EFFECT OF ORAL CARBONIC ANHYDRASE INHIBITOR ON CYSTOID MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH RETINITIS PIGMENTOSA
An OCT and OCT Angiography Study
Yeo, Joon Hyung, et al. (Korea)
Retina 42(9):p 1796-1804, 2022
・目的:網膜色素変性症に関連した嚢胞様黄斑浮腫 (RP-CME)に対する経口炭酸脱水酵素阻害薬 (CAI) の効果に関連する要因を調査する。
・対象と方法:3か月以上の経口 CAI 治療(125 ~ 500 mg/日)を受けた RP-CME 患者 39 例の 59 眼(両眼20 人、片眼 19 人)。 治療に対する反応グループと非反応グループに分け、 OCTおよびOCTAを使用して、治療の前後を評価した。
・結果:33 眼 (55.9%) が治療に対して反応を示し、26眼 (44.1%) が反応しなかった。
・非反応グループと比較して、反応グループは有意に高齢 (49.3 ± 17.1 対 38.9 ± 16.0、P = 0.024) で、治療前最良矯正視力(BCVA)が悪かった (0.35 ± 0.27 logMAR [20/45] 対 0.19 ± 0.17 logMAR [20/31]、P = 0.009)。さらに内顆粒層に限定されたCMEよりも多層にわたるCMEの頻度が有意に多かった (P = 0.016)。
・反応グループのサブグループ解析では、傍中心窩と中心窩CMEとベースラインの ELM および EZ 幅が広い症例は、BCVA の改善を示す傾向にあった。
・OCTAでは有意差は認められなかった。
・視力は平均 BCVA は、反応グループで 0.35 ± 0.27 logMAR (20/45) から 0.31 ± 0.29 logMAR (20/41; P = 0.047) に改善した。非反応グループでは、BCVA は 0.19 ± 0.17 logMAR (20/31) から 0.22 ± 0.15 logMAR (20/33) に悪化する傾向にあった。
・結論: CME はRP における数少ない治療可能な原因の1つなので、中心窩病変を伴う多層 CME の早期治療は、不可逆的な光受容体の損傷を防ぐ上で重要であると思われる。(CH)
Surgical outcomes of vitreomacular traction treated with foveal-sparing peeling of the internal limiting membrane.
Morescalchi F et al(Italy)
Retina 41(10): 2026-2034, 2021
・硝子体黄斑牽引症候群に対して、完全なILM剥離を行った群と、中心窩回避のILM剥離を行った群(FS群)とで比較した。
・主な検査項目は網膜感度、視力、中心黄斑厚である。
・傍中心窩の網膜感度は両群とも有意に上昇したが有意差が見られた(FS群 +2.43±0.63dB:完全群 +1.79±1.00dB p=0.03)。
・術前視力は両者で有意差はなかったが、術後視力はFS群 20/27:完全群 20/37で、logMARでの改善度は0.27±0.07:0.42±0.05 p<0.001で有意差がみられた。(TY)
“Iris shelf” technique for management of posterior segment intraocular foreing bodies.
Soliman W et al(Egypt)
Retina 41(10): 2041-2047, 2021
・硝子体内の眼内異物除去方法として、虹彩を棚として扱う方法を考案した。
・水晶体の超音波乳化吸引後に前房を粘弾物質で満たした虹彩上に眼内異物を乗せてから除去した。
・33例33眼で全例が男性で、ハンマーでの外傷が24眼、銃外傷が9眼であった。
・眼内異物の大きさの平均は8.5±5.5mm3、最長は3.45mm(1-8mm)であった。(TY)
Changes in the choroidal thickness after macular buckling in highly myopic eyes.
Tang N et al(China)
Retina 41(9): 1858-1866, 2021
・高度近視眼に黄斑バックルを行った41眼について脈絡膜厚CTについて検討した。
・黄斑バックル後の1,3,6,12,18か月後に中心窩下と中心窩下から耳鼻上下に750μ離れた部位のCTを調べた。
・中心窩下のCTは術前の49.85±31.23から、術1か月後は75.74±37.89μmに変化したが、徐々に薄くなり、中心窩下のCTは6か月後には元に戻った。
・術後はバックルが微細循環の灌流を阻害したためにCTが増えたものと考えた(TY)
With or without internal limiting membrane peeling for idiopathic epiretinal membrane. A meta-analysis of randomized controlled trials.
