A method to decrease the frequency of unintentional slippage after vitrectomy for rhegmatogenous retinal detachment
Shiragami C, et al.(香川大)
RETINA 35(4)758-763, 2015
【目的】裂孔原性網膜剥離の硝子体手術後に起こりうる網膜ずれを防ぐ方法を探る
【対象と方法】胞状網膜剥離に対して標準的な硝子体手術(SF6ガス併用)を施行し成功を収めた86眼。時期により2群に群分け;【グループ1】手術終了後、帰室してから(手術終了後約10分)うつむき開始(44眼;2006.12-2008.7)、【グループ2】手術終了後、手術室ですみやかにうつむき姿勢をとって帰室(42眼;2008.8-2010.11)。
・手術1か月後に眼底自発蛍光で網膜ずれを評価。
【結果】網膜ずれはグループ1で28眼(63.6%)、グループ2で10眼(24.0%)であった(P=0.004)。ロジスティック回帰分析では、網膜ずれは網膜剥離の程度(P=0.029)およびうつむきをはじめた時間(P<0.001)と有意な関連があった。
【結論】裂孔原性網膜剥離に対する硝子体手術の際、術後すみやかにうつむき姿勢をとることで網膜ずれを防ぐことができるかもしれない。(MK)
Intravitreal vascular endothelial growth factor concentration and axial length.
Hu Q et al(China)
Retina 35(3): 435-439, 2015
・眼内新生血管のない特発性黄斑円孔(21眼)あるいは黄斑前膜(13眼)の硝子体手術眼で眼軸長と硝子体内のVEGF濃度とを比較した。
・年齢は62.4±10.5歳(35-76歳)、眼軸長は24.1±1.8(21.0-29.1mm)である。
・眼内のVEGF濃度は71.0±63.2pg/mlで、血中濃度830±585よりも有意に少なかったが(p<0.001)、両者は有意に相関していた(p=0.04 r=0.35)。
・眼軸が短いほど(p=0.025 r=-0.39)、遠視が強いほど(p=0.04 r=0.35)硝子体内VEGF濃度は高かったが、血中のVEGF濃度には関連がなかった。
・硝子体内VEGF濃度は眼軸が長いほど低かったが、これは眼球容積が大きくなったための希釈効果 and/or 硝子体液化を伴った軸性近視眼で、VEGFの代謝スピードが速いことに起因するのであろう(図)
Optical coherence tomographic hyperreflective foci in early stages of diabetic retinopathy.
Benedetto U et al(Italy)
Retina 35(3): 449-453, 2015
・糖尿病黄斑症がなく、視力障害もない糖尿病患者のOCT上のhyperreflectivfe foci(HRF)について検討した。
・Type1-DMの17例33眼とType2-DMの19例38眼で検討した。
・OCT上、type1では7.5±4.6個(3-22個)、type2では9.9±4.5個(4-21個)のHRFが見つかり、両者間には有意差があった(p=0.032)。
・正常者コントロール眼では中間値33歳の若年者0.9±0.8、中間値52歳の中年者1.7±1.5より、いずれも有意に多かった(p<0.001)。
・また、血糖コントロールの悪いDM患者(p<0.001 p=0.016)、高血圧併発DM患者(p=0.00)で多かった。
・このHRFは糖尿病網膜症の進展のリスクファクターと考えられ、糖代謝異常による網膜層からの液吸収障害が原因であると考えられる(図)
Spectral domain optical coherence tomography findings in long-term silicone oil-related visual loss.
