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Retina

2019
39巻

乳頭中心窩距離と黄斑部網膜厚の関連

Retina 39巻 (5号) 2019

Effect of optic disk-fovea distance on measurements of individual macular intraretinal layers in normal subjects.
Qiu K et al(China)
Retina 39(5): 999-1008, 2019
・視神経乳頭ー中心窩間距離(DFD)と黄斑部の網膜厚について正常者182名182眼で検討した。
・DFDは神経節細胞層と視細胞層をのぞく全ての網膜内層厚と負の相関があった(r≦-0.17、全てでp≦0.025)。
・多変量解析ではDFDが長ければ視神経線維層が薄く(6.78μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、節細胞ー内網状層厚(2.16μ薄/DFDの1mm大 p=0.039)、GCC厚(8.94μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、中心黄斑厚(18.16μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)、全黄斑厚(15.94μ薄/DFDの1mm大 p<0.001)。
・黄斑疾患で黄斑厚を解析する時に注意すべき点である。(TY)

2019
39巻

眼内ガス置換後の体位保持についての検討

Retina 39巻 (4号) 2019

Prospective randomized trial assessing the impact of feedback mechanisms on patient positioning.
Dimopoulos S et al(Germany)
Retina 39(4); 727-735, 2019
・黄斑円孔手術や網膜剥離手術後の体位を保持するための患者の頭に固定するfeedbackセンサ-の効果を検討した。
・Feedbackは「なし」、音声、振動の3種類である。体位は500ms毎に24時間記録した。
・黄斑円孔術後の下向き(Grp1)、網膜剥離後の横向き(Grp2)で検討した。
・体位保持時間はGrp1では463(61-1168)分(7.7時間)から1257(1024-1327)分(21.0時間)に改善し、Grp2では1032(520-1165)分(17.2時間)から1284(1231-1437)分(21.4時間)に改善した。(TY)

2019
39巻

陳旧性巨大黄斑円孔に対する治療方法

Retina 39巻 (4号) 2019

Macular hoke hydrodissection. Surgical technique for the treatment of persistent, chronic, and large macular holes.
Felfeli T et al(Canada)
Retina 39(4): 743-752, 2019
・Macular hole hydrodissection法について述べた。
・特発性Stage3と4のMHで、初回手術で未閉鎖、慢性のもの(視力低下が2年以上か診断後1年以上)、開口径が400μ以上の39例39眼について検討した。
・この方法はMHに液を注入し、網膜とRPEの接着を促すものである。
・症例の平均MH開口径は549.1±159.47μで、MH底の開口径は941.97±344.14μである。
・完全な解剖学的復位は34/39(87.2%)、視力改善は37/39(94.9%)、2 line以上は31/39(79.5%)でえられた。
・ICG染色下でILM剥離し、シリコンsoft-tip針で液をMH内へ能動的に灌流させ、MH縁の全周をRPEから剥離させて[hydrodissect]した。
・次に同じsoft-tip針でMHの剥離縁を受動的に軽く一緒に触れ、一見、ほぼ閉鎖させた。
・SF6かC3F8で完全置換し、術後5日間うつ伏せ姿勢を取らせた(TY)

2019
39巻

眼圧下降薬のAMD治療に対する影響

Retina 39巻 (4号) 2019

Effect of intraocular pressure–lowering medications on neovascular age-related macular degeneration treatment outcomes in the comparison of age-related macular degeneration treatment trials
Rahimy, Ehsan, Ying Gui-shuang, Pan Wei, Hsu Jason(USA-CA)
RETINA. 2019;39(4):636-647

【対象と方法】
・CATT試験(ranibizumabとbevacizumabの有効性・安全性を比較した2年試験)のサブ解析
・参加者1185名のうち、房水排出促進作用(PG剤)点眼薬使用をA群、房水産生抑制作用(βブロッカーまたはCAI)点眼薬使用をB群、どちらの点眼なしをコントロール群に割り付け(両剤使用例は除外)
【結果】
・A群28例、B群19例、コントロール群857例
・2年後の平均視力改善:コントロール群+6.3文字、A群+3.5文字(P=0.38)、B群+13.8文字(P=0.052)
・網膜厚の平均変化:コントロール群-54.9μm、A群-80.6μm(P=0.26)、B群-96.8μm(P=0.13)
・Total thickness(網膜+網膜下の病変)の平均変化:コントロール群-163μm、A群-180μm(P=0.63)、B群-238μm(P=0.08)
・多変量の縦断解析では、B群はコントロール群に比べて、より視力改善(2.6文字)、より網膜厚の減少(-17.9μm)、よりtotal thicknessの減少(-54.7μm)がみられた
【結論】新生血管AMDに対する抗VEGF療法中の患者において、房水産生抑制薬を同時に使用すると網膜・病変部の厚みがより減少し視力がより改善する。房水排出促進薬では同様の効果は見られなかった。サンプル数が少なくサブ解析であることより、これらの知見は更なる前向き試験の結果が出るまで解釈には注意すべきである。(MK)