Sun Y et al(China)
Retina 41(8): 1644-1651, 2021
・特発性黄斑前膜に対して内境界膜(ILM)剥離がより良い結果が得られるかどうかを、Embase、PubMed、Web of Science、Cochrane Library、CNKIの2020年4月までの文献から考察した。
・無作為対照化試験である8文献422眼を検討した。
・ILM剥離をした場合の最終視力は、しなかった場合に比較して、ETDRSでは1.5文字良く(95%CI=-0.04~2文字 p=0.4)、再発率は1/178(0.06%): 8/184(4.3%)で、OR=0.21 (95%CI=0.04-1.05 p=0.06)であった。
・中心黄斑厚はILM剥離群では3ヶ月で16.36μm(1.26-3.46 p=0.03)薄くなり、6ヶ月で22.64(10.29-34.98 p=0.0003)、最終観察時は25.87(13.96-37.79 p<0.0001)薄くなっていた。
・以上のようなことから、ILM剥離は不必要ではないかと考えた。(TY)
Microcystic macular edema and cystoid macular edema before and after epiretinal membrane surgery.
Lee DH et al(Koera)
Retina 41(8): 1652-1659, 2021
・網膜前膜に付随した網膜内チストの種類を検討し、術後の経過への影響について検討した。
・術前の蛍光眼底検査施行例で2014/2ー2019/5までの症例を対象として、網膜内チストは、FAでの漏出のみられるCMEと、漏出のないMicrocystic macular edema(MME)にわけて検討した。
・100例100眼のうち、網膜内浮腫は術前に54例(MME:27例、CME:18例、CME+MME:9例)であったが、術後は網膜内チストは29例で消失し、3例で発生し、術後はCMEは4例、MMEは22例、CME+MMEは2例となり、CMEが有意に減ったが(p<0.001)、MMEには有意差はなかった(p=0.302)。
・術前にMMEがないこと(p=0.035)、術前視力が悪い事(p=0.033)、中心黄斑厚が厚い事(p=0.018)、ellipsoidal zoneが正常であること(p=0.035)が術後視力改善に関与していた。(TY)
ANGIOGRAPHIC RISK FACTORS FOR RECURRENCE OF MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
TAKAHIRO KOGO, et al. (京都大学)
RETINA 41:1219–1226, 2021(6)
・目的:網膜静脈分枝閉塞(BRVO)に伴う黄斑部浮腫(ME)の再発リスクとなる血管形状を検討する。
・対象と方法:黄斑部を含む未治療のBRVOで、発症から初診までの期間が 2 ヶ月未満の患者の51人51眼。平均ベースライン時BCVA 0.25 ± 0.26 logMAR (20/200–20/13)、平均網膜中心窩厚は 532.9 ± 154.7 µm。
・初診時、全例黄斑部に嚢胞様黄斑部浮腫および/または漿液性網膜剥離を認めた。全例毎月3回ラニビズマブ硝子体内注射+PRN法で治療した。毎月検査を受け、明らかな浮腫の再発、および中心窩厚が350μm以上になった場合は追加の硝子体内注射を受けた。他の治療はしていない。
・治療開始3か月目(注射によりMEが収まっている状態)の傍中心窩VDI(血管密度と血管径拡張度)を患側・健側・耳側・鼻側の領域別にOCTAで測定し、3か月目から5か月目の傍中心窩および中心窩の縦方向の網膜厚の変化との関連を調べた。
・結果:3回注射後5か月目に、15眼 (29.4%) にME の再発を認めた。
・患側、鼻側、および耳側の傍中心窩 VDI は、同領域の傍中心窩厚と有意に関連していた (それぞれ P = 0.020、0.010、<0.001)。特に、耳側の傍中心窩 VDI は、中心窩厚とも有意に関連していた (それぞれ P = 0.037 と 0.026)。
・治療1年間のラニビズマブ注射回数は、4.4 ± 1.2 (3 ~ 回だった。注射回数は、3 ヶ月目の耳側の傍中心窩VDI と有意に関連していた (P = 0.040)。
・結論: 耳側の傍中心窩 VDI は、耳側縫線の側副血管の状態を適切に反映している可能性がある。側副血管は、耳側 BRVO のある眼で優先的に形成され、血管外漏出液を血液循環または健側に排出する。
・より高い VDI は、健側への排出が不十分であることを表しているかもしれない。
・傍中心窩 VDI 、特に、耳側の VDIは BRVOに関連するMEの再発やラニビズマブ注射回数の予測因子になる可能性がある。(CH)
Management of retinal pigment epithelium tear during anti-vascular endothelial growth factor therapy.