Ahalchi Z et al(UK)
Retina 35(3): 555-563, 2015
・黄斑部剥離がなかった例で、硝子体手術時にシリコンオイルを注入し、4年から9年の経過で症状の出た4眼と症状のなかった11眼について検討した。
・静的視野では全例で中心暗点が見られ、OCT上で網膜内顆粒層に微小嚢胞様の黄斑変化があり、乳頭黄斑神経線維の重篤な欠損がみられた。
・SO抜去後18か月で黄斑部の微小嚢胞様変化の現れた症例も1例あった。
・これらの変化はMultiple sclerosisに伴う視神経炎やLeber遺伝性視神経症と似た所見である(図)
AUTOFLUORESCENCE AND AXIAL LENGTH AS PROGNOSTIC FACTORS FOR OUTCOMES OF MACULAR HOLE RETINAL DETACHMENT SURGERY IN HIGH MYOPIA
Luis Arias et al (Spain)
Retina 35(3):423-428, 2015
・眼軸長26㎜を超える、MH-RD 15名15眼(13眼:女性、平均年齢69.4歳、左眼9眼)、屈折異常-19D(-13~-25D)AL29.94mm(26.1-33.42mm)
23GVitrectomy+ILM peeling+ Silicone oil tamponadeをおこなった。
平均観察期間19.3m レトロスペクティブに調査
・13眼でRD改善、9眼でMH改善
・RDが改善しなかった2眼と、MHが改善しなかった6眼中4眼は眼軸30mmを超える
・黄斑部の自発蛍光が低いものは10眼あり、それらは術後視力が有意に低かった
・また眼軸が30㎜を超えるものも術後視力が不良であった。
・対象が少ないこと、経過観察期間が短いこと、コントロール群がいないこと、レトロスペクティブであることが問題点(MM)
Geographic atrophy in patients receiving anti-vascular endothelial growth factor for neovascular age-related macula degeneration.
Xu L et al(NY USA)
Retina 35(2): 176-186, 2015
・未治療の新生血管加齢黄斑変性で硝子体内への抗VEGF治療を受けた後に地図状萎縮を来した眼について検討した。
・脈絡膜新生血管はtype1(sub-RPE)、type2(subretinal)、type3(intraretinal)、混合型に分けた。
・91例94眼のうち、52眼(55.3%)で地図状萎縮GAを来した。
・GAを発症する率はtype1で有意に少なかった(p<0.001)。
A RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL OF PANRETINAL PHOTOCOAGULATION WITH AND WITHOUT INTRAVITREAL RANIBIZUMAB IN TREATMENT-NAIVE EYES WITH NON-HIGH-RISK PROLIFERATIVE DIABETIC RETINOPATHY
Daniel A. Ferraz et al (Brazil)
RETINA 35(2):280-287, 2015
・DR治療歴のない18歳以上の両眼非ハイリスクPDR、視力20/40-20/320の30名60眼を無作為にStudy Group(SG):PRP+2回のルセンティス(RBZ)、反対眼をControl Group(CG):PRPのみに割り付け、1,3,6M後に視力とOCTを評価
・SGではPRP1週間前とPRP1か月後にRBZを投与、CGではsham injection
・平均年齢52.3±7.8歳、糖尿病の診断から平均14±6.4年、HbA1c:8.8±1.1%
・3か月目に追加レーザーは可能(追加レーザーについても、両群で有意差なし)
・SG:BCVA 3.4文字改善、CMT -47.6μm (6M)
・CG:BCVA 3.4文字悪化、CMT -3.8μm (6M)
・DMEを認めたSG 15眼, CG14眼では SG +3.6文字、CG-4.4文字
・6MでCMTが<250μmとなったのはSG22眼(73.3%)、CG4眼(28.6%)
・DMEを認めなかったSG 13眼, CG16眼では SG +3.2文字、CG-2.4文字
・6Mにおいて、CG4眼(25%)でCMTが250μm以上に悪化 SGでは全例250μm未満だった
・8/30(26.7%)のCGと4/30(13.3%)のSGで硝子体出血(MM)
Progressive retinal nonperfusion in ischemic central retinal vein occlusion.
