ENDOPHTHALMITIS AFTER INTRA VITREAL INJECTION
Role of Prophylactic Topical Ophthalmic Antibiotics
ALEXA L. LI, et al. (Texas, U.S.)
RETINA 36(7):1349-1356,2016
目的:硝子体注射前後での抗菌剤点眼使用有りの場合と無しの場合での眼内炎の割合を調べ、微生物学的特徴と結果を評価した。
対象と方法:2011.1.1.〜2014.12.31.の間に硝子体注射を受けた90,339眼
2011.1.1.〜2011.12.31.点眼あり、2013.1.1.〜2014.12.31.点眼無し、間は移行期間。
4%リドカイン点眼麻酔、2%リドカイン結膜下麻酔後、1%〜10%ポピドンヨード点眼し、角膜輪部から3.5mm〜4mmで注射した。ドレープ、マスクは全例ではなかった。
結果:眼内炎は全体で30眼(0.033%)、平均年齢74歳、男性12人、女性18人、有水晶体眼14眼、偽水晶体眼16眼、糖尿病有り12眼。
2011年6眼、2012年13眼、2013年7眼、2014年4眼
点眼有り 13眼、点眼無し 17眼 有意差はなかった。
マクジェンとオクリプラスミンでは眼内炎は認めなかった。
眼内炎の発生率と注射した医師に関連はなかった。
培養は16眼で陽性でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌10眼、レンサ球菌(ストレプトコッカス・ミティス)2眼、その他。
全例、バンコマイシン硝子体注射、セフタジジム硝子体注射を受けた。
硝子体手術を受けたのは8眼だった。
最終視力は平均20/200 (20/30〜光覚無し)
レンサ球菌の2眼は最終視力が指数弁以下で悪かった。
コアグラーゼ陰性ブドウ球菌10眼のうち2眼は最終視力が指数弁以下となった。
結論:硝子体内注射の後の眼内炎のリスクは低かった。注射前後の抗菌剤点眼使用の有無で、眼内炎のリスクは変わらなかった。(CH)
Postoperative positioning in macular hole surgery. An objective evaluation of nonsupine positioning and the effect of the “Tennis Ball Technique”.
Forsaa VA et al(Norway)
Retina 36(6): 1081-1086, 2016
・黄斑円孔手術後の上向きでない姿勢(nonsupine positioning NSP)を守れたかどうかの客観的評価と、手術初日夜の上向き姿勢ができる方法を検討した。
・客観的評価には患者の額に取り付けた“Position monitoring device”を使用した。
・40例で行ったところ、NSPを守れなかった時間は平均14分47秒であったが、”Tennis Ball Techniqu(TBT)”を行ったときは4分24秒に減少した(p=0.01)。
・ことに7名のNSPを守れない患者(NSPが30分以上)で、TBTを行った場合は63分2秒から3分46秒に有意に減少した(p=0.02)。(図)(TY)
Silicone oil barrier sutures in aphakic eyes with iris defects.
Yuksel K et al(Turkey)
Retina 36(6): 1222-1226, 2016
・虹彩欠損のある無水晶体眼16眼でsilicone oil barrier sutureについて検討した。
・全例が網膜剥離手術でのシリコンオイル注入である。
・縫合はグリッド形で、硝子体手術後のシリコンオイル注入前に本来あるべき虹彩の位置に行った。
・平均12.0±6.8か月の経過観察で、シリコンオイルが前房内脱出した例は5眼31%であり、この5例は全例、低眼圧、帯状角膜症があり、眼球癆の前段階であった。
・方法はpolypropylene 10-0糸(Alcon PC-9)を使用した。全周結膜を剥がし、輪部から1mm部で、1ccシリンジにつけた27G針で迎えにいった(図)(TY)
Postoperative Positioning in Macular Hole Surgery: An Objective Evaluation of Nonsupine Positioning and the Effect of the “Tennis Ball Technique”
Forsaa VA, Krohn J (Norway)
RETINA 2016: 36(6)1081-1086
【対象と方法】MH術後患者(n=40)にうつ伏せを指示し、術後一日目・二日目の夜に「テニスボールテクニック(TBT)」または「指示のみ」をランダムに割付け(翌日はもう一方の方法)。
「position monitoring devise」を前頭部に貼付し、仰向けとなった時間を測定。
【結果】9:00PM-9:00AMにおける仰向けとなった時間;コントロール群で14分47秒、TBT群で4分24秒(P=0.001)
・うつぶせ寝を守らない患者(n=7)に絞ると、コントロール群で63分2秒、TBT群で3分46秒(P=0.02)
【結論】今回の症例群ではMH術後患者は高いレベルでうつ伏せ体位を守った。TBTはさらに有意にコンプライアンスを改善させた。(MK)
Long-term evolution of dome-shaped macula. Increased macular bulge is associated with extended macular atrophy.