Mitchell P et al(Australia)
Retina 41(4): 671-678, 2021
・抗VEGF治療後に発生した網膜色素上皮裂孔についてMEDLINE/PubMed databaseで調査した。
・推奨は1)多様な画像:眼底写真、OCT、近赤外写真、自発蛍光、OCT-A、FAが診断に有用であり、大きさと中心窩を含むかどうかで程度分けする。
・2)発症リスクの高い患者はモニターをしっかり行なうが、抗VEGF治療の中止か増強かの判別が必要。
・3)活動性のある場合は継続し、多房性の裂孔の場合は中止する。
・RPE裂孔のリスクファクターは、面積の拡大と傍中心窩PEDの径が大きい、PED径に対するCNV径が50%以下、希薄な血管性PED、放射状の高屈折線、最近のPED、RPEの小さな裂け目などである。(TY)
Long-term surgical outcomes of lens capsular flap transplantation in the management of refractory macular hole.
Peng J et al(China)
Retina 41(4): 726-734, 2021
・難治性黄斑円孔に対して自分のあるいは他人の水晶体前嚢片移植LCFT(lens capsular flap transplantation)を行った。
・連続する50眼で12眼が自己LCFT、38眼が他人のLCFTであり、15%perfluoropropaneタンポナーデを行ない、2週間のうつ伏せを行った。
・MH径は1102.0±561.6μmで、18.5±6.1ヶ月の経過観察である。
・48眼(96.0%)で完全閉鎖がえられた。
・水晶体嚢片はICGあるいはBBGで染色し、トリミングして使用した。(TY)
Photoreceptor outer segment is expanded in the fellow eye of patients with unilateral central serous chorioretinopathy.
Borrelli E et al(Italy)
Retina 41(2): 296-301, 2021
・160例の片眼性中心性網脈絡膜症CSCの僚眼160眼について、OCTで検討した。
・年齢は51.6±11.1(2080歳)、Ctrlは52.8±11.1(31-74歳)である。
・OCT像をNIHの開発したImageJソフトを利用して、中心窩約1度の水平断での視細胞外節の占める面積を測定すると、CSC僚眼では0.068±0.007mm2であったのに対し、Ctrlでは0.060±0.005で有意差があった(p<0.0001)。
・この面積はCSCの僚眼では脈絡膜厚と有意な相関があったが(R=0.166 p=0.016)、Ctrl眼では相関がなかった(p=0.864)。
・この結果は網膜と脈絡膜の変化は両眼に発生し、RPEや脈絡膜の機能低下によって、視細胞のturnoverが遅れると考えることもできる。(TY)
Intraretinal hyperreflective lines.
Amoroso F et al(France)
Retina 41(1): 82-92, 2021
・黄斑部のOCT上の高反射帯について検討した。
・垂直の高反射線が38眼、ヘンレ層に沿った曲線の高反射帯が11眼の、43例49眼(男16、女27)について検討した。
・24眼の成人卵黄様変性やpatternジストロフィは網膜上膜(6眼)や脈絡膜肥厚(9眼)を伴っており、その他、AMDや黄斑変性が9眼、部分的な網膜出血が5眼、特発性微小黄斑円孔が2眼、硝子体黄斑牽引が3眼、MEWDSが3眼、fundus flavimaculatus黄色眼底が2眼、pachychoroid網膜色素上皮症が1眼であった。
・高反射帯は、網膜出血やMEWDS、硝子体黄斑牽引が解除された症例では完全に消失したが、他の症例では徐々に薄くなっただけであった。
・黄斑部のOCT上の高反射帯はいろいろな炎症性、変性あるいは牽引性の要因で発症するが、原因は不明である。(TY)
Intraocular and interocular differences in parafoveal vascular density in diabetic patients without diabetic retinopathy.