2019
39巻

難治性の黄斑円孔に対する手術手技:円孔へのハイドロディゼクション

Retina 39巻 (4号) 2019

MACULAR HOLE HYDRODISSECTION
Surgical Technique for the Treatment of Persistent, Chronic, and Large Macular Holes
Felfeli Tina, Mandelcorn Efrem D.(Canada)
RETINA. 2019;39(4):743-752

【目的】多くのリスク因子をもつ難治性の黄斑円孔(MH)症例に対する新しい手技を紹介
【対象と方法】2014-2017年、難治性MH*に対する連続症例に対し、円孔へのハイドロディゼクションテクニック**を施行
*Stage3-4の特発性MHで手術不成功例、経過長い例(視力低下>2年or診断後>1年)、サイズ大(>400μm)
**硝子体・ILM切除後、シリコンチップのエクストルージョンカニューラを用い、能動水流でMH縁とRPEとの癒着を解除、その後受動吸引を用いてMH縁をこすり、縁同士を寄せる、SF6またはC3F8タンポナーデ
【結果】
・39例39眼、MH径の平均は開口部549.1μm、MH底941.97μm、経過観察320.33日
・完全閉鎖34眼(87.2%)、視力改善37眼(94.9%)、二段階以上の視力改善31眼(79.5%)
【結論】MHに対するハイドロディゼクションテクニックは、遷延例・手術不成功例・大きなサイズのMHに対して解剖学的・機能的改善を示した(MK)

2019
39巻

閉塞性無呼吸と糖尿病黄斑症

Retina 39巻 (2号) 2019

Evaluation of obstructive sleep apnea syndrome as a risk factor for diabetic macular edema in patients with type Ⅱ diabetes.
Vié A et al(France)
Retina 39(2): 274-280, 2019
・閉塞性無呼吸と糖尿病黄斑症との関連を99例の2型糖尿病者で検討した。
・38例のDME(+)群と61例のDME(-)群で検討した。
・年齢は68.8歳:66.3歳(p=0.27)、平均body mass indexは29.7:30.9(p=0.16)で有意差はなかったが、平均無呼吸低呼吸指数apnea-hypopnea index(AHI)は43.95[13.5-87.3]:36.18[3.55-90.7]と有意差があった(p=0.034)。
・DME(+)群ではapnea-hypopnea indexが30を超える強い閉塞性無呼吸者が71%であり、DME(-)群の50.8%より有意に多かった(p=0.049)。
・SPO2が90%を下回った積算時間(CT90%)はDMEと相関していたが(p=0.0007)、oxygen desaturation indexや最小酸素飽和度は相関がなかった(TY)

2018
38巻

増殖性DMRの無血管野の起源

Retina 38巻 (12号) 2018

Arterial oxygen saturation in neovascularizations in proliferative diabetic retinopathy.
Bek T(Denmark)
Retina 38(12): 2301-2308, 2018
・増殖性糖尿病網膜症における網膜新生血管は太い網膜静脈から発生すると考えられていた。
・しかし、血管撮影像からは新しい血管は動脈と静脈の両方に起源があり、新生血管に近い部位の静脈の酸素分圧は動脈の酸素分圧に近いことが分ってきた。
・今回、40名40眼の増殖性糖尿病網膜症の動脈、静脈、網膜新生血管の酸素分圧を同時に測定した。
・網膜静脈の酸素分圧は動脈よりも有意に低く(p<0.0001)、網膜血管径で補正した後の網膜動脈と新生血管の酸素分圧には有意差はなかった(p=0.71)。
・網膜静脈の酸素分圧は糖尿病の発症時期や期間に相関していたが、動脈と新生血管の酸素分圧は何とも関連がなかった。
・新生血管は無血管野でのバイパスとして働いているのであろう(TY)

