PATIENTS WEARING FACE MASKS DURING INTRAVITREAL INJECTIONS MAY BE AT A HIGHER RISK OF ENDOPHTHALMITIS
Hadayer, Amir; Zahavi, Alon ; Livny, Eitan; Gal-Or, Orly; Gershoni, Assaf; Mimouni, Karin Ehrlich, Rita (Israel)
Retina: September 2020 – Volume 40 – Issue 9 – p 1651-1656
doi: 10.1097/IAE.0000000000002919
【目的】
・硝子体注射の際に患者が着用するフェイスマスクの安全性を調査
【対象と方法】
・健康なボランティアに3種類のマスクを着用してもらい、目の周りの空気漏れをモニター
1)4本のストリップで結束するサージカルフェイスマスク、
2)耳ループがゴム製のサージカルフェイスマスク、
3)結核用の2200 N95マスク
・各セッションごとに、正常呼吸、発声、深呼吸時の眼周囲の空気漏れを検査
・空気漏れの検出には2つの業務用赤外線カメラを使用;
FLIR A310サーモグラフィとEyeCGas 2.0(工業用ガスの微少な排気ガスの検出に使用される超高感度赤外線カメラ)
【結果】
・5人のボランティアに対して、マスク3種類ごとに3回、カメラごとに45回、合計90回施行
・FLIR A310サーモグラフィでは71%(32/45)、EyeCGas 2.0カメラでは91%(41/45)で、マスクの上端から目に向かって放射状に噴出しているエアジェットが検出
・調査したすべてのタイプのマスクで空気漏れが検出
【結論】
・硝子体内注射中にフェイスマスクを着用している患者は、眼内炎のリスクが高いかもしれない
・さらなるデータが得られるまでは、適切なフェイスマスクの装着を確認し、フェイスマスクの上端を医療用粘着テープでテーピングするか、または注入された目の周りに外科用粘着ドレープを使用することを推奨する(MK)
Effect of lubricants on corneal thickness after vitrectomy.
Siegel DT et al(GA USA)
Retina 40(8): 1616-1622, 2020
・硝子体手術中の角膜保護剤の使用が角膜浮腫に影響するかを調べた。
・角膜疾患のない18歳以上の41名について術前術後に角膜厚をpachymetryとAS-OCTで測定した。
・術後測定はほぼ24時間以内に行った。
・Pachymetryでは、23名のSHCS(3%sodium hyaluronate 4%chondroitin sulfate:Viscot)群では29.9μmの角膜厚の増加、18名のHPMC(2.5%hydroxyprophyl-methylcellulose)群では58.1μmの増加がみられ、SHCS群で有意に増加が少なかった(p=0.02)。
・AC-OCTでの測定ではSHCSでは0.04mm、HPMCでは0.06mmで、SHCS群で増加が少なかったが、有意差は出なかった(p=0.09)。
・なお、手術時間はSHCSでは62.2±34.0分、HPMC群では65.4±26.4分であった。(TY)
BLOOD CHROMIUM-COBALT LEVELS IN PATIENTS AFTER TOTAL KNEE ARTHROPLASTY AND THEIR EFFECT ON THE RETINAL NERVE FIBER LAYER AND MACULAR GANGLION CELL COMPLEX,
Oğurel, Tevfik MD*; Serbest, Sancar MD†; Oğurel, Reyhan MD‡; Tiftikçi, Uğur MD†; Ölmez, Yaşar MD§ (Turkey)
Retina 40(6): 1200-1206, 2020
【目的】
膝関節全置換術(TKA)を受けた患者の血中コバルト(Co)およびクロム(Cr)濃度と網膜神経線維層および黄斑神経節細胞複合体への影響を調べる
【方法】
TKAを受けた患者100人と、人工関節手術を受けていない健常者50人を対象
人工関節を埋入してからの経過年数に基づいて2つのグループに分けられた(グループ1:1~5年、グループ2:5~10年)
完全な眼科検査の後、患者の網膜神経線維層および黄斑神経節細胞複合体を、散瞳下で実施したOCTで評価