Kim Y et al(Korea)
Retina 41(1): 170-180, 2021
・OCTAで求められた黄斑部の血管濃度VDの部位別と眼球別の差について網膜症のないtype2の糖尿病者94例について検討した。
・OCTAで中心の直径3mm内について血管濃度VDと、血管径を1ピクセルに置き換えて細くしたvessel skeleton濃度SDを、全毛細血管叢、表層毛細血管叢、深層毛細血管叢、脈絡膜層毎に測定した。
・部位別のVAは、上1/4部と下1/4部で比較し、眼球別は患者の左右眼で比較した。
・多変量解析では、糖尿病の罹患期間は全毛細血管叢と表層毛細血管叢と負の相関があり、表層毛細血管叢の左右差の大きさと正の相関があった。
・腎臓の糸球体濾過率は全毛細血管叢のSDの左右眼差、VDの左右眼差と負の相関があった。(TY)
Bilateral acute retinal necrosis. A case series.
Lei B et al(China)
Retina 40(1): 145-153, 2020
・両眼性急性網膜壊死の30例60眼につきその臨床症状を調査した。
・25例は5か月以内に他眼に発症したが、5例では2年以上の間隔後に他眼に発症している。
・180度以上に網膜壊死を発症する比率は、初発眼では21眼中14眼であったが、後発眼では22例中3眼であった。
・網膜剥離の発症は初発眼では27眼中23眼であったが、後発眼では27眼中5眼であった。
・最高logMARは初発眼では34.1±48.2ヶ月の経過で、2.0±1.1(指数弁)から2.2±1.0(指数弁)への低下であったが(p=0.529)、後発眼では21.2±23.3ヶ月の経過で、0.5±0.4(20/66)から0.3±0.4(20/40)と改善した(p=0.005)。
・後発眼の方が予後が良いことがわかった。(TY)
Risk of age-related macular degeneration in patients with periodontitis. A nationwide population-based cohort study.
Sun KT et al(Taiwan)
Retina 40(12): 2312-2318, 2020
・歯周病は結合織や骨欠損を来す炎症疾患であり、今回、歯周病とAMDとの関連をTaiwanの全国保険データベースを元に調査した。
・歯周病は2000-2012年に新規に診断されたものとし、対照として年齢性をマッチさせた41,661例とした。
・歯周病を持っている人は対照と比較して1000人当たりの発症率は5.95:3.41であり、調整危険率は1.58(95%CI 1.46-1.70)であった。
・年齢層毎にみると、65歳未満では調整危険率は1.48(1.34-1.64)、65歳以上では1.76(1.57-1.97)であり、性別では女性は1.40(1.26-1.55)、男性では1.82(1.63-2.04)であった。
・非滲出性AMDでは1000人当たりの発症率は5.43:3.13、滲出性AMDでは0.52:0.28であった。(TY)
Foveal sparing internal limiting membrane peeling for idiopathic macular holes. Effects on anatomical restoration of the fovea and visual function.
Murphy DC et al(UK)
Retina 40(11): 2127-2133, 2020
・Müller細胞はその足突起をILMに接着させて中心窩の構造を保つ働きをしているため、ILM剥離はMüller細胞に外的傷害を与えることになる。
・特発性黄斑円孔周囲のILMを剥離しないことは術後の中心窩の形状や視機能改善に役立つと考え、中心窩回避のILM剥離を行った34例34眼と、その結果を全面のILM剥離を行った34例34眼のCtrl群と比較した。
・中心窩回避のILM剥離方法は、中心窩を避けた6個程度の円形ILM剥離を連続させて行った。
・回避群では32/34で円孔閉鎖、Ctrl群では32/34で円孔閉鎖した。
・術後1年目の最高視力はETDRS視力で回避群が有意に良く(67.7:63.8 p=0.003)、中心窩厚が有意に厚かった(211:173μm p=0.002)。(TY)
A piolot clinical study of treating rhegmatogenous retinal detachment by silicone rubber balloon scleral buckling.
Zhang B et al(China)
Retina 40(10): 1918-1928, 2020
・強膜内嵌ができるシリコンゴム製の折り畳みカプセルで裂孔原性網膜剥離治療の効果と安全性について5眼で最低12週間、検討した。
・感染の発生、眼痛、複視、眼圧上昇などについて安全性を検討した。
・1例で一過性の複視と眼球運動障害があった以外には特に副作用はなかった。
・手術方法は輪部から5ミリの部位に結膜切開を行い、25G針で網膜下液を抜いた後、空にしたカプセルを挿入し、1mlの青色をカプセルに注入し、手術を終了した。
・全例、術中に経強膜冷凍凝固を行い、術後に光凝固治療を追加している。(TY)
En-face optical coherence tomography in patients with epiretinal membrane. Intuitive method for predictiong functional outcomes.