Wykoff CC et al(TX USA)
Retina35(1): 43-47, 2015
・12例の非増殖性の虚血性CRVOで、Ocular Staurenghiレンズを用いてHeidelberg HRAで広角蛍光眼底検査を行い、抗VEGF治療後3年間、網膜潅流状態を調べた。
・調査範囲は平均290(178-452) disk area(DA)である。
・Baselineでは平均網膜潅流面積は106(37-129)DAで、46.5%(19.1-56.4%)であったが、抗VEGF治療により、1年に平均8.1%(4.3-12.4%)の率、面積では15DA(12-35DA)で潅流域が減少した。
・新生血管が発生したかどうかには関連していなかった。
・非潅流面積でみると、Baselineは184(111-284)DA→3年後は213(125-308)DAで、率では、53.5(43.6-80.9)%→78.2(59.0-89.3)%であった。(TY)
Multimodal imaging of white and dark without pressure fundus lesions.
Fawzi AA et al(IL USA)
Retina 34(12): 2376-2387, 2014
・眼底のdark or white without pressureの部位を10例でOCT、眼底写真、近赤外眼底写真、自発蛍光を用いて検討した。
・OCT上では黒い部位は光受容体の欠損や光受容体部(ellipsoid zone, interdigitation zone)が低反射で、白い部位は高反射であった。
・自発蛍光では両方の部位は境界鮮明で、比較的低自発蛍光部となっていた(図)(TY)
Foveal microstructure in macular holes surgically closed by inverted internal limiting membrane flap technique.
Hayashi H et al(大津日赤)
Retina 34(12): 2444-2450, 2014
・黄斑円孔閉鎖に内境界膜flap翻転法を使った19例20眼について検討した。
・7眼は円孔径が500μm以上、7眼では眼軸長が26.5mmを越え、6眼では黄斑円孔網膜剥離眼である。
・術後6か月目のOCTで、内節と外節接合部が回復しているものは大径MHでは3/7(43%)、長眼軸眼では2/7(29%)、RD眼では1/6(17%)であり、外境界膜が回復しているものは、大径MHでは4/7(57%)、長眼軸眼では3/7(43%)、RD眼では1/6(17%)であった。
・この翻転法は大径MHや長眼軸眼では有用な方法であるが、RD眼ではあまり効果がなかった。
・RDを伴うMH眼では中心窩の光受容層が破壊されており、MHが閉鎖し、RDが回復しても光受容層は回復しないのであろう(図)(TY)
Intravitreal Injection Technique and Monitoring
Updated Guidelines of an Expert Panel
Avery RL, et al. (US-CA)
RETINA 34(12S): S1-S18, 2014
・2004-2014に出版された文献をレビューし専門家チームが審議して作成
・2004年版との大きな違い;①注射前後の抗菌薬の投与が眼内炎のリスクを下げるエビデンスの欠如、②患者 and/or 投与者の口腔内細菌がエアロゾル化して術野に落下することが感染源の可能性
・専門家はポピドンヨードを投与すること、および注射部位や注射針と眼瞼との接触を避けることが重要と強調
(注:本邦では硝子体注射の前後に抗菌薬点眼を使用することが添付文書に明記されている)
【ガイドライン本文】
硝子体注射に際する総論
個々の治療
・以下に示すガイドラインは必要であれば個々の患者に応じて投与者が最良の臨床判断をすべきである
抗菌薬の使用
・ルーチンに注射前・最中・注射後に抗菌薬を投与することが眼内炎の発症率を減らすことを支持するエビデンスは不十分である
<注射に際する注意と予防法のガイドライン>
特定の臨床的状況
・IVTに対する絶対的な禁忌はない。しかしながら下記のように投与者の臨床的判断を要する状況がある。