Soudier G et al(France)
Retina 36(5): 944-952, 2016
・Dome-shaped Macula(DSM)29眼で6か月から111か月(平均37.89ヶ月)経過を追い、黄斑隆起の高さ、RPE萎縮の大きさ、漿液性網膜剥離の進行について検討した。
・DSMは黄斑下の強膜厚が変らないのに傍中心窩の強膜が薄くなっていくことによると考えられている。
・視力はlogMAR0.45±0.43(小数点0.35)→0.56±0.47(小数点0.27)と有意差はなかったが(P>0.005)、黄斑隆起は338.9μから364.3μになり、平均+25.4±54.07μ増加(p=0.007)。
・漿液性網膜剥離は最初は15/29眼で見られたが、4眼で増加、7眼で自然消退した。
・黄斑部RPE萎縮は1.12から1.34乳頭面積に、平均+0.22±0.41DA増加し(p=0.04)、黄斑隆起の高さと相関していた(p=0.015)。(TY)
Incidence and relation with anatomical and functional variables of postoperative macular displacement in rhegmatogenous retinal detachment.
Cobos E et al(Spain)
Retina 36(5): 957-961, 2016
・網膜剥離に対して硝子体手術(ガス注入)を行った20例で術後の黄斑移動と黄斑機能について検討した。
・黄斑移動は術後3か月目の自発蛍光で判定し、黄斑機能はOCT、多局所ERG、視力、両眼視で判定した。
・60%で黄斑移動がみられたが、移動量と両眼視や視力との関連はなかったし、多局所ERGとの関連もなかった。(TY)
Subfoveal Choroidal Thickness in Papillitis Type of Vogt–Koyanagi–Harada Disease and Idiopathic Optic Neuritis
Maruko I, Iida T, et al. (女子医大)
RETINA 2016: 36(5)992-999
・Vogt-小柳-原田病(VKH)乳頭炎型7例11眼と特発性視神経炎(ON)8例11眼、SD-OCTのenhanced-depth imageでステロイド治療前と治療後1M後の中心窩下脈絡膜厚を測定
・治療前の脈絡膜厚;乳頭炎型VKHは特発性ONより有意に厚かった(527±119μm vs. 321±86μm, P<0.01)
・治療後1Mの脈絡膜厚;乳頭炎型VKHは有意に減少、特発性ONは有意差なし
【結論】乳頭炎型VKHはしばしば特発性ONと誤診されるが、治療前の脈絡膜厚と治療後の変化は診断・治療の助けになる(MK)
Measurement of retinal displacement and metamorphopsia after epiretinal membrane or macular hole surgery.