2018
38巻

double-cutting portの効果

Retina 38巻 (12号) 2018

In vitro flow analysis of novel double-cutting, open-port, ultrahigh-speed vitrectomy systems.
Zehetner C et al(Austria)
Retina 38(12): 2309-2316, 2018
・新しいdouble-cutting, open-portの23-,25,27-gaugeのultrahigh-speedのシステムを検証した。
・Double-cutting, open-port vitrectomy probeによる灌流量はカッタ-スピ-ドの影響を受けやすい灌流量の影響を受け難く、カッタ-スピ-ドを最高にした時の灌流量の変化は10%以下(0.0%-9.5%)であった。
・23-,25-,27-Gのdouble-cuttingプロ-ブはいずれも通常のsingle-bladeプロ-ブの1.1-2.90倍の吸入効率があり、カッタ-スピ-ドが増すと差が大きくなっていた(TY)

2018
38巻

粘弾物質による角膜の水濡れ性

Retina 38巻 (11号) 2018

Comparison of corneal wetting properties of different dispersive ophthalmic viscosurgical devices. An optical choherence tomography study.
Karaca C et al(Turkey)
Retina 38(11): 2137-2142, 2018
・3種類の粘弾物質、HPMC(スコピゾ-ルと略):hydroxypropyl methylcellulose 2%(スコピゾ-ル点眼は1.5%)、HACS(ヒ-ロンV+アイドロイチンと略):sodium hyaluronate 3%(ヒ-ロンVは2.3%)+sodium chondroitin sulphate 4%(アイドロインチン点眼は1%と3%)、HA(ヒ-ロンVと略):sodium hyaluronate 3%の角膜水濡れ性を正常者ボランティア10名で比較した。
・前眼部OCTで、角膜中心とそこから上・下・耳・鼻側へ2500μm離れた部位で測定した。
・定性的な判定は角膜面の反射帯が不規則になった所とした
・角膜上のOVDの厚みが10μm以下の部位が発生するか、乾燥が確認されたら、観察を中止した。
・ヒ-ロンVあるいはヒ-ロンV+アイドロイチンはスコピゾ-ルよりも常に角膜前の液体は有意に厚かった(p<0.001)。
・7分後ではスコピゾ-ルは105.2±25.3、ヒ-ロンVは561.4±115.8、ヒ-ロンV+アイドロイチンは481.2±55μ。
・平均水濡れ時間はスコピゾ-ルで最も短く’11.5±0.5分)、ヒ-ロンVで最長(29.7±0.28分)であった。
・ヒ-ロンV+アイドロイチンでは26.9±0.87分。(TY)

2018
38巻

自作の虹彩リトラクター

Retina 38巻 (11号) 2018

FLEXIBLE POLYPROPYLENE IRIS RETRACTORS MADE BY CAUTERY THERMOPLASTICITY: An Instant Intraoperative Solution for Small Pupil Vitrectomy

Ou Zhongmin, Zhao Peiquan, Zhang Qi, Jin Heiying (China)

RETINA. 2018;38(11):2272-2274

・5-0または4-0プロリン糸、先端を熱凝固で曲げ、1mmおよび7mmのところで切断

・粘弾性物質の蓋を1mmキューブに切断、27g針で中央を串刺しにする

・作成したフックの長端を針に刺してキューブを通し、針から抜いて長端を炙り根棒状にする(MK)

2018
38巻

血漿VEGFレベルは治療効果を反映しないのか

Retina 38巻 (9号) 2018

Changes in plasma vascular endothelial growth factor level after intravitreal injection of bevacizumab, aflibercept, or ranibizumab for diabetic macular edema.
Hirano T et al(信州大)
Retina 38(9): 1801-1808, 2018
・糖尿病網膜症DRあるいは黄斑症DMEの重症度によってbevacizumab(IVB), aflibercept(IVA), ranibizumab(IVR)注射後の血漿VEGFレベルの変化を42名で調査した。
・血漿VEGFレベルはDMR,DMEの重症度には関連がなかった。
・血漿VEGFの変化はIVBでは51.9pg/ml→11.9(1W p=0.013)→24.1(4W p=0.020)。
・IVAでは52.2→7.8(1W p<0.001)→12.6(4W p<0.001)。
・IVRでは65.8±43.4→50.1±30.5(1W)→61.9±43.4(4W)と変化がなかった。
・血漿VEGFレベルの変化は必ずしもDMEやDMR治療の目安にはならない
・ranibizumab(ルセンティス)がハイリスク患者に使いやすい一因か(TY)