高眼圧症および緑内障:
1) 高眼圧症および緑内障を合併する患者に対しては標準的または実践的に好まれる治療をすべきである。
2) IVTが視力維持に有用と考えられる場合は高眼圧症および緑内障の病歴があるからといってIVTを否定したり中止すべきではない。
3)これらの患者にIVTを施行するときは術者が注射前後の眼圧を含めた標準的なモニタリングが必要である。
4)ルーチンに前房穿刺を行う必要はない。
眼疾患および眼手術の既往:これらがあることは考慮に入れるべきだがIVTの適応がある場合はIVTを中止すべきではない。切開性の緑内障手術を行っている領域は避ける。
最近白内障手術を受けた患者:投与者が最善の臨床的判断を下す。
内科的疾患および眼疾患を複数もつ患者:メディカルチーム全体で判断すべき。
抗凝固薬を投与中の患者:IVTに際する抗凝固薬のリスクは最小であり、これらの患者はIVTの禁忌にはならない。
ポピドンヨードアレルギー:真のポピドンヨード患者は稀である。ポピドンヨードを眼に外用したあとのアナフィラキシーは報告されていない。
活動性の外眼部炎症(眼瞼炎を含む):これらの炎症が治癒するまでIVTは延期すべき。そうでなければ治療のベネフィットが眼内炎のリスクを上回るかを投与者が判断すべき。
眼瞼・付属器・眼表面の異常:これらの異常は眼内炎のリスクファクターとして認識すべき。
<注射前・注射中のマネージメントに関するガイドライン>
注射のためのセッティング
・IVTは診療室・治療室・手術室などのセッティングで安全に行うことができる。
両眼注射
・同じ日に両眼への注射を計画した場合、投与者は十分な注意を払うべきである。両眼同時注射の場合、それぞれの眼で準備や工程を分ける。調剤する場所を変える、注射シリンジや針などを別々にするなど。調合する薬剤の場合はそれぞれの眼で違うロットの薬剤を使用する。
手袋とドレープ
・手袋の使用は(滅菌・非滅菌に関わらず)眼内炎のリスクを下げることが示されている。ドレープのルーチン使用を支持するエビデンスはない。
会話とマスク着用
・眼内炎のリスクを低下させるためには、患者 and/or スタッフから飛散した口腔内細菌の落下は最小限にすべきである。会話を最小限にする and/or マスクを着用することで達成できる(注射中のみでなく注射の準備中も)。
眼表面・眼瞼皮膚へのポピドンヨードの投与
・ポピドンヨード(5-10%)は注射部位に最後に点眼すべき薬剤である。ポピドンヨードは眼瞼縁および睫毛を含む眼瞼にも塗布すべきであるが、眼瞼をこすったり押さえたりすることはマイボーム腺内容物を排出させるため避ける。ゼリー状の麻酔薬を使用する場合、ポピドンヨードはジェル投与の前後に点眼する。ポピドンヨードの最後の投与を行った後は、注射が完了するまで注射部位と眼瞼縁・睫毛が接触しないようにする。
眼球の軟化
・眼球を軟化させることは通常必要ではないが、緑内障性視神経症の患者やIVT後の高眼圧が持続する可能性がある患者、さらに眼圧上昇が視神経に有意なダメージをもたらす可能性のある患者に対しては考慮しても良い。
散瞳
・散瞳の是非は専門家チームで意見が分かれた(注射後の見え方を問診するだけで十分vs. 注射後に後眼部を診察することが重要)。
局所麻酔
・患者の不快を最小限にする為に局所麻酔は投与すべきである。点眼以外にも結膜下注射も考慮される。ジェル状の麻酔薬は注射部位のポピドンヨードの接触を妨げるため注意すべき。
開瞼器の使用
・ポピドンヨードの最後の投与を行った後は、注射が完了するまで注射部位や注射針と眼瞼縁・睫毛が接触しないようにすることは重要。開瞼器の使用はこれを達成する一般的な方法であるが、他の方法で(眼瞼を引っ張るなど)で達成できるならそれでも良い。
注射部位
・注射部位は水平筋と垂直筋との間、角膜輪部から3.5-4.0mmの毛様体扁平部にすべき。どのquadrant(上耳側etc.)にするかは患者の状況と術者の好みで判断する。斜め刺しは注射薬の逆流を最小限にできるが、垂直刺しが簡便で好まれているよう。
針のゲージと長さ
・針のゲージ数は注射薬に応じて選択されるべきである。無形の液体の薬剤では30ゲージ以下が好まれる。懸濁液や粘性の高い液体の場合は太くなる。針の長さは5/8インチ(18mm)以下でかつ毛様体扁平部を貫通できる長さにする。