Rodrigues IA et al(UK)
Retina 36(4): 695-702, 2016
・黄斑前膜EPMと黄斑円孔FTMHの手術後の網膜移動について検討した。
・33例33眼(ERM21眼、FTMH12眼)で垂直方向のarcade距離(IAD:上耳側と下耳側での動静脈交差点間距離)、中心窩乳頭縁距離、周黄斑面積(PMA:中心窩から2乳頭経以内の4つの血管分岐点内の面積)を測定し、Morphision testで変視症を評価した。
・ERMでは黄斑部は拡大し(PMA=+10.14% p<0.0001)、IADは拡大(+6.10% p<0.0001)、中心窩乳頭縁距離は拡大(+4.80% p=0.0042)。
・FTMHでは黄斑部は縮小し(PMA=-2.95% p=0.0197)、IADは縮小(-2.11% p=0.0047)、中心窩乳頭縁距離は縮小(-4.69% p=0.0010)。
・変視症スコアはFTMHは57.3%でERMは38%より大きく(p=0.0636)、術後改善度はFTMHは43.6%、ERMは21.3%で有意差があった(p=0.0019)()。(TY)
D-chart. A novel method of measuring metamorphopsia in epiretinal membrane and macular hole.
McGowan G et al(Scotland)
Retina 36(4): 703-708, 2016
・変視症を定量化する表(D-Chart)を試作した。
・A4版の紙にドーナツ状に0.2°径(AとB)、あるいは0.4°径(CとD)の大きさの四角を配置し、四角の中心間距離を0.5~1.0°あるいは0.7~1.6°離して表示したものである。
・中心-周辺(中心間距離)(全て “°”)で示す。A:0-1.5(0.5)、B:1.5-3.5(0.6)、C:3.5-7.0(0.8)、D:7.0-11.5(1.0)、E:0-1.5(0.7)、F:1.5-3.5(0.8)、G:3.5-7.0(1.0)、H:7.0-11.5(1.6)。Ring A-D、あるいはRing E-Hを1セットとする。
・8方向で変視症に気付いた中心間距離を合計したものをM-Totalとして求めるもの。(TY)
Adjustable macular buckling for full-thickness macular hole with foveoschisis in highly myopic eyes. Long-term anatomical and functional results.
Cacciamani A et al(Italy)
Retina 36(4): 709-716, 2016
・高度近視の黄斑円孔を伴った中心窩分離症15例に対して、adjustable黄斑バックルを行った。
・全例で中心窩分離は解消し、視力改善は13/15(86.7%)で改善、黄斑感度は5.69±3.52dBから8.35±3.86dBに改善(p<0.001)した()。(TY)
Untreated obstructive sleep apnea hinders response to bevacizumab in age-related macular degeneration.
Schaal S et al(Israel)
Retina 36(4): 791-797, 2016
・閉塞性睡眠時無呼吸OSAで、持続陽圧呼吸治療をした群としない群に分け、滲出性AMD治療として硝子体内bevacizumab注入に対する反応を調べた。
・18例の未治療群と20例の治療群で比較した。
・治療方法はこの検討前には無治療のAMDで、最初に3回のbevacizumab (1.25mg/0.05ml)を6週おきに受け、その後はpro re nata法で必要時に注射を受けた。
・200週の調査期間中、OSA治療群では8±7回の注射を受け、未治療群では16±4回の注射を受けていた(p<0.005)。
・視力も治療群ではLogMAR=0.3±0.24(小数点0.50)、未治療群ではLogMAR=0.7±0.41(小数点0.20)でp<0.05)。
・中心窩厚は治療群では358±95→254±45、未治療群では350±75→322±105μm(p<0.05)であった。
・OSAの未治療はAMDのbevacizumab硝子体内注入の効果を阻害するため、OSAの治療が必要である(TY)
Risk of retinal vein occlusion with central serous chorioretinopathy.