2018
38巻

術中の抗生剤結膜下注射の効果はあるか

Retina 38巻 (9号) 2018

Endophthalmitis after pars plana vitrectomy. Effect of intraoperative subconjunctival antibiotics.
Weiss SJ et al(PA USA)
Retina 38(9): 1848-1855, 2018
・術中に抗生剤の結膜下注射を受けたか否かで硝子体手術PPV後の急性感染性眼内炎の頻度が違うかどうかを検討した。
・18,886例の連続するPPVで5年経過を追った。
・14,068眼(74.5%)が抗生剤結膜下注射を受け、4,818(25.5%)が受けなかった。
・16例(0.085%)が術後に眼内炎を発症。結膜下注射を受けた群は11/14,068(0.078%)、受けなかった群は5/4,818(0.10%)で有意差はなかった(p=0.598)。(TY)

2018
38巻

Outer retinal tubulation (ORT)の発生について

Retina 38巻 (8号) 2018

Optical coherence tomography analysis of outer retinal tubulations. Sequential evolution and pathophysiological insights.
Preti RC et al(Brazil)
Retina 38(8): 1518-1525, 2018
・片眼あるいは両眼の脈絡膜新生血管CNVがあり、最低1年以上経過をみた連続119例238眼を対象にして、outer retinal tubulation(ORT) を継時的に評価した。網膜剥離既往眼や光凝固眼など、評価に影響しそうな眼は除外した。
・119例のうち片眼例は103例103眼、両眼例が16例32眼で、合計135眼である。
・135眼の内107眼(79.2%)は新生血管AMD、9眼(6.6%)は高度近視眼、8眼(5.9%)は網膜色素線条、7眼(5.3%)は原田病、4眼(3%)はCSC眼である。
・年齢は76.2±14.2(57-90)才であり、3.0±1.6(1-7)年、経過観察した。
・ORTは52眼であったが、最終時には67眼(28.1%)となり、そのうち9眼については発生過程を観察できたが、全例で低反射の管腔をもった開放ORTであった。
・9例全例で、経過中に、大きな開放ORTは小さな開放ORTに分割され、閉鎖ORTに移行していった。この平均形成期間は12.7±9(6-36)ヶ月であった。
・ORTの発生には地図状萎縮と網膜下の過反射物質の存在が危険因子であった(いずれもp<0.001)。
・ORTは1996年にCurcioらがAMDのある検体眼でみつけ、網膜外傷に反応した視細胞の再構築であろうと推定していた。
・その後、ORTは進行したAMD、脈絡膜新生血管眼、地図状萎縮眼、網膜色素線条眼、近視性新生血管眼などで見つかっている。
・Huaら(2015)は破断された視細胞の陥入がINL、OPL、ONLの下方移動を起こしているとし、この現象を ‘cynapsis’ と名付けている。
・Dolz-Marcoら(2017)はORTの形成過程をELMの形で説明している。
・視力はORTをもったAMDでlogMARで0.94±0.52(小数点0.12)、ORTのないAMDはlogMAR 0.9±0.49(小数点0.13)で有意差はなかった。
・中心窩厚はORT眼では492±184(203-1,144)μと厚く、ORTのない眼では410±209 (211-1330)で有意差があった(p=0.001)。
・ORT形成は視細胞がCNVから生き残る保護反応と考えられる。
・視細胞への障害がMüller細胞を活性化させ、glial fibrillary acidic proteinを発生し、ORTの形成とその分割を促進すると考えられる。
・ORT形成時、OPLとINLの下方移動(OPL沈下サイン)がORTに近接する部位で発生し、Müller細胞が網膜外層に引張られ、Müller細胞が編成することによってINLにmicrocystic macular lesionが発生すると考えた。(TY)

2018
38巻

硝子体網膜牽引症候群の術後視力予測

Retina 38巻 (8号) 2018

Predictive factors of visual outcome for vitreomacular traction syndrome after vitrectomy.
Yang CS et al(Taiwan)
Retina 38(8): 1533-1540, 2018
・22例22眼の硝子体網膜牽引症候群VMTで硝子体手術後に黄斑浮腫が軽減した症例の長期経過と視力の予測因子を検討した。
・OCTによる硝子体黄斑癒着の径によりVMTを2群に分けた。
・癒着径が1500μ以下のGroup1(14眼)、1500μを越えた癒着径のGroup2(8眼)である。
・術後経過は平均25.4(6-68)ヶ月である。
・術前の平均logMARは0.73(20/107)で、術後は0.49(20/62)に有意に上昇した(p<0.01)。
・視力改善はG1ではG2よりも有意に良かった(2.7 lineと0.8 line p=0.03)。
・中心黄斑孔は術前563±176が術後298±69と有意に薄くなった(p<0.01)。
・多変量解析では、良い最終視力はGroup1 VMT(p<0.01)、症状の持続期間がより短い(p<0.01)、年齢が若い(p=0.02)であった(図1)。