各患者から静脈血を採取し、金属イオンレベルを評価
【結果】
平均年齢は、第1群64.72±6.26歳、第2群67.80±8.07歳、対照群63.42±7.90歳、群間に有意差なし
CoとCrの濃度は、対照群と比較して、グループ1とグループ2で統計的に高かった(P<0.001)
網膜神経線維層の平均厚および黄斑神経節細胞複合体の平均厚は、グループ1およびグループ2では対照群に比べて統計的に低かった
【結論】
TKAを受けた患者では健常者よりもCoとCrのレベルが高く、これらの高いレベルは網膜神経線維層と黄斑神経節細胞複合体の変化と関連していた(MK)
THE TEXAS TACO TECHNIQUE FOR INTERNAL LIMITING MEMBRANE FLAP IN LARGE FULL-THICKNESS MACULAR HOLES,
Major, James C. Jr; Lampen, Shaun I. R. et al
Retina 40(3) : 552-556, 2020
【目的】
大きな全層黄斑円孔(FTMH)の閉鎖において、追加の外科的アジュバントを必要としない外科的内境界膜(ILM)フラップ術の有効性を評価
【方法】
“Texas Taco “法で修復された400μmを超える大型FTMHを有する患者(n = 8)の電子カルテをレトロスペクティブにレビュー
【結果】
手術患者の平均年齢63.8±19.2歳(19~80歳)
Phakicが5例(62.5%)、pseudophakicが3例(37.5%)
平均追跡期間は9.1±4.7(1.5-14.5)ヶ月
最短幅と最大幅の平均MH径はそれぞれ529±101(404-661)、1,189±290(829-1,656)μm
最良矯正視力の平均(LogMAR)は、術前1.3±0.23(Snellen視力で約20/400)、術後0.66±0.40(Snellen視力で約20/100)であった(P < 0.001)
すべてのFTMHは術後すべての受診時で閉鎖されたままであった
【結論】
Texas Taco法は、大きなFTMHの困難な症例において、追加の外科的アジュバントを必要とせずに解剖学的および機能的な改善をもたらした
FTMHを有するすべての患者は、ILMフラップ手術法の新規適用による介入後、視力の改善と完全な円孔閉鎖を経験した。(MK)
OPTICAL COHERENCE TOMOGRAPHY ANGIOGRAPHY FEATURES OF SUBRETINAL FIBROSIS AFTER MYOPIC NEOVASCULARIZATION,
Milani, Paolo MD*; Pellegrini, Marco MD et al
Retina 40(2): 249-256, 2020
【目的】
近視性脈絡膜新生血管(mCNV)における、自然進行または抗VEGF治療後の網膜下線維症の光干渉断層計血管造影(OCTA)の特徴を説明
【方法】
全眼にフルオレセイン血管造影、SD-OCT、OCTA、en face OCTを含むMultimodal画像検査を行い、レトロスペクティブに評価
【結果】
25眼、平均年齢56.4±14.9歳
網膜下線維症は、評価前に平均30(範囲6-116)か月で診断
OCTAでは異常な血管網が20/25(80%)眼で観察され、典型的には網膜外側(18/20、90%)またはchoriocapillaris(14/20、70%)の区分に位置。高頻度の形状は、”丸い絡み “と “先細りの絡み “であった。
En face OCTでは、網膜下線維症は24/25(96%)の眼に認められ、最も多いのは外側網膜(21/25、84%)とchoriocapillaris(18/25、72%)で、主な特徴は白色高反射(20/21、95%)と暗色低反射(17/18、94%)であった
En face OCTで網膜下線維症を示す所見では、61%の症例で同じ層にOCTAでも異常血管網が認められ、正の相関があった(P = 0.005)。
【結論】
近視的CNVに続発した網膜下線維症は、OCTAで評価された持続的な異常な血管網の中に血流を含むことが多い(MK)
Changes in optical coherence tomography findings in patients with chronic renal failure undergoing dialysis for the first time.
