p<0.05)であり、BCVAの有意な改善(p<0.05)は、IVB群(0.84→0.52:小数点0.14→0.30)と併用群(0.83→0.65:小数点0.15→0.22)でみられた。
・3ヶ月目では、CMTの改善が有意(p<0.05)であったのは、併用群34.5%だけであり、BCVAの有意な改善(p<0.05)は、IVB群(→0.71:小数点0.19)と併用群(→0.62:小数点0.24)であった。
・6か月後では、CMTの有意な改善(p<0.05)は併用群21.85%だけで、BCVAはいずれの群でも有意差がなくなっていた。
・併用治療は瀰漫性のDMEの初期治療として有効であろう。

2010
30巻

DM硝子体手術終了時のアバスチン注入の効果

Retina 30巻 (10号) 2010

Role of intravitreal bevacizumab (Avastin) injected at the end of diabetic vitrectomy in preventing postoperative recurrent vitreous hemorrhage.
Cheema RA et al(UK)
Retina 30(10): 1646-50, 2010
・58例の糖尿病性硝子体出血に対する硝子体手術で、25例で手術終了時に1.25mg/0.05mLのアバスチンを硝子体内に注入し、33例のコントロール群と比較した。
・コントロール群では14例(42.4%)に再発性術後硝子体出血が発症したが、注入例では1例(4.0%)に発症しただけであった(p=0.001)。
・ただし、両群間に経過観察中での最終平均視力には差がなかった

2010
30巻

ICG毒性に対する手術光の影響

Retina 30巻 (10号) 2010

Safety testing of indocyanine green with different surgical light sources and the protective effect of optical filters.
Hillenkamp J et al(Germany)
Retina 30(10): 1685-91, 2010
・ICGの光誘発細胞毒性について、黄斑手術に使われる様々な光源と光学フィルターについて検討した。
・豚眼のPRE細胞を5%グルコースに0.5mg/mlのICGを溶いた液につけ、3分から15分光源に照射した。
・3分と15分の照射後の細胞減少率は、各種光源ともフィルターなしの場合、96.3±11.2と75.8±8.7%、650nm以下を透過するカットフィルターを使用した場合は、91.6±7.3と86.4±5.9%、475nm以上を透過するカットフィルターを使用した場合は、103.3±4.9と101.7±0.6%であった。
・照射しない場合にはICG毒性はなかったし、ICGなしで照射だけの場合も毒性はなかった

2010
30巻

網膜中心静脈閉塞症患者に対する手術治療の効果

Retina 30巻 (10号) 2010

Central retinal vessel blood flow after surgical treatment for central retinal vein occlusion.
Crama N et al(France)
Retina 30(10): 1692-7, 2010
・CRVOに対するradial optic neurotomy(RON)あるいは、rtPAを使用した網膜血管内手術(REVS)が網膜血流速度に良い影響があるかどうかを検討した。
・発症後12ヶ月以内の6名のCRVOで、5眼は中心静脈血流速度は健眼より遅く、1眼では差がなかったが、このうち3眼にRON、3眼にREVSを行い、術後の中心静脈血流量の変化を検討した。
・術後24週後では全例で健眼より遅く、2例では術前よりも更に遅くなっており、3例では術後に変化はなく、1例では術後僅かな改善があった。
・結論的には、これらの手術の効果には疑問がある

2010
30巻

糖尿病黄斑症に対する硝子体手術の効果

Retina 30巻 (9号) 2010

Factors associated with visual acuity outcomes after vitrectomy for diabetic macular edema. Diabetic Retinopathy Clinical Research Network.
Flaxel CJ et al(MA USA)
Retina 30(9): 1488-95, 2010
・241眼の糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術後の6か月後の評価を多変量解析で行った。
・6か月後には中心網膜厚の中間値は412→276μmに減っていたが、視力中間値は不変であった(視力:20/80)。
・ただ、大きな視力改善は、術前視力が悪い場合(p<0.001)、網膜上膜を除去した時(p=0.006)に得られていた。
・中心網膜厚の大きな減少は術前視力が悪い場合(20/40、20/80で区切p<0.001)。
・術前網膜厚が厚い場合(300, 400μmで区切 p=0.001)、内境界膜を除去した場合(P=0.003)、OCTで網膜硝子体癒着がみられた場合(p=0.006)に得られた。
・術前の術者による後部硝子体観察の状況は視力結果には影響していなかった。