2018
38巻

BRVOへのルセンティス治療後の変視症の変化

Retina 38巻 (8号) 2018

TIME COURSE OF CHANGES IN METAMORPHOPSIA FOLLOWING INTRAVITREAL RANIBIZUMAB INJECTION FOR BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION

Sugiura Yoshim, Okamoto, Fumiki, Morikawa Shohei, Okamoto Yoshifumi, Hiraoka Takahiro, Oshika Tetsuro(筑波大)

RETINA. 2018;38(8):1581-1587

【対象と方法】

・BRVO患者39例39眼

・治療前、およびranibizumab治療(PRN投与)6Mまで毎月Mチャートにて変視の程度を測定

・治療歴なしの24眼:OCTでの中心窩網膜厚(CRT)、ELMおよびellipsoid zone(EZ)の断裂との関係も検索

【結果】

・最高矯正視力およびCRT:有意に改善(ともにP<0.0001)

・変視症の程度は改善せず

・治療後の変視スコアは、症状持続期間(P<0.05)、治療前の変視スコア(P<0.01)と有意に関連

・ELM断裂がみられると、治療後の変視スコアは有意に悪かった(P<0.05)

・治療後視力はEZ断裂と有意に関連していた【Tab.3】

【結論】

・BRVO患者では、ranibizumab治療にて視力とCRTは有意に改善するも変視症は改善しなかった

・治療後の変視の程度は、症状持続期間・治療前の変視の程度・ELM断裂と有意に関連した(MK)

2018
38巻

ルセンティスに抵抗するBRVOの特徴

Retina 38巻 (7号) 2018

CLINICAL FINDINGS OF EYES WITH MACULAR EDEMA ASSOCIATED WITH BRANCH RETINAL VEIN OCCLUSION REFRACTORY TO RANIBIZUMAB

Hasegawa Taiji, Kawano Taizo, Maruko Ichiro, Hideki Koizumi(女子医大)

RETINA. 2018;38(7):1347-1353

【目的】

網膜静脈分枝閉塞による黄斑浮腫(BRVO-ME)でranibizumab治療に抵抗する臨床的特徴を検索

【対象と方法】

・68眼のBRVO-ME患者を診療録よりretrospectiveに検索

・治療抵抗例:治療6M間、ranibizumab治療(PRN投与)に関わらず中心窩網膜厚<250μm

【結果】

・反応例60眼(88.2%)、抵抗例8眼(11.8%)

・治療前のFA;反応例の52眼(86.7%)で閉塞血管からの広範な蛍光漏出、残る8眼(13.3%)は微小血管瘤または拡張した毛細血管からの局所的な蛍光漏出。抵抗例では7眼(87.5%)が局所漏出、広範な漏出は1眼(12.5%)のみ

・治療前の脈絡膜厚;反応例では患眼(278.0±90.5μm)が僚眼(249.9±94.4μm)に比べ有意に厚く(P<0.0001)、抵抗例では有意差みられず(P<0.4002)

【結論】

FAの蛍光漏出パターンと脈絡膜厚がBRVOにおけるranibizumab治療への反応性に関連しているかもしれない(MK)

2018
38巻

BIOMの手術用レンズの外来での再使用

Retina 38巻 (6号) 2018

Novel use of sterilized disposable surgical lenses for posterior segment examination. An opportunity for equitable resource distribution.
Thomas B et al(FL USA)
Retina 38(6): 1256-1259, 2018
・BIOMのdisporsable surgical lensを外来での検査用前置レンズとして使う(TY)

2018
38巻

黄斑円孔手術後の視力改善と術前のellipsoid zoneの状態

Retina 38巻 (6号) 2018

Correlation between preoperative en face optical coherence tomography of photoreceptor layer and visual prognosis after macular hole surgery.
Kim K et al(Korea)
Retina 38(6): 1220-1230, 2018
・黄斑円孔手術後の中心窩構造と視機能改善に術前のen face SD-OCT所見で予測できるかを106例のレコ-ドから検討した
・術前のELMとellipsoid zone(EZ)を解析し、術前にRPEに突出がEZの高屈折点として見られるか否かで検討した。
・EZの高屈折点は51眼(48.1%)でみられ、これは術後の改善度と相関していた
・術後9ヶ月目では、高屈折点がない症例で視力改善が良かった(TY)