Hwang H et al(Korea)
Retina 39(12): 2360-2368, 2019
・15例26眼の糖尿病腎症で、最初の透析前後の黄斑浮腫の変化を観察した。
・14例が血液透析、1例が腹膜透析である。
・透析開始により黄斑浮腫の比率は69.2%(18/26)から26.9%(7/26)に減少した(p=0.001)。
・半径500μの中心部厚は317.92±91.41:287.77±57.55μ(p=0.006)。中心部の脈絡膜厚は313.31±85.89:288.81±92.02(p=0.024)。
・中心部網膜厚の減少量と透析による血漿尿素窒素量の減少量は有意な正の相関があった(R=0.481 p=0.013)。(TY)
Pars plana vitrectomy for the treatment of tractional and degenerative lamellar macular holes. Functional and anatomical results.
Figueroa MS et al(Spain)
Retina 39(11): 2090-2098, 2019
・硝子体手術で黄斑前膜除去を行った場合の牽引性の偽黄斑円孔(LMH)あるいは黄斑偽円孔(MPH)77例とLMHに付随したepiretinal proliferation(LHEP)を持った変性LMH26例について、その最低6か月の経過を比較検討した。
・術前の最高視力は牽引性LMH/MPH(logMAR=0.38±0.2…20/50)の方が変性LMH(logMAR=0.56±0.2…20/66)よりも有意に良かった。
・解剖学的な成功は97/103例(94.2%)で、中心窩の回復は変性LMHの方が早かった(1.6±2.3:3.3±3.6ヶ月 p=0.025)。
・視力改善は両者ともに得られたが、牽引性LMH/MPHの方が良く(logMAR=0.18±0.17…20/30:logMAR=0.39±0.28…20/50 p<0.001)、変性LMHでは中心窩の構造の完全な回復は得られない例が多かった(TY)
Late-onset ocular hypertension after vitrectomy. A multicenter study of 6,048 eyes.
Reibaldi M et al(Italy)
Retina 39(11): 2107-2115, 2019
・2010年1月から2015年12月の間に5施設で行われた6,048例の初回硝子体手術後の遅発性高眼圧LOHについて検討した。
・遅発性高眼圧LOHは手術2ヶ月以上後に21mmHgを超える眼圧が連続2回以上続いた症例と定義した。
・LOHは294例4.9%の術眼にみられ、他眼では87例1.4%であった(p<0.001)。
・多変量ロジスティック回帰分析では、LOHのリスクファクターは術中のtriamcinoloneの使用(OR=7.62 p<0.001)、長眼軸(25.9±1.6:25.1±1.8mm、OR=1.55 p<0.001)、術前の高眼圧(14.5±2.0:14.3±1.0mmHg、OR=1.81 p=0.003)、術後の無/偽水晶体(OR=2.04 p<0.001)であった。
・LOHの予想因子としては、1番はtriamcinolone使用(p<0.001)、2番はtriamcinolone使用眼で術前眼圧値が15mmHg以上(p<0.001)、3番目はtriamcinolone非使用眼で術後の無/偽水晶体であった。(TY)
Retinal arterial dilation is impaired in eyes with drusen and reticular pseudodrusen.
Rabiolo A et al(Italy)
Retina 39(11): 2205-2211, 2019
・中等度から大きな黄斑ドルーゼン23例28眼(77±6歳)とReticular偽ドルーゼン(RPD)患者16例22眼(76±6歳)でDynamic vessel analyzerを用いて網膜血管の動態を調べた。
・コントロールは22例22眼(75±6歳)である。
・この3群の網膜血管解析では中心網膜動脈、中心網膜静脈、動静脈比などには差はなかったが、Dynamic vessel analyzerでのフリッカー刺激光を用いた結果ではドルーゼン眼(p=0.0001)もRPD眼(p=0.0015)でも網膜血管拡張はCtrlに比して有意に少なかった。
・ドルーゼン眼とRPD眼間には有意差はなかった(p=0.32)。
・また、網膜静脈解析では3群に有意差はなかった(p=0.10)。
・この結果はAMD発症に関連している可能性がある。(TY)
preoperative vitreoretinal interface abnormalities on spectral domain optical coherence tomography as risk factor for pseudophakic cystoid macular edema after phacoemulsification.