Chang Y et al(Taiwan)
Retina 36(4): 798-804, 2016
・中心性網脈絡膜症CSCR後の網膜静脈閉塞症のリスクを検討した。
・2,882例のCSCRと、17,292例の性、年齢、全身状態などを一致させたコントロールを2001~2010年の台湾の保険データベースで調査した。
・CSCR患者ではCtrlよりもRVOのリスクが高かった(OR=3.07 95%CI=1.86-5.07)。
・交絡因子を考慮しても3.15倍であった()。(TY)
Untreated Obstructive Sleep Apnea Hinders Response to Bevacizumab in Age-Related Macular Degeneration
Schaal S, et al. (US-KY)
RETINA 2016: 36(4)791-797
・睡眠時無呼吸症候群(OSA)を持つtreatment naiveなAMD患者を前向きに2群に割付け;18例が無治療(CPAP拒否)、20例でCPAPによる治療開始*ランダムではない
・アバスチンは6週おきに3回導入、以後6週ごとの通院によるPRN投与
・フォローアップ期間は120±41週(100-204週)
・注射回数:無治療群は16±4回 (11-21回)、CPAP群は8±7回 (5-17回) (P<0.05)
・視力:CPAP群(LogMAR, 0,3±0.24)が無治療群(LogMAR, 0.7±0.41)に比べ有意に良好(P<0.05)【Fig.2】
・中心網膜厚もCPAP群で有意に改善した(P<0.05)
【結論】OSAを治療せず放置することは浸出性AMDに対するアバスチンの効果を妨げる(MK)
AFLIBERCEPT FOR THE TREATMENT OF RETINAL PIGMENT EPITHELIAL DETACHMENTS
LINGMIN HE, et al. (California, U.S.)
RETINA 36(3):492-498, 2016
目的:ranibizumabやbevacizumab治療にも関わらず、滲出性加齢黄斑変性症からの二次的なしつこい網膜色素上皮剝離がある症例の視力、網膜厚、PEDの高さを検討した。
対象と方法:ranibizumabあるいはbevacizumabからaflibercept硝子体内注射に変更した網膜色素上皮剝離がある37人40眼(平均年齢82.5 ± 7.1歳)。
Afliberceptに変更前、平均22.0 ± 13.2ヶ月の間に15.0 ± 9.2回の硝子体注射を受けていた。(平均6週間毎)ranibizumab 31眼、bevacizumab 9眼。
5眼が3年以上硝子体注射の治療を受けていた。2人が隔月、1人が3ヶ月毎、他はPRNで年に3回以上注射していた。
結果:平均4.7 ± 1.6ヶ月で3回のaflibercept硝子体内注射を受けた。(平均6週間毎)
1年間で平均7.90の±2.26回注射した。
視力 aflibercept硝子体内注射前20/61± 3.99 lines 3回注射後20/67 ± 2.43 lines 1年後 20/82± 3.48 linesと低下した(P = 0.03)。
中心窩厚 aflibercept硝子体内注射前 253.2±58.0μm、3回注射後244.1 ± 61.0μm、 1年後232.7. ± 43.5 μm(P = 0.01)と減少した。
PEDの横幅 aflibercept硝子体内注射前 2279.5±907.7μm 3回注射後2377.3 ±1100.7 μmと増加し、1年後2209.6 ± 1088.2 μmと減少した。
PEDの高さ aflibercept硝子体内注射前 208.1±123.8μm、3ヶ月後176.5 ±128.7μm、1年後164.8 ± 96.6μmと減少した。
PEDの見かけはほとんど変化がなかったが、PEDが悪化した人より改善した人の方が多かった。
1年後、PEDの高さが改善した29例と悪化した11例の視力に差はなかった。
結論:ranibizumabあるいはbevacizumabからafliberceptに変更する事により1年後のPEDは縮小した。視力は悪化傾向だった。しかしこれは、黄斑変性の自然経過でもある。(CH)
Microbial spectrum and outcomes of endophthalmitis after intravitrealinjection versus pars plana vitrectomy.