2010
30巻

AZOORにおける眼底自発蛍光とOCT所見

Retina 30巻 (8号) 2010

Fundus autofluorescence and optical coherence tomographic findings in acute zonal occult outer retinopathy
Fujiwara T et al(NY USA)
Retina 30(8): 1206-16, 2010
・11例19眼のAZOORにおける眼底自発蛍光とOCT所見について検討。
・眼底自発蛍光異常は17/19例でみられた。傍視神経乳頭部に多く、OCT所見の異常部位よりも狭かった。
・9眼では、平均経過観察期間69.7か月間に低自発蛍光の進行があった。
・AZOORの中心窩の視細胞層の平均厚は177±32μm、正常者193±16μmよりも有意に薄かった(p=0.049)。
・中心窩の3mm鼻側の視細胞層厚はAZOORでは37.2±35μmで正常者の102±13の約1/3であった(p<0.001)。
・8例12眼で視細胞層ONL欠損があったが、中心窩のONL欠損者はなかった。
・中心窩下の脈絡膜厚は243μmで正常であった。
・自発蛍光異常のあった17眼では、11眼で低自発蛍光部位一致してONLが欠損しており、5眼でONLが薄くなっていた。
・AZOORでは脈絡膜は正常であるが、RPEが関与する眼底自発蛍光の異常を示し、異常な網膜内層の層状構造がみられる

2010
30巻

シリコンオイル抜去後の低眼圧症

Retina 30巻 (8号) 2010

Risk factors for the development of transient hypotony after silicone oil removal.
Kim SW et al(Korea)
Retina 30(8): 1228-36, 2010
・シリコンオイル抜去を行い、最低半年の経過観察を行った89例89眼の術後一過性低眼圧について報告。
・術後一過性低眼圧THとは、術後1週間以内に発生し、4ヶ月以内には回復する眼圧6未満のものと定義した。
・THは35/89(39.3%)に発生したが、33眼は1週間以内に解消した。
・多変量解析では、THは唯一、長眼軸長と有意に相関していた(OR=1.385 95%CI=1.047~1.833 p=0.023)。

2010
30巻

抗VEGF薬注入後のRPE裂孔について

Retina 30巻 (7号) 2010

A new grading system for retinal pigment epithelial tears.
Sarraf D et al(CA USA)
Retina 30(7): 1039-45, 2010
・滲出性AMDに対して、抗VEGF治療後のRPE裂孔の分類を行った。
・2005年1月から2009年1月の間に、pagaptanib, bevacizumabあるいはranibizumabを注入し、RPE裂孔を発生した20例21眼について検討した。
・FAGを用いたRPE裂孔の最大径と中心窩に掛っているかどうかで、程度を分類した。
・Grade1(径が200μm未満)が4眼(19%)、Grade2(径が200-1乳頭径)が3眼(14%)、Grade3(径が1乳頭径を超える)が4眼(19%)、Grade4(Grade3のうち、中心窩にかかっているもの)が10眼(48%)であった。
・Gradeが低いほど、視力が良く、続けて行った抗VEGF治療に反応し易く、瘢痕形成が少なかったが、時間と共にGradeが上がる危険性はあった。