Bae K et al(Korea)
Retina 40(10): 1972-1979, 2020
・80例80眼の特発性黄斑前膜手術で、en-face OCT結果と視力、M-スコアなどの機能との関連を検討した。
・接着帯(A-zone)の面積、網膜趨壁の数、網膜内層変化を反映するen-face OCT結果を検討した。
・外境界膜やellipsoid帯やinterdigitation帯の欠損面積は術前、術後6ヶ月目の視力と有意に相関していた(全てp<0.05)。
・中心窩厚、A-zone面積、辺縁の網膜趨壁数、中心窩がA-zoneに含まれているかは術前と術6ヶ月目のM-scoreと有意に相関していた(全てp<0.05)。
・多変量解析では、A-zone面積は術前、術後のM-scoreと有意に相関していた(p<0.001とp=0.008)。
・辺縁の網膜趨壁数は術前のM-scoreと有意に相関していた(p<0.001)。(TY)
Dark adaptaioin in macular telangiectasia type 2.
Tzaridis S et al(Germany)
Retina 40(10): 2018-2025, 2020
・59例59眼の2型黄斑部毛細血管拡張症患者で暗順応検査を行ない、18例18眼の正常者と比較した。
・中心窩から5度の耳側網膜で、4×4°範囲で83%bleachを行い、視角2度のテスト光で暗順応検査を行った。
・暗順応のパラメータは病態の進行状態やellipsoid帯の欠損状況とは関係が少なかった。
・杆体系の回復機能の遅れと黄斑色素の欠損との間に強い相関があった。(TY)
Patients wearing face masks during intravitreal injections may be at a high risk of endophthalmitis.
Hadayer A et al(Israel)
Retina 40(9): 1651-1656, 2020
・硝子体内注入時のフェイスマスクの安全性を検討した。マスクは3種類使用。
・1)4本の紐のついたsurgical mask、2)耳掛けゴムのついたsurgical fask、3)結核専用の2200 N95マスクである。
・10名の正常者で通常呼吸時、会話時、深呼吸時の空気の漏れを2種類のthermal camera(FLIRとOPGAL)で合計90回計測した。
・マスクの上端からの空気の噴出は全体で81%(73/90)、FLIRカメラでは71%(32/45)、OPGALカメラでは91%(41/45)でみられた。
・空気の噴出は全てのタイプのマスクでみられた。
・このことから硝子体注入時のマスクは眼内炎のリスクを高めると考えられる。
・マスクの上端をテープで止めるとか、処置眼の周囲をドレープで覆うとかの処置が有効と考えた。(TY)
Relative quiescence of exudative age-related macular degeneration after resolution of postinjection endophthalmitis.
Arnett JJ et al(PA USA)
Retina 40(9): 1719-1723, 2020
・滲出性AMDに対する抗VEGF薬の硝子体注入後に発生した眼内炎21例について、その後の経過について検討した。
・2006年11月から2018年4月の間に眼内炎の発症は34例で起こったが、13例が除外された。
・理由は1か月以内の通院中止、眼内炎発症前の併存疾患のための強い視機能低下、眼内炎による重症の眼球障害(眼球摘出や光覚弁消失など)、硝子体注入によるものではないと考えられる眼内炎などである。
・除外されなかった21例の平均年齢は81.4(63-97)歳で、抗VEGF注射後平均3.7日(1-13日)後に眼内炎を発症していた。
・抗菌剤治療の他に11例ではステロイドの硝子体内注入、2例では硝子体手術を行っている。
・経過を調査すると、7例(33%)は有意(p>0.05)な視力低下はなく、滲出性AMDが軽快したために12か月後も抗VEGF治療は行っていない。
・抗VEGF治療を開始した人でも、眼内炎後は抗VEGF治療回数が32%減(12か月後)、38%減(24か月後)となった(いずれもp<0.05)。
・眼内炎後の最初のOCTでは、10例は黄斑厚の変化はなかったが(p>0.05)、脈絡膜新生血管の活動性は低下していた。
・眼内炎の発症と軽快は脈絡膜新生血管の活動性を低下させ、抗VEGF治療回数が減ることがわかった。(TY)