Garg SG et al(PA USA)
Reina 36(2): 351-359, 2016
・硝子体内注射IVI後(117,171回の注射)と経毛様体扁平部硝子体手術PPV後(14,163眼の手術)の眼内炎の起炎菌と予後を2009/1から2012/10で調査した。
・IVI後とPPV後の眼内炎は44例(内培養陽性は17例 38.6%)と19例(同9例 47.4%)であった。
・IVI群もPPV群もブ菌は検出されたが、IVI群では口内細菌叢由来のものが56.3%(9/16)であったが、PPV群では1例もなかった(0/8)(p=0.01)。
・口内細菌叢由来の細菌は6例が緑色連鎖球菌、2例が腸球菌であった。
・IVI群では視力が3ライン以上低下する症例がPPV群に比較して多かった(p=0.07)。
・IVI群で口内細菌叢が起炎菌の場合、視力が6ライン以上低下するものが多かった(p=0.007)。(TY)
Systemic Oral Antibiotics As A Prophylactic Measure To Prevent Endophthalmitis In Patients With Open Globe Injuries In Comparison With Intravenous Antibiotics
SA Tabatabaei et al (Iran)
Retina 36:360-365, 2016
Prospective Study:2011年1月から2013年5月までの連続1340例の鈍的あるいは鋭的な開放性眼外傷
手術までに24時間以内、片眼のみの受傷、糖尿病無し
670例ずつの2群に分け、抗生剤の内服か点滴を行った 点滴群16例と内服群69例はフォローアップ不足で最終的には点滴群654例、内服群601例の1255例が対象となった
点滴:ceftazidime 1g/8hrs(一日3回)、Vancomycin 1g/12hrs(一日2回) 3日間
内服:ciprofloxacin 750mg/12hrs 3日間
抗生剤の硝子体投与はなし
眼内炎が疑われた場合は前房内と硝子体サンプルと採取し、Vit実施し、2.25mg ceftazidimeと 1mg vancomycinを硝子体内に投与した
眼内炎の症例は術後安定するまでフォローした
両群で性別・年齢。視力・受傷機転・眼内異物の有無・RAPD・受傷から手術までの時間、重症度に差はなかった
点滴群:術後3日目までに12例、1週間目までにさらに2例、合計14例(2.1%)眼内炎となった
内服群:3日目までに8例、1週目までに5例、合計13例(2.2%)眼内炎となった 有意差なし
眼内炎となった患者:受傷機転、バクテリアの種類、培養陽性率、術後1年の視力に両群で有意差なし
眼内炎後の視力で20/400以上となったのは29.1%
開放性眼外傷での予防的抗生剤投与は、ニューキノロン系抗生物質の3日間投与と点滴が同等であった(MM)
GANGLION CELL LAYER THICKNESS AND VISUAL IMPROVEMENT AFTER EPIRETINAL MEMBRANE SURGERY
SU JEONG SONG, et al. (Korea)
RETINA 36(2): 305–310, 2016
目的:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術を受けた症例の手術前の網膜層の厚さと視力の関連を調べた。
対象と方法:特発性黄斑上膜に対する硝子体手術を受けた76人(男性37人、女性39人)、平均年齢71歳、43人が眼内レンズ眼だった。
術後3ヶ月後のBCVAによって2グループに分けた。
グループ1 スネレン視力で2ライン以上の視力改善した25例
グループ2 スネレン視力で2ライン未満の視力改善だった51例
症状持続時間以外、グループ1と2の間に有意差はなかった。
網膜の各層の厚さ、比率を検討した。
結果:術前平均視力 0.54 ± 0.24 (20/69)、術後3ヶ月平均視力0.40 ± 0.30 (20/50)( P < 0.001)と改善した。
平均CFT/GCL比 グループ1 5.44±0.74、グループ2 5.06±11.80.58 (P = 0.03)
症状持続時間、年齢、レンズの状態、術前視力を調整後、CFT/GCL比が術後3ヶ月で2ライン以上視力が改善したことと関連していた。
結論:術前の高いCFT / GCL比が独立して術後の視力改善と関連していた。
手術前の網膜厚、より薄いGCLが術後の視力改善を予想する因子となる。薄いGCLは損傷した組織を改善する能力があり、厚いGCLは改善する事が出来ない損傷した組織を表すのかもしれない。(CH)
Transcleral drainage of subretinal fluid, anti-vascular endothelial growth factor, and wide-field imaging-guided laser in Coats exudative retinal detachment.