注射プロトコル
・IVTに際する適切な手順は以下のとおりである。
サージカルマスク着用、または患者・術者ともに注射の準備・投与の間の会話を最低限にする
患者・投与薬剤・左右眼を確認するためのタイムアウトをとる
眼表面に液体の麻酔薬を点眼する
睫毛と眼瞼縁にポピドンヨードを塗布(10%が多い)
眼瞼を引き上げ注射部位と接しないようにする
ポピドンヨード点眼(5%が多い)を注射部位を含む範囲に点眼*注射前30秒以内に
麻酔薬の追加が必要になった場合はポピドンヨードを再度点眼する
水平筋と垂直筋との間、角膜輪部から3.5-4.0mmの毛様体扁平部に垂直に針を刺入する。
<注射後のマネージメントに関するガイドライン>
眼圧
・注射後に眼圧を測定し、眼圧上昇が持続すると考えられる場合は治療する。
患者の帰宅
・患者が帰宅する際には術者が患者の見え方を確認する。24時間いつでも可能な緊急連絡先を患者に伝える。IVTが問題なく完了した場合は帰宅前に用心すべき特別なことはないが、眼をこすらないようにすることと眼内炎・網膜剥離・眼内出血の症状について患者および介護者に伝えておく。眼痛、眼不快感、光過敏、光が赤く見える、視力が次第に悪化、中心・周辺部および全領域の見え方の低下など。
<フォローアップに関するガイドライン>
フォローアッププロトコル
・注射後のフォローアップは患者個々に対して決めるべきである。(MK)
Intraocular pressure elevation after uncomplicated pars plana vitrectomy. Results of the Pan American Collaborative Retina Study Group.
Wu L et al(Costa Rica)
Retina 34(10): 1985-1989, 2014
・黄斑前膜に対する合併症のない硝子体手術後の持続的眼圧上昇について検討した。
・198例を最低12か月(47.3±24)経過観察した。
・持続的眼圧上昇とは2回の受診時に眼圧が24以上あるいは術前より5mmHg上昇したものとした。
・術眼では38/198(19.2%)、他眼では9/198(4.5%)で眼圧上昇があった。
・リスクファクターはOAGの家族歴(p=0.0004)、白内障術後(OR=2.51 p=0.027)であった。(TY)
Safety of transfoveal subthreshold diode micropulse laser for fovea-involving diabetic macular edema in eyes with good visual acuity.
Luttrull JK et al(PA USA)
Retina 34(10): 2010-2020, 2014
・中心窩に浮腫のあるDMEに対する中心窩を含めた閾値下ダイオードマイクロパルスレーザーの安全性について2か所の施設で検討した。
・診断はOCTで行い、視力は治療前に0.5以上である27例39眼を選択した。
・年齢は50-87歳(平均69)、術後経過観察は3-36か月(平均11)、14例がインスリン依存性で、19例が非増殖性であった。
・光凝固はmicropulseレーザー(波長810nm)、スポット125-200μm、0.78-0.95-1.4W、0.3秒露光、duty cycleは5%とした。
・術後、OCT上でも黄斑浮腫の発生はなく、副作用もみられなかった。
・視機能はlogMARでは4-7か月後に0.15±0.12→0.12±0.11に上昇し(p=0.0449)、悪化したものはなかった。
・中心窩厚は4-7か月で304.8±109.4→272.7±96.4μに減少(p=0.053)。
・視力のよい症例や、従来の光凝固や硝子体注射の適応にならない症例には有効である。(TY)
Morphologic features and evolution of inner retinal dimples on optical coherence tomography after internal limiting membrane peeling.