Copete S et al(Spain)
Retina 39(11): 2225-2232, 2019
・白内障手術後の偽水晶体CME(PCME)の発生に術前の硝子体網膜境界状態が影響しているかどうかを検討した。
・112例112眼で術前1週間、術後1,3か月でOCT検査をおこなった。
・術後点眼はデキサメサゾン点眼とトブラマイシン点眼で、Nepafenac点眼は1ヶ月目でPCMEが見つかった時点で開始し、2か月間使用した。
・13眼11.6%で1ヶ月目でPCMEが発生したが、全例3ヶ月目には軽快していた。
・PCMEの唯一のリスクファクターは術前の網膜前膜で16眼中PCMEは5眼で発生していた(OR=4.53 95%CI=1.28-16.13)。
・術前にOCT検査を行うことは有用である。(TY)
Preoperative vitreoretinal interface abnormalities on spectral domain optical coherence tomography as risk factor for pseudophakic cystoid macular edema after phacoemulsification
Sergio Copete, et al.(Spain)
RETINA. 2019;39(11):2225-2232
・2016.1月~10月、白内障手術予定患者を前向きランダムに抽出
・手術1w前、術後1w・1M・3M後にSD-OCT施行
・112眼中13眼(11.6%)で術後CME出現、すべて術後1Mに同定
・うち7眼は術3M時点で消失
・術前ERMの存在のみが有意なリスク因子、5/16眼でCME出現(χ2=0.08、オッズ比4.53、95%CI 1.28-16.13)
・その他の因子(後部硝子体の付着、脈絡膜厚、糖尿病、高血圧症)は有意な関連みられず
・術前にSD-OCTでERMが見られる症例では術後にCMEが生じやすい。術前の眼底検査でERMの存在が見逃されやすく、SD-OCTを施行しておくことが望まれる。
・*術後点眼はdexamethasoneとtobramycinのみ、術後CME出現した時点でnepafenac追加(MK)
Effect of serial anterior chamber paracentesis on sustained intraocular pressure elevation in patients receiving intravitreal anti-vascular endothelial growth factor therapy.
Sisk RA et al(OH USA)
Retina 39(10): 1959-1964, 2019
・抗VEGF薬注入IVIを繰り返す患者の内、0.51%から11.6%において持続的な眼圧上昇が起こると報告されている。
・IVIは0.05mlの抗VEGF薬を30g針で注入し、前房穿刺の手法としては、その直後に30gか32g針の1ml注射器で0.03~0.05mlの前房水を抜き、眼圧を12mmHg以下にしている
・2010年から2013年の調査期間中に連続3回以上IVIを受けた419名の内、IVI後に前房穿刺を行ったことが連続3回以上あった17名(4.1%)を対象とした。
・前房穿刺の基準は、1)最初にIVIを行った直前のbaseline眼圧よりも注射前の眼圧が10mmHg以上高い、2)注射前の眼圧が25mmHg以上である、3)IVI期間中に視神経乳頭陥凹が拡大して開放隅角緑内障が伸展したものとし、一度、前房穿刺を行ったら、それ以降は常に前房穿刺を行うこととした。
・その17例23眼が平均26回(中央値26:4~47)、平均注射間隔は47日のIVIについて検討。
・各眼の前房穿刺回数の中央値は12回(平均値は13.5回)で、平均観察期間は36ヶ月(最初の前房穿刺の前19.6ヶ月、後16.4ヶ月)である。
・このなかにPOAG患者が4眼(17%)含まれている。
・平均眼圧上昇は16.3~21.1(p=0.004)で、平均C/D比増加は0.37から0.47(p=0.0002)であった。
・前房穿刺により平均眼圧は注入前の16.0に戻り、最高眼圧は26.8から23.0に低下した(p=0.05)。
・19眼(82.6%)では緑内障薬の追加が必要となり、13眼(56.5%)は追加治療が必要で、そのうち5眼(38.5%)はLTP(2眼)やLPT+濾過手術(3眼)が必要となった。
・IVI後の眼圧上昇には薬剤の線維柱帯に対する毒性、線維柱帯炎などの様々なメカニズムが考えられているが、真相は不明である。(TY)