Stagna PE et al(UK)
Reina 36(1): 156-162, 2016
・進行したCoats病(Stage 3)で浸出性網膜剥離を伴った症例に対し、経強膜での網膜下液除去、硝子体内bevacizumab注入とレーザー光凝固で治療し、8例8眼全例で成功した。
・症例は8例(7例が男)で、年齢は4-15歳である。
・全例で1回だけ、20Gの前房メインテナーの使用下で、27G針で網膜下液を抜き、1.25mg/mlのAvastinの硝子体内注射を1-2回行い、双眼倒像鏡下でのアルゴンレーザー光凝固治療を1-4回行った。
・光凝固は、広角FAG検査を行い、すべての血管異常部と無血管野を凝固した。
・9-60か月の経過観察で全例、解剖学的に改善し、浸出性網膜剥離は消失した。
・この方法は硝子体手術を必要としないので、侵襲の少ない良い方法と考えた(図)(TY)
LENS CAPSULAR FLAP TRANSPLANTATION IN THE MANAGEMENT OF REFRACTORY MACULAR HOLE FROM MULTIPLE ETIOLOGIES
Chen SN, Yang CM. (Taiwan)
RETINA 36(1); 163-170, 2016
【目的】難治性黄斑円孔(MH)に対する水晶体嚢移植の臨床的結果を報告する
【対象と方法】通常の硝子体手術後もMHが残存した連続20症例。水晶体前嚢(白内障同時手術の場合)または後嚢(偽水晶体眼の場合)を採取しICGで染色後MH部に移植。ガスタンポナーデおよび術後1週間の俯き姿勢。
【結果】前嚢を移植した10眼すべて円孔が閉鎖。後嚢を移植した10眼では、閉鎖5眼、一部閉鎖3眼、非閉鎖2眼。視力(LogMAR)は術前1.53±0.39→術後1.07±0.35と改善。
【結論】多くの難治性MHに対して、水晶体嚢の移植は円孔を閉鎖させ視力を改善させた。(MK)
PERSISTENT CORNEAL EPITHELIAL DEFECT AFTER PARS PLANA VITRECTOMY
HSI-FU CHEN, et al. (Taiwan)
RETINA 36(1):148-155,2016
目的:硝子体手術後の持続する角膜上皮欠損(PCED)の発生率、リスク要因、臨床経過を調査した。
対象と方法:2008年から2011年に硝子体手術を施行した460眼。
PCEDは従来の治療にも関わらず2週間以上続く角膜上皮欠損、角膜浮腫、点状表層角膜炎と定義した。
結果:全体の角膜合併症は96人103眼(22.4%)、その内PCEDは21眼(4.6%)だった。
103眼のうち、29眼に上皮欠損を認めた。その内、24眼は術後1日目から発症。1眼は術中に発症、5眼は術翌日以降に発症(平均20.2日)した。29眼中8眼は2週間以内に治癒した。(平均8.8日)
その他のPCEDとなった21眼中10眼は4週以内に治癒、11眼は治癒に平均61.9日かかった。
11眼中5眼は感染性角膜炎になった。(1眼眼内炎、4眼ヘルペス)、11眼中7眼に角膜混濁が残った。
4週間以上のPCEDが感染性角膜炎と角膜混濁と結びついていた。
視力は表5の通りで、PCEDで最終視力が悪かった。
多変量解析でPCEDと関連するリスク要因はDM、C3F8、若い医師の手術だった。空気、SF6に関連はなかった。
長期間眼内にあるガスは内皮に毒性、角膜異常を誘発するかもしれない。
結論:硝子体手術後のPCED発生率は4.6%だった。リスク要因はDM、C3F8、若い医師の手術だった。4週間以上続くPCEDは角膜混濁やヘルペスと関連していた。
悪い結果を防ぐため、早い、積極的な治療が必要である。(CH)