2010
30巻

Chemical vitrectomyの効果について

Retina 30巻 (7号) 2010

Intravitreal injection of microplasmin for treatment of vitreoacular adhesion. Results of a prospective, randomized, sham-controlled phase Ⅱ trial(The MIVI-ⅡT Trial).
Stalmans P et al(Belgium)
Retina 30(7): 1122-7, 2010
・酵素硝子体融解で硝子体黄斑癒着をはずす試みの、この二重盲検第Ⅱ相試験には60例が登録された。
・症例は4群に分けられ、sham(12例)、75(12例), 125(13例), 175μg(11例)のmicroplasminが硝子体内注入された。
・この全群で、1ヶ月後に癒着が外れていない場合に、125μgのmicroplasmin注入が行われ、変化がない場合には1ヶ月後に更に125μgのmicroplasmin注入を行った。
・最初の注入後28日目に癒着が外れていた比率は、sham,75,125,175μgで、8,25,44,27%であった。
・125μgのmicroplasminを3回注入した場合には、最終的には58%で癒着剥離が発生した

2010
30巻

小分けしたアバスチンは眼圧上昇の原因となるか

Retina 30巻 (6号) 2010

High-molecular-weight aggregates in repackaged bevacizumab.
Yahook MY et al(CO USA)
Retina 30(6): 887-92, 2010
・Ranibizumabやbevacizumab使用後に眼圧上昇を来たす症例が報告されている。
・我々はこれは、high-molecular-weightが集積したためではないかと考えている。
・3つの薬局で再パックされたbevacizumab注射器内のものと、オリジナルのバイアルのものを調査した。
・注射器内のものは、polyacrylamide gel electrophoresisでは同様のタンパクを含んでいたが、3つの薬局の内の2つでは、enzyme-linked immunosorbent assayでは、有意に機能するIgGが少なかった。
・そして、microflow imagingでは、10倍の数のミクロンの大きさの微粒子がみられた。
・再パックされた注射器内のものは有意にIgG濃縮度が違っており、IgG濃縮度が下がり、ミクロンの大きさの蛋白の凝集が起こっていた。
・オリジナルと最も変化していた注射器内のbevacizumabの分析では、蛋白量は29.5±0.8:30.6±1.7 mg/mL(有意差なし)、IgG濃度は 23.8±1.4:12.1±1.2 mg/mL(p<0.0001)。
・より大きな微粒子は房水の流出を妨げ、眼圧を上昇させる可能性があると考えられた。

2010
30巻

急性網膜壊死の長期経過

Retina 30巻 (5号) 2010

Long-term follow-up of acute retinal necrosis.
Meghpara B et al(IL USA)
Retina 30(5): 795-800, 2010
・急性網膜壊死の視力の長期経過について検討。
・1998-2007年にかけて、急性網膜壊死と診断された32例の内、カルテチェックのできた25例について検討。
・Ganciclovir and/or foscarnetの硝子体内注入は25眼中11眼に行っている。
・抗ウイルス薬は14/20例で静脈内投与、19/20例は経口投与された。
・11/25例は網膜の25%未満、8/25例は25%-50%、6/25例では50%を超える網膜が障害されていた。
・50%を超えて網膜が障害されていた例では、1例を除き、全例で治療に抵抗して視力は低下した。
・25%-50%が障害され、硝子体内抗ウイルス薬を投与された4眼中3眼で、視力が2ライン以上上昇。
・5/25眼は網膜剥離を発症した。
・予防的に光凝固治療を行った6例は網膜剥離の発症はなかった。
・障害されている網膜部位が広いほど、視力予後は悪かった。
・重症例では硝子体内治療は視力障害を防ぐことはできなかったが、25%-50%が障害された中等度障害例では、硝子体内治療で視力低下の進行を止めるか改善させることができた。