PEDIATRIC RETINAL DETACHMENT IN AN ASIAN POPULATION WITH HIGH PREVALENCE OF MYOPIA
Clinical Characteristics, Surgical Outcomes, and Prognostic Factors
ANDREW S. H. TSAI, et al. (Singapore)
RETINA 39(9):1751-1760, 2019
目的:近視の発生率が高いアジア人の集団における小児の裂孔原性網膜剥離(RD)の臨床的特徴、術後結果、予後因子、および合併症について検討した。
方法:20年(1994-2014)の間、RDのため手術を受けた18歳以下の小児患者152人171眼。
結果:平均追跡期間は37.8ヶ月(範囲1〜123ヶ月)、患者の多くは男性だった(75.7%)。平均年齢14.2歳(範囲3.1〜18.7歳)、平均SE -6.75±5.63 D。少なくとも6か月経過観察ができたのは158眼。
最終視力は74眼(46.8%)が20/40以上だった。 122眼(81.6%)は20/200以上だった。105眼(66.5%)は術前視力からの改善があった。
小児RDの最も一般的な危険因子は近視であり、73眼(40.9%)に存在していた。続いて、25眼(14.6%)に外傷、20眼(11.7%)に内眼手術既往があった。症状の発現から発症までの平均期間は43±96.6日。
1回目の手術では大部分は強膜内陥術(SB)で治療され(124眼、72.5%)、 32眼(18.7%)はSB + 硝子体術(PPV)だった。最初の手術では、2眼に空気、24眼にガス、18眼にシリコーンオイルが注入された。13眼は平均5.3±2.6か月でシリコーンオイルを除去した。1回の手術後の解剖学的成功は96眼(60.7%)だった。全体で137眼(86.7%)の眼が解剖学的に成功し、平均手術回数1.22±0.53回だった。
18眼で復位が得られず、大半(88.9%)はPVRによるものだった。これらの平均手術回数2.06±1.47回。
術中、術後合併症はほとんどなく、10眼(6%)で一時的な眼圧上昇、10眼(6%)で術後緑内障、8眼(5%)で白内障を認めた。
9人18眼は、両側RRDだった。 4人は発症時に近視があり(平均SE-5D)、1人はアトピーがあった。
RDでは、中程度の近視(-2D)の患者と比較して、高度近視(-6D)患者の剖学的成功率は低かった(P = 0.03)。年齢の高さおよび増殖性硝子体網膜症ではない事は、復位および視力改善と関連していた。PPVは、解剖学的成功のオッズの減少と関連していた。より長い期間の症状、白内障、およびより大きなRD範囲は、より悪い視力結果と関連していた。
結論:近視が最も一般的な危険因子だった。高度近視と中等度近視との手術結果には明確な違いがあった。大部分の症例で良好な手術結果を達成できる。発症時の年齢の高さとPVRの欠如は予後良好な要因だった。(CH)
Hemi-temporal internal limiting membrane peeling is as effective and safe as conventional full peeling for macular hole surgery
Akira Shiono, Jiro Kogo, et al.(聖マリアンナ)
RETINA. 2019;39(9):1779-1785
・42眼のMH手術眼をILM剥離方法で2群に分けretrospectiveに解析;360°群(27眼、2015-2016、MHの全周のILM剥離)およびhemi群(15眼、2016-2017、耳側のみILM剥離)
・両群とも2-3乳頭径ILM剥離、Room Airにて終了、3日間俯き姿勢
・初回手術での閉鎖率は両群に有意差なし(hemi群93.3%、360°群92.5%、P=0.92)
・術後1wでの耳側血管の偏位:hemi群で120.5±102.0μm乳頭方向へ、360°群で136.1±106.1μm乳頭方向へ(P=0.107)
・術後1wでの鼻側血管の偏位:hemi群(42.4±42.9μm乳頭方向へ)は360°群(90.1±77.3μm乳頭方向へ)に比べて優位に少ない(P=0.040)
・耳側半分のILM剥離は、360°ILM剥離と比べて網膜の偏位が少なく好ましい術式である(MK)
Focal disruptions in ellipsoid zone and interdigitation zone on spectral-domain optical coherence tomography in pachychoroid pigment epitheliopathy.