Amouyal F et al(CA USA)
Retina 34(10): 2096-2102, 2014
・黄斑円孔に対して、網膜染色せずにILM剥離を行った43眼について、術後の網膜内面の窪みについて検討した。
・37眼(86%)に1眼平均5.7個、合計210個の窪みがみつかり、場所は耳下側に122/210(58%)と多かった。
・初期は大きさは径199μ(87-442、中央値183)、深さは19μ(7-35、中央値17)であったが、経過中、大きさは径351μ(219-494、中央値305)、深さは30μ(15-55、中央値31)に拡大した。
・大きさは12か月で最大になり(2-22、中央値10)、その後、縮小した。視力には影響がなかった。(TY)
Long-term outcome of foveolar internal limiting membrane nonpeeling for myopic traction maculopathy.
Ho TC et al(Taiwan)
Retina 34(9): 1833-1840, 2014
・近視性牽引性黄斑症の硝子体手術の際、中心窩ILM剥離をしない場合の結果を検討した。
・19例19眼で、中心窩ILMを剥離しなかった1群(FN)12眼と剥離した2群(TP)7眼を比較した。
・1群では中心窩を中心に直径400μm範囲のILMをドーナツ状に残した。
・剥離した2群(TP)では術後2/7例(28.6%)に黄斑円孔を発生したが、1群(FN)では発生はなかった。
・また、術後平均6か月の経過で、中心窩厚は2群(TP)では薄くなり(TP=783±215:FN=815±302)、視力低下も起こったが(logMAR TP=1.39±0.33:FN=0.89±0.56)、1群(FN)ではなかった(p<0.05)。
・IS/OS線は1群(FN)では75%で回復したが、2群(TP)では14.3%で回復しただけであった。
・中心窩ILMを剥離しない方が、解剖学的にも視力的にも良好であることが分った(図)(TY)
Epiretinal proliferation seen in association with lamellar macular holes. A distinct clinical entity.
Pang CE et al(NY USA)
Retina 34(8): 1513-1523, 2014
・主に層状黄斑円孔(LMH)に伴って見られる lamellar hole-associated epiretinal proliferation(LHEP)の病態について検討した。
・1104例2030眼のLMH(197眼)、黄斑全層孔(99眼)、黄斑前膜(1734眼)についてOCT像を検討し、LHEP像と従来のERMとを比較した。
・LHEPは68/2030眼(3.3%)にみられ、内訳は88.2%がLMH、11.8%が全層円孔であり、LMHの30.5%(60/197眼)、全層円孔の8.0%(8/99眼)に該当した。
・従来のERMにはLHEP像は1例もみられなかった。
・LHEPは網膜中層と連続する均一な中等度反射の充実性物質であり、LMHに伴ったLHEPでは98%はHenle層で網膜が分離していたが、88%では層状円孔の基底から増殖性網膜前組織にかけて結合織がみられた。
・ERMと違い:LHEPでは牽引作用はみられず、63か月迄の経過中、97%はその様態は安定していた(図)(TY)
Prevalence of open angle glaucoma in vitrectomized eyes. A cross-sectional study.