2018
38巻

増殖糖尿病網膜症からの硝子体出血に対するラニビズマブ硝子体内注射の有効性

Retina 38巻 (6号) 2018

EFFICACY OF INTRA VITREAL RANIBIZUMAB INJECTIONS IN THE TREATMENT OF VITREOUS HEMORRHAGE RELATED TO PROLIFERATIVE DIABETIC RETINOPATHY
ELIAS CHELALA, et al. (Lebanon)
RETINA 38(6):1127-1133, 2018
目的:増殖糖尿病網膜症からの硝子体出血(VH)に対するラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の有効性を調べる。経過観察期間16週間での硝子体切除術の割合、VHの再発率および視力の変化を検討した。
対象と方法:増殖糖尿病網膜症の患者で2週間以上VHが続いた患者。硝子体出血は軽度、中等度および重度に等級分けした。
軽度のVH:網膜血管がぼんやりまたはクリアに見える。視神経乳頭はクリアに見える。
中程度のVH:視神経乳頭と網膜血管がぼんやり見える。
重度のVH:視神経乳頭がかろうじてぼんやり見えるが、網膜血管は見えない、または全く見えない。
IVR群70眼、平均年齢は67.9±10.2歳、対照群62眼、平均年齢は69.4±8.5歳。
性別、糖尿病の期間、重症度、重要な合併症(特に高血圧症)、および治療に関して、2つの群の間に統計的に有意な差はなかった。ベースラインの視力、水晶体の状態、PRP、および硝子体出血の程度に関して有意差はなかった。
IVRはVH消失が不完全である場合(最大4回)、4週間間隔で繰り返した。
両方の群において、十分な眼底の可視化が得られたときはいつでも網膜光凝固が行われた。
硝子体手術は、VHの増加、または中等度および重度のVH患者において16週間までにVHの改善がなかった場合に施行した。
結果: IVR群で合併症(牽引性網膜剥離および眼内炎)はなかった。平均注射回数は3.65±0.89回であった。
軽度から中等度のVH患者における硝子体切除術率はIVR群7.04 %(5眼)、対照群19.35 %(12眼)で有意差を認めた。(P = 0.04)。しかし、重度のVHではIVR群16.90 %(12眼) 、対照群16.13 %(10眼)で有意差はなかった(P = 0.83)。
VHの再発はIVR群22眼、対照群29眼で発生した(P = 0.06)。
IVR群のすべての受診時でより良好な視力が得られた(P≦0.04)。
フォローアップ期間の終わりに、IVR群の56眼の患者(77.7%)、対照群の患者(74.2%)はPRPが完成していた(P = 0.54)。
結論: IVR群では、対照群と比較して硝子体切除術率が低く、再出血発率が低かったが、統計的に有意差はなかった。しかし、VH程度を考慮すると、軽度および中等度のVH患者は、IVR群により多くの利益があり、対照群と比較して硝子体切除術の割合が有意に低かった。
軽度から中等度のVH患者に対するIVRは有効と思われた。(CH)

2018
38巻

高血圧治療薬エプレレノンの中心性網脈絡膜症に対する効果

Retina 38巻 (5号) 2018

A randomized double-blind placebo-control pilot study of eplerenone for the treatment of central serous chorioretinopathy.
Rahimy E et al(CA USA)
Retina 38(5): 962-969, 2018
・選択的アルドステロン受容体拮抗作用を持つスピロラクトン系高血圧治療薬エプレレノン(商品名セララ)を中心性網脈絡膜症の治療に使用した結果を報告する。
・25mgを1週間、その後、50mgを8週間使用した。
・10例15眼をeplerenone(E)群、5例6眼をCtrl群とした。
・9週間の治療後、E群のlogMARは0.394(小数点20/50)から0.330(20/43)に上昇(p=0.04)
・Ctrl群では0.313(20/41)から0.342(20/44)で有意差はなかった(p=0.21)。
・OCT上での網膜下液の最大の高さはE群では139.3μmから51.8(p=0.02)、傍中心窩では121.4から29.4(p=0.01)、中心部の平均では366.2から283.7(p=0.02)と改善。
・Ctrl群では、最大は135.9から172.3(p=0.32)と悪化、傍中心窩は92.1から134.0、中心部の平均は345.0から380.0と悪化した。(TY)

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