2010
30巻

黄斑手術に対する0.15%トリパンブルー

Retina 30巻 (4号) 2010

Retinal nerve fiber layer thickness evaluation after trypan blue-assisted macular surgery.
Brazitikos PD et al(Greece)
Retina 30(4): 640-7, 2010
・Trypan blue染色を行った黄斑手術後の、RNFL厚みを検討した。
・35例35眼で、15眼は黄斑円孔、14眼が黄斑pucker、6眼が牽引性糖尿病黄斑症
・0.15% trypan blue 0.1mlを使用して黄斑前膜 and/or ILM剥離を行った。
Ultrastructure and retinal imaging of epiretinal membrane. A clinicopathologic correlattion of trypan blue staining in epiretinal membrane surgery. & in macluar hole surgery.
Mackenzie SE et al.
Retina 30(4):648-54, 655-61,2010
・0.15% tripan blue 0.5ml使用。

2010
30巻

アバスチン注入後に網膜色素上皮裂孔を来たす症例の検討

Retina 30巻 (2号) 2010

Optical coherence tomography-measured pigment epithelial detachment height as a predictor for retinal pigment epithelial tears associated with intravitreal bevacizumab injection.
Chan CK et al(CA USA)
Retina 30(2): 203- 11, 2010
・PEDを伴ったAMDで、bevacizumab硝子体内注射後の網膜色素上皮裂孔を作りやすい要因について、OCT所見から検討した。
・2006.2~2007.2の間に7つの施設の9名の網膜専門医がStratus OCTを用いて血管を伴ったPED(vPED)について検討。
・2,890回の硝子体内注射を受けた1,255名1,280眼の中のvPEDの125眼について検討。
・RPE裂孔を来たした全vPED眼(Group1)と、3つ以上のvPED眼でRPE裂孔を来たさなかった眼(Group2)をランダムに選択。
・測定はPEDの高さ(μm)、容積(vPED高x表面積)、全黄斑容積、網膜下液、CME、中心窩厚、注射前後の最高視力。
・vPED眼125眼の21例21眼(16.8%)にRPE裂孔が発生。
・この21眼(Grp1)をランダムに選択した78眼のGrp2と比較した。
・vPEDの高さは、Grp1=648.9±245.0、Grp2=338.1±201.6μmで有意差があり(p<0.001)、vPED高が400μmを超えた場合、有意にRPE裂孔を作る可能性が高くなっていた。
・容積は、Grp1=9.3±6.3、Grp2=3.5±4.0mm3(p=0.001)、全黄斑容積は、Grp1=8.0±1.8、Grp2=7.4±1.2mm3(p=0.04)。網膜下液はGrp1でGrp2よりも有意に多かった(p=0.002)。
・Grp1の硝子体注射前後の視力は0.92logMAR(20/166)と0.84logMar(20/137)で有意差なし。
・多変量解析ではGrp1眼でRPE裂孔に有意に関連した因子はPED高だけであった(OR=0.995,  95%CI= 0.992-0.997, p<0.001)。

2010
30巻

DM黄斑症における視細胞外節長は視力と相関するか

Retina 30巻 (1号) 2010

Relationship between photoreceptor outer segment length and visual acuity in diabetic macular edema.
Forooghian F et al(MD USA)
Retina 30(1): 63-70, 2010
・視細胞外節(PROS)長をCirrus HD-OCTを使用して、27名30眼で測定し、視力との相関をみた。
・PROS長はRPE層とIS/OSライン間の距離とした。
・測定は3回行い、macularグリッド(6x6mm)、中心野(1mm)、中心窩(0.33mm)で測定した。
・網膜厚みとPROS長はそれぞれ、298±23、380±95、381±111μmと、30±6、30±9、32±10μmであったが、3回の測定の変動をみた相関係数は、網膜厚では0.99、0.98、0.96とほぼ良かったが、PROS長では0.98、0.91、0.73で、中心窩では低かった。
・logMAR視力との回帰直線を求めると、網膜厚では相関がなかったが、PROS長では、r=-0.61(p=0.0004)、r=-0.81(p<0.0001)、r=-0.75(p<0.0001)と有意の相関があった。

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