Govetto A et al(Spain)
Retina 34(8): 1623-1629, 2014
・硝子体手術を受けた眼と受けなかった眼とで開放隅角緑内障の発症頻度を調査した。
・156例312眼が調査対象となり、そのうち、経硝子体術眼の15例(8.9%)、非硝子体術眼の3例(2%)が開放隅角緑内障と診断され、有意差があり(p=0.02)、経硝子体術眼で有意にOAGの頻度が高いことがわかった。
・緑内障の診断に視野は使用せず、垂直C/D比、OCTでのRNFL厚で決定した。(TY)
Prevalence of open angle glaucoma in vitrectomized eyes a cross-sectional study
Andrea Govetto, MD et al. (Ourense university hospital, Spain)
RETINA 34(8): 1623-1629, 2014
・硝子体手術後と手術されていない場合でのOAGの起こりやすさと、硝子体手術終了時に有水晶体であった場合と偽、又は無水晶体眼での起こりやすさを比較するために、OAGの診断の既往が無く、pars plana vitrectomy(PPV)を受けた患者472名中検査に来院した182名に、眼圧、隅角、視神経、OCTによる乳頭解析を施行したところ156名312眼で硝子体術後眼15(8.9%)と手術されていない3(2%)にOAGと診断した(P=0.02)。
・手術時の水晶体の有無には有意差は無かった。これにより、硝子体術後眼にOAGの危険が高いという仮説は支持される。
・理由として術中に増加した酸素濃度と産生フリーラジカルが前房に到達し、線維柱帯の損傷からOAGを引き起こすのではないか。活性酸素からのクリスタリンレンズの保護機能により、OAG進行の危険は有水晶体眼ではより低いと仮定できる。
・しかしながらPPVはERMやmacular holeに多く施行され、これらの疾患では視野検査の異常をきたしやすい等議論の余地がある。(YM)
Enhanced depth imaging optical coherence tomography of choroidal metastasis in 14 eyes
Saad A. Al-dahmash et al. (Wills Eye Institute, Thomas Jefferson University, Philadelphia, Pennsylvania)
RETINA 34(8): 1588-1593, 2014
・EDI-OCTで脈絡膜転移のある31眼中14眼(45%)が今回の研究に適切な症例であった。
・原病変は乳癌(n=7.50%)、肺癌(n=5.36%)、膵癌(n=1.7%)。Bモードで腫瘍径平均6.4㎜、平均厚2.3㎜。局在箇所は黄斑下6眼(43%)と黄斑以外に8眼(57%)。EDI-OCTで平均腫瘍厚は987㎛、EDI-OCTで最も特徴的なことは上方脈絡膜毛細血管の圧縮や閉塞(n=13.93%)、不規則な前方の輪郭(n=9.64%)、後方の陰影(n=12.86%)、上方にあるRPEの異常(n=11.78%)。外層網膜の異常ではcost(n=9.64%)、IS/OS(n=8.57%)、ELM(n=4.29)、外顆粒層(n=1.7%)、外網状層(n=1.7%)。内層網膜(内顆粒層から神経線維層まで)は正常であった。
・網膜下液(n=11.79%)、網膜下リポフスチン色素(n=1.7%)、網膜内浮腫(n=2.14%)も認められた。
・EDI-OCTでみられる脈絡膜と強膜の腫瘍の特徴は母斑では表面が滑らかに盛り上がる。
・小メラノーマではドーム状等があるが、転移癌では表面がでこぼこした固まりで、外層網膜の途絶があるが、内層網膜は維持されるという特徴が認められる。(YM)
Prevalence of open angle glaucoma in vitrectomized eyes
A Cross-sectional study
Andrea Govetto et al (Spain)
Retina 34(8): 1623-1629, 2014
・2006.1月~2011.12までに、術前に緑内障既往歴がなく、硝子体手術をした患者に電話連絡し、調査に協力してくれた169眼と、硝子体手術をしていない143眼の合計312眼を比較
・平均術後期間は3.42年 硝子体術後なので、視野ではなくOCTでGONの有無を評価
・硝子体手術歴 あり 15/169眼(8.9%)、 なし 3/143眼(2%)で調査時に緑内障(性視神経異常)を認めた 有意差あり
・白内障手術既往の有無では有意差はなかった(緑内障となった症例数が少ないためか)
・RNFL厚: Vit眼 88.35μm vs non-Vit眼 99.27μm 有意差あり
緑内障となった15眼ではVit眼 71.07μm に対して反対眼は89.96μm 有意差あり
ISNT ruleは守られていなかった
・複数回のVitではOAGの発症率は7倍高かった 複数回手術眼を抜いた解析でも有意にVit眼でのOAG発症が高かった
・参加ストレスによる前房隅角の障害によるメカニズムの他に、網膜ガングリオン細胞の障害の可能性もあるのではないか(MM)