Lee JH et al(Korea)
Retina 39(8): 1562-1570, 2019
・Pachychoroid pigment epitheliopathyで過去に網膜下液の既往のない20例21眼27部位について、ellipsoid zone(EZ)やinterdigitaton zone(IZ)の崩壊について検討した。
・中心窩下の脈絡膜厚は平均450μm。過去のOCTデータのある7眼のうち6眼では、EZ/IZ崩壊の発生する前に、脈絡膜厚が厚い部位にドルーゼン様病巣がみられた。
・24/27部位(88.9%)に、拡大した外脈絡膜血管がEZ/IZ崩壊部にみられ、18/27部位(66.7%)に、脈絡膜毛細血管の衰退がみられたが、全例で外境界膜は正常であった。
・3例を除いた全例で黄斑部の形態変化はみられず、視力も0.8以上を維持していた。
・Pachychoroidにみられる部分的なEZ/IZ崩壊は、多分、ドルーゼン様病巣が伸展したものであろう。(TY)
Posterior staphylomas in eyes with retinitis pigmentosa without high myopia.
Xu X et al(東京医科歯科)
Retina 39(7): 1299-1304, 2019
・眼軸長が26.5mm未満(24.90±0.69mm)で、高度近視ではない網膜色素変性症7例13眼(40.9±17.9歳)にみられる後部ぶどう腫について報告する。
・ぶどう腫の辺縁は眼底周辺部の萎縮領域と後極部の正常網膜の縁と一致していた。
・OCTの垂直断ではぶどう腫の縁では強膜が少し内方に突出し、脈絡膜がその部分だけ薄くなっていた。
・RPの高度近視ではない眼にみられる狭い範囲にみられる黄斑部のぶどう腫は、高度近視にみられるぶどう腫とは異なり、中心窩下脈絡膜厚がそれほど薄くならないのが特徴である。(TY)
COMBINATION THERAPY OF INTRAVITREAL RANIBIZUMAB AND SUBTHRESHOLD MICROPULSE PHOTOCOAGULATION FOR MACULAR EDEMA SECONDARY TO BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION
HIROKO TERASHIMA, et al. (新潟大学)
RETINA 39(7):1377-1384,2019
目的:網膜静脈分枝閉塞性からの黄斑浮腫に対する、ラニビズマブ硝子体内注射(lVR)と577 nmイエローレーザー閾値下マイクロパルスレーザー光凝固術(SMLP)の併用療法の有効性を判定する。
対象と方法:未治療のBRVO-CME患者46人46眼。
IVRと577-nm SMLPの併用療法が22眼(IVR + SMLPグループ)
IVR単独療法24眼(IVRグループ)
治療前に、すべての患者は病気の発症後少なくとも2ヶ月間経過観察され、CMEおよび/またはSRDは持続していた。
すべての眼科検査は、治療前および治療後1、2、3、4、5、6か月に実施された。
IVR + SMLPグループでは、IVRの1か月後にSMLPが行われた。
結果:年齢、性別、視力、CRT、発症からの症状の持続期間、静脈閉塞の位置、および閉塞タイプの2つのグループ間で差は認められなかった。 IVRおよびSMLPに関連する重大な合併症は認められなかった。
IVR + SMLPおよびIVR群では、6ヵ月後に矯正視力と網膜中心厚が大幅に改善した。矯正視力と網膜中心部の厚さは、どの時点でも2つのグループ間で有意な差はなかった。 IVRグループの最初の6か月間のIVR注射の回数(2.3±0.9)は、IVR + SMLPグループの回数(1.9±0.8)よりも有意に多かった(P = 0.034)。
結論:IVRとSMLPの併用療法は、良好な視力を維持しながらIVR注射の頻度を減らすことにより、網膜分岐静脈閉塞嚢胞様黄斑浮腫を効果的に治療することができる。(CH)
Use of the ischemic index on widefield fluorescein angiography to characterize a central retinal vein occlusion as ischemic or nonischemic
AS Thomas, rt al. (Swizerland)
RETINA. 2019;39(6):1033-1038
【対象と方法】
・未治療のCRVO患者60例60眼、1年以上フォローアップ
・オプトスで広角FA施行、Ischemic index(IsI)を計測
IsI:FA中期画像をPhotoshopに取り込み、画像全体を100%としたときの無血管野の範囲の割合、出血によりブロックされた部は解析より除外
虚血性CRVO:RAPD陽性、視力が指数弁以下、前眼部または眼底に新生血管の存在、のどれかひとつを満たすものと定義
【結果】
・IsI≧35%の症例で1年以内に虚血性CRVOへの移行が有意に高い(83.3 vs. 13.9%, OR111, P<0.0001)
・視力はベースライン時・最終時ともIsI≧35%の症例で有意に悪い(LogMAR;ベースライン時 1.18 vs. 0.46, 最終1.26 vs. 0.45, P<0.001)
・IsI≧35%の症例は最終視力が20/200以下になる割合が有意に高い(47.6% vs. 12.8%, OR6.2, P=0.004)【Fig.3】【Tab.1】
・網膜厚および硝子体注射の回数は両群で有意差なし
【結論】
広角FAで計測したIsIが35%以上の症例は、最初の一年間で虚血性CRVOになりやすい(MK)
Intravitreal anti-vascular endothelial growth factor injections for exudative retinal arterial macroaneurysms
AM Mansour, et al. (Lebanon)
RETINA. 2019;39(6):1133-1141
【対象と方法】
・32例32眼
・症状のある網膜細動脈瘤(RAM)に対し抗VEGF薬を硝子体注射
・他施設・後ろ向き調査
【結果】
・平均16.6か月のフォローアップ期間中、平均2.7回の注射
・ベースライン時の視力はRAMの大きさ及び黄斑との距離と有意に関連
・最初の注射により、中心部網膜厚は1・2・3M後に有意に低下
・初回注射後2・3Mで有意な視力改善(Snellenで20/198→20/153→20/104→20/76)
・抗VEGF薬への反応は、RAMの大きさおよび黄斑との距離と有意に関連
【結論】
症候性RAMは抗VEGF薬の投与により黄斑浮腫の減少がもたらされ有効に治療された(MK)
硝子体術後の眼内炎頻度
Incidence of endophthalmitis after vitrectomy. A systematic review and meta-analysis.
Chen G et al(China)
Retina 39(5): 844-852, 2019
・文献的に硝子体手術後の眼内炎の頻度を調査した。
・最近の小切開硝子体手術MIVSと20G硝子体手術を比較した。
・363,544例の硝子体手術のうち、眼内炎を発症した199例(0.05%)を報告した31の文献を解析した。
・20G硝子体手術は88/229,435例(0.04%)、23Gは8/27,326例(0.03%)、25Gは33/29,676例(0.11%)であり、23G,25GのMIVSは20G硝子体手術よりも眼内炎の頻度が高かった(OR=3.39 95%CI=1.39-8.23)。
・25Gと20GではOR=4.09(95%CI=2.33-7.18)で25Gが多かったが、23Gと20GではOR=1.14(95%CI=0.47-2.78)で有意差はなかった